「水会議」で世界各国の高校生と絆を結ぶ…渋渋

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 世界18か国から28校の高校生が参加し、「水」に関して議論する「世界高校生水会議(Water is Life 2018)」が渋谷教育学園渋谷中学高等学校(東京都渋谷区)と同幕張中学校・高等学校(千葉市)で昨年7月に開催された。日本代表として会議に参加した生徒、キャストやホストファミリーとして大会を盛り上げた生徒、それぞれが国際交流して世界の高校生とグローバルな絆を育んだ。当日の様子などを、渋谷教育学園渋谷中学高等学校の担当教諭や生徒に聞いた。

500人以上の生徒が参加、キャストなどで大活躍

世界各国の高校生をクイズでもてなす渋渋の生徒たち
世界各国の高校生をクイズでもてなす渋渋の生徒たち

 開会式の朝、渋谷教育学園渋谷中学高等学校の会場には、世界各国の高校生が集まり、熱気であふれていた。「ああ、本当に世界中から来てくれたんだ、とこみ上げるものがありました」と「水会議」担当の同校国際部長・夏目洋子教諭は大会を振り返った。「水会議」は2014年のシンガポール大会、16年のオランダ大会に続いて今回が3度目だ。「それまでは各ホスト校の先生やごく一部の生徒が運営をしていたのですが、今回は生徒が主体となって企画と運営をしたのです。他国の先生方や審査員の教授から驚かれ、これ以上の素晴らしい大会はないと高く評価されました」と話す。

 会場では水色の大会Tシャツを着た渋谷教育学園の生徒たちの姿が目立っていた。生徒が手掛けたデザインのTシャツで、渋渋と渋幕の2校で計500人以上の生徒が一体感を演出しながら生き生きと会場を回り、世界各国の高校生をもてなした。

 「水会議」発足のきっかけは、シンガポールの名門高校「ラッフルズ・インスティテューション」の校長が2010年、世界中のトップクラスの高校に声をかけて、グローバルなネットワークを構築したこと。以前から同校と交流していた渋渋、渋幕の2校が日本代表として選ばれ、翌年にはグローバル問題を議論する「国際高校生会議」、2年後にはその科学版である「サイエンス・キャンプ」、そして14年から水問題に特化した「水会議」となった。以降、隔年で加盟校がホスト校を務めて開催している。同学園も、今回初めてホスト校を務めた。

各国代表によるレベルの高いコンテストで見事優勝

 5日間にわたる大会期間中、参加校が自国の水に関する問題をプレゼンテーションしたほか、世界の水問題専門家の基調講演、東京を巡る「謎解きオリエンテーリング」、有明水再生センターでの施設見学、ワークショップ、各国のパフォーマンスなどさまざまなアクティビティーが行われた。これらの活動中、コミュニケーションは全て英語で行われた。

朝倉さんらのポスタープレゼンテーション「災害時に使える水浄化装置の試作」
朝倉さんらのポスタープレゼンテーション「災害時に使える水浄化装置の試作」

 「災害時に使える水浄化装置の試作」をテーマに、ポスタープレゼンテーションをしたのは、渋渋の高2生・朝倉菜名子さんら3人のチームだ。朝倉さんは小学生のとき、アメリカに住んでいたが、東日本大震災の様子をテレビで見て、その映像が頭を離れず、アメリカの学校で募金活動をした経験があった。「帰国してからも何か役に立てることができないかという思いがあったのです」

 チームで大震災について調べてみると、飲料不足でエコノミークラス症候群や大きな病気にかかった人が多くいたことが分かり、災害時にも簡単に製作できる水浄化装置を作ろうと考えたという。約1年かけて何度も試作や実験を繰り返し、ガーゼ、活性炭、花崗(かこう)岩で作ったフィルターと太陽光による紫外線を活用した浄化装置が完成した。3人はそこまでの経緯や装置の仕組みなどをポスターに詳しく書き込み、内容を英語でプレゼンテーションした。

 「本番では厳しい審査や質問もあり、緊張しました。さまざまな水問題について考える機会を与えてもらい、また、一つのことに没頭してやり切る力がつきました」と朝倉さんは話した。

