模擬国連でコミュニケーションスキルを磨く…渋幕

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 渋谷教育学園幕張中学校・高等学校(千葉市)の「模擬国連部」は、国内外の大会で優秀な成績を収めている強豪だ。総勢50人ほどの部員たちが活動しており、これまでに「全国高校教育模擬国連大会」や「全日本高校模擬国連大会」で最優秀賞に輝いたり、アメリカ・ニューヨークで開催される「高校模擬国連国際大会」にも度々日本代表として出場したりしている。夏休み中も学校で練習に打ち込む部員たちの横顔を紹介する。

ニューヨークの国際大会に度々出場する強豪

大会に向けて対策を練る模擬国連部の部員たち
大会に向けて対策を練る模擬国連部の部員たち

 「一口に移民と言っても、同じ地域の中でも国によって人の移動の状況が異なりますね」「人口流出の進むポルトガルは、今や移民受け入れ国となり、外国人を受け入れるだけでなく、これまで国外に移住した人たちにも戻ってきてほしいと考えています」

 取材に訪れた8月5日、渋谷教育学園幕張中学校・高等学校の教室では、「模擬国連部」の部員たちが活発に意見を交わしていた。8月7、8日に東京・代々木で開催される「全国高校教育模擬国連大会」に向けて、出場メンバー14人が入念に準備を進めていたところだ。

 「『全国高校教育模擬国連大会』の今回のテーマは、『国際移住と開発』です。各国の移民状況について生徒たちは自分でリサーチを行い、政策についてまとめた書類を作成し、本番の会議での交渉に向けて対策を練っているところです」と、顧問の齊藤智晃先生が説明する。

 模擬国連は、国連の各種の国際会議さながらに、参加する高校生一人一人が一国の「大使」として自国の意見を提案し、他国の「大使」たちと交渉しながら意見を調整して最終的な「決議案」をまとめる競技だ。

 「『大使』は、自国だけでなく世界全体の利益にもなるような政策を考え、話し合いをまとめなければなりません。ここが難しいところで、大会前には準備にかかりきりになりますが、皆自主的に熱心に取り組んでいます」と齊藤先生は話す。

模擬国連部の活動の意義を語る顧問の齊藤先生
模擬国連部の活動の意義を語る顧問の齊藤先生

 高校生が参加できるのは「全国高校教育模擬国連大会」のほかに「全日本高校模擬国連大会」もある。「全日本高校模擬国連大会」で優秀な成績を収めた学校は、アメリカ・ニューヨークで開催される「高校模擬国連国際大会」に出場することができる。同校は最優秀賞・優秀賞などを受賞し、度々ニューヨークの大会に出場している強豪校だ。

 「本校は、2008年の第2回全日本大会から参加しています。当初は学校で出場生徒を選抜する形で始めたのですが、『希望者で集まって準備をしたい』という生徒の声が寄せられ、2012年度末から部活動の形を取るようになりました」

 大会に参加できるのは高校生からだが、入部は中1から可能で、現在は50人程度の部員がいる。主に火曜日の昼にミーティングを行い、不定期で放課後に勉強会を実施している。また、近隣の学校が集まって開催する小規模な合同練習会も月に1回程度あるという。

 模擬国連では英語と日本語が併用される。国内では大会によって日本語だけで参加できる場合もあるが、国際大会では英語での書類作成・スピーチ・交渉が必須となる。このため現在は海外在住経験のある英語力の高い部員が中心となっているという。

 「英語力だけが重要というわけではありません。それまで海外のことにあまり興味がなかった生徒が、模擬国連部の活動を通して、アフリカの大統領選挙のことを熱心に語り始めたという例もあります。国際問題を深く知るための貴重な機会として、帰国生以外の生徒たちにも、大いに活躍してほしいと考えています」

コミュニケーションに欠かせないスキルが身に付く

8月7、8日に開催された第3回全国高校教育模擬国連大会
8月7、8日に開催された第3回全国高校教育模擬国連大会

 生徒たちの声を聞いてみよう。現在部長を務める高2の佐藤(さとう)舞花(まいか)さんは、「友人に誘われたのが入部のきっかけでした。でも、自分の考えた政策が大会でまとめるドキュメントに取り入れられたのがとてもうれしく、ぜひもっと積極的に活動したいと思って、昨年1月、部長に立候補しました」と話す。

 副部長で高2の大野(おおの)綾夏(あやか)さんは、「模擬国連は本物の国連とは違いますが、人と人とのコミュニケーションという点では共通しています。この意味で、私たちにとって大きな意義のある活動です」と話す。同じく副部長で高2の北島(きたじま)真綾(まや)さんも、「相手の話を聞き、自分の意見を伝え、交渉を行うという、コミュニケーションに欠かせないスキルが身に付きました」と話す。

 佐藤さんは昨年の「全国高校教育模擬国連大会」でアフガニスタン大使を務めた。「サイバーセキュリティー」をテーマとした会議で、「欧米諸国が表現の自由を主張するなか、アフガニスタンやロシアのような国にとっては、政府の規制という視点が重要なのだ」と気付いたという。大会では生徒がペアを組んで参加する。大野さんは「ペアの先輩に『困っていると顔に出る』と指摘され、それからは常に笑顔を絶やさないようにしました。今ではフレンドリーな大使の役割を演じることができるようになったと思います」と話す。

 アフリカの国の大使を務める機会が何度かあった北島さんは、「存在すら知らなかった国のことを深く調べ、人々が日々どのような生活を送っているのか、理解することができました。困難な状況の中で生きている人たちの役に立つことができればと、今は医師になることを目指しています」と、将来の目標を語る。佐藤さん、大野さんも、模擬国連部の活動を通して「人と話し合う力を生かし、社会の役に立つ仕事をしたい」と考えるようになったそうだ。

 模擬国連を通じて部員たちは、他国の視点に立ってものを考え、自国との利害を調整することを学ぶ。それは個人のレベルでも役立つコミュニケーションスキルそのものだ。将来、どんな道に進んでも部活で得た経験が生徒たちを支えていくことだろう。

 (文・写真:足立恵子 一部写真提供:渋谷教育学園幕張中学校・高等学校)

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898902 0 渋谷教育学園幕張中学校・高等学校 2019/11/19 05:21:00 2019/11/19 09:56:18 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/11/20191114-OYT8I50015-T.jpg?type=thumbnail

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