師岡さんらのプレゼンテーション「東京湾の水質改善のための啓発」
師岡さんらのプレゼンテーション「東京湾の水質改善のための啓発」

 「東京湾の水質改善のための啓発」についてプレゼンテーションをしたのは、渋渋の高2生・師岡里名さんら3人のチームだ。3人が育った東京湾岸は東京オリンピックのトライアスロン競技会場になっている。そこで東京湾の水質改善について調べたところ、意外な結果を得たという。

 「水質改善の高い技術があるのに、住民の関心が薄いために予算が付かず、技術を導入できない現状を知りました。そこで啓発活動にアプローチすることにしました。高校生だからこそ、他の世代に訴求しやすいと考え、三つの小学校で啓発活動をしました」

 「やるからには優勝したいと思い、発表の前日まで、構成を練り直し続けました。他のチームに比べて何が秀でているのかを分析し、実際に小学校に行って啓発活動をしたことが強みだと考えました。そこで啓発後のアンケート結果の分析を詳しく述べることで特徴を出しました」

 結果、師岡さんらのチームは高い評価を得て、「教育」部門で見事に優勝した。師岡さんは「生徒会長や陸上部の活動、勉強、『水会議』、どの活動もレベルを下げることなく、がむしゃらに頑張り通せたのが自信になりました」と微笑(ほほえ)んだ。

英語不得意でも通じ合う心

すべての活動を英語で行い、交流を深め合った生徒たち
すべての活動を英語で行い、交流を深め合った生徒たち

 生徒たちに話を聞くと、何より心に残ったのは、各国の高校生たちとの交流だったという。朝倉さんは、「ドイツの生徒が私の家にホームステイしたので、ずっと一緒に過ごしました。お互いにプレゼンの練習をし合ったり、水問題について議論したり、女子トークもして、まるで昔からの親友のようになりました」と話した。師岡さんも「南アフリカの生徒は国が危ないと危機を訴えていました。同じ高校生なのに、環境が大きく違うことに衝撃を受けました。レベルの高い生徒たちと過ごして、多くの刺激を受け、私ももっと頑張らなきゃと思いました」と、強い印象を受けたようだ。

 夏目教諭も「生徒全員が英語を得意とするわけではありませんが、筆談やジェスチャーなど工夫をしながら、一生懸命に世界の生徒たちと交流している姿が心に残りました」と話す。

 「水会議」では、MCやファシリテーターなど英語を駆使する仕事だけでなく、ランチサポート、謎解きオリエンテーリングの作問、設営、理科実験助手、和太鼓や琴の演奏など英語力をあまり必要としないものも含めて約20もの役割分担をして、英語が不得手な生徒も活躍できるように工夫したという。「せっかくの会議なので、全員にこの貴重な体験を楽しんでほしかったのです」

 ランチサポート係の生徒たちは、「ベジタリアンか、アレルギーかどうかなど、メニューに気を配りました。メニューの説明はイラストをつけた上で全て英語で手書きし、どうしたら分かりやすく伝わるか、試行錯誤しました」と話す。また、おにぎりのフィルムの外し方が分からない外国の生徒たちに英語を使って説明するなど、細かなサポートにも気を配った。

 オリエンテーリング係の生徒たちは、半年前からコースを何度も下見して、迷いやすいところがないかチェックするなど、入念に準備をした。「今回、神社で参拝の仕方を教えたりする経験をして、外国人に日本の文化をしっかり伝えられるようになりたいと思いました」

 ホームステイ先を引き受けた家庭では、互いに友情の絆を結んだようだ。カナダの生徒を受け入れた中2生の保護者は、「息子は英語が得意じゃありませんでしたが、翻訳機を使って一生懸命にコミュニケーションをとり、とても仲良くなりました。まるで1週間だけの4人家族のようでした。帰国のときは2人とも号泣でした。思い出すだけで私も胸がいっぱいになります」と目を潤ませて話した。

 さまざまな役割、さまざまな交流を通して、生徒たちは世界の高校生とグローバルな絆を深めた。ますますボーダーレス化していく未来を生きていく彼らにとって、その絆は、今はまだ想像できないような何かを生み出していくのかもしれない。

(文・写真:小山美香 一部写真提供:渋谷教育学園渋谷中学高等学校)

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405494 0 渋谷教育学園渋谷中学高等学校 2019/01/25 05:20:00 2019/01/25 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190123-OYT8I50029-T.jpg?type=thumbnail

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