才能に目覚めさせ、意欲を引き出すプログラム…湘南白百合

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 湘南白百合学園中学・高等学校(神奈川県藤沢市)は近年、「タラント・リリア プログラム」と呼ぶ国際教育プログラムを推進している。このプログラムではアメリカの大学への留学を始め、さまざまなメニューを用意して生徒の将来への意欲を高めており、進学実績にも大きく役立っているという。卒業生のインタビューを通してプログラムの内容や意義を紹介する。

国際教育プログラムが生徒の意欲高める

数学科の岩瀬有子教諭(左)と英語科の栗原美和教諭
数学科の岩瀬有子教諭(左)と英語科の栗原美和教諭

 「タラントとは『与えられた能力・才能』、リリアは校名の『百合』のことです」と国際教育を担当する英語科の栗原美和教諭は説明する。このプログラムには、生徒たち一人一人の「タラント」を引き出すという意味が込められているという。

 プログラムには中1から高3まで学年に応じた多彩な選択肢があり、希望者は自分に合ったプログラムを選んで参加することができる。高1、高2を対象とし、米マサチューセッツ州の名門女子大「スミスカレッジ」に学ぶ「女子グローバル人材養成プログラム Self Development Program at Smith College」もそのメニューの一つだ。

 2017年春に湘南白百合を卒業し、慶応大学文学部に進んだ立松優さんは、高1でこのプログラムに参加し、ホームステイをしながら、スミスカレッジでディスカッション、プレゼンテーションなどを中心とした科目を受講した。このプログラムには単なる語学研修にとどまらず、異文化の中で自己を発見し、学びへの意欲を高める狙いがある。立松さんも「スミスカレッジに参加したことで学ぶことへの意識が大きく変わりました」と話す。

 海外に踏み出したこの一歩をきっかけに、立松さんは以前にも増して積極的に英語に取り組み、自分の力を試すようになった。高2、高3の選択授業では英語科目を可能な限り履修し、ネイティブの教員による本格的なライティング、プレゼンテーション、ディスカッションの指導を受け、英語力を高めていった。

 高校生を海外に派遣する神奈川県の事業にも応募し、選考の結果、6人のうちの1人として米メリーランド州に1週間滞在するという貴重な体験もしている。

 立松さんは、中3から高3を対象とする別のメニュー「国内エンパワーメントプログラム」に参加してディスカッションの力を磨いたり、高校生英語ディベート大会に挑戦したり、大きく変化していった。当時の立松さんを知る数学科の岩瀬有子教諭は「どちらかと言えばおとなしかった彼女が、海外での体験ですっかり自信をつけました。英語ディベート大会での様子は見ていて感動するほどでした。体験が人を変える一つの典型例だと思います」と話す。栗原教諭も「ディベート大会に参加するチームは帰国子女が多いのですが、その中で、彼女の努力には目を見張るものがありました。刺激を受けながら取り組むうちに周囲と遜色ないレベルになり、全国大会に出場を果たしたことで、表情にも自信があふれるようになりました」と昨日のことのように回想する。

 立松さんは生きた英語に触れることを楽しみながら自分を成長させ、大学合格を勝ち取った。今は大学の英語科目でも、習熟度別の上位のクラスをキープしているという。単に受験をクリアするためだけの学習ではなく、考える力や挑戦する力を養う「タラント・リリア プログラム」が実を結んだと言えるだろう。

積極姿勢に転じ、医師への道を進む

卒業生の立松優さん(手前)と米山未唯さん
卒業生の立松優さん(手前)と米山未唯さん

 同じく2017年春に、同校を卒業して神戸大学医学部に進学した米山未唯さんも高校1年次にスミスカレッジのプログラムに参加した。「消極的な性格を変えたかったから」という動機だったそうだ。アメリカで同世代とともに学んだことは、数日間ではあったが彼女の意識を大きく変えた。高校2年次には環太平洋国際模擬国連会議に参加するなど、さまざまな活動に活発に参加するようになった。先生たちも驚くほど、積極姿勢への変化は急だったらしい。

 米山さんは模擬国連に参加した際、アフリカの国について調べ、内戦や難民の問題などをより深く考える機会を得た。また、イギリスの文献を読んで「GP(General Practitioner=総合医)」の存在を知り、地域で患者に寄り添い、子供から高齢者まで病気で苦しんでいる人たちを支えるGPの姿勢に共感した。もともと医者を将来の職業として考えていたが、自分の進む道がはっきりしたという。

 「医師はずっとなりたい職業の一つでした。お互いを尊重し、助け合うミッションスクールの校風の中で育ったこと、ボランティア活動を経験し、地域に貢献したいと考え始めたこと、海外での経験、すべてが私の中で生きています」と米山さんは話す。

生徒の志望状況を全教員が共有し、きめ細かく指導

生徒一人一人への丁寧な指導を通じて先生と生徒の信頼関係が出来る
生徒一人一人への丁寧な指導を通じて先生と生徒の信頼関係が出来る

 同学園は少人数制で個性と学力を伸ばす授業に力を入れている。特に英語と数学は早くから習熟度別クラスで、生徒一人一人の実力に応じた指導を徹底している。

 英語教育では、中1から高2まで、15~20人程度の少人数クラスでネイティブの教員のオールイングリッシュの授業が受けられる。中1では自然なコミュニケーションを身に付け、中2からは習熟度別クラスで一人一人、丁寧な指導を受けられる。

 数学では中3の夏休みに中学の課程を終え、2学期からは高校の課程を先取りする。授業は20人程度の少人数クラスで一人一人の理解を確認しながら進められる。国立理系や医学部の希望者に対する上位講習などの補習も充実している。「白百合の生徒は最後まであきらめない子が多い。教員としても応援に力が入ります」と岩瀬教諭は話す。

 英語、数学だけではない。どの教科も志望校の問題傾向に合わせた指導を行い、質問にはすべての教員が対応するなど手厚い体制をとることで国公立大学や早慶をはじめとする難関私大への合格実績を躍進させている。

 米山さんも受験期を振り返ってこう話す。「必修の現代文の先生からアドバイスをいただくことができて助かりました。理系小論文の講座で添削をしていただいたり、医学部に進んだ先輩がこの時期どうしていたかを参考にさせていただいたり、どれも先生方が生徒の様子をしっかり把握しているからこそできる指導だと思います。中2のとき数学を教えていただいた先生も質問すれば丁寧に教えてくださいましたし、高3の自宅学習の時期もご厚意で教室を開放してもらい、先生が付き添ってくださっていたので、疑問点をすぐに解消することができました」

 もちろん、同校の教育は大学進学のみを目標にしたものではない。米山さんは、医学部に入学した直後に行われた健康診断での思い出を話した。「留学生が戸惑っていたので手助けをしたら、同級生に驚かれたことがありました。湘南白百合では日常会話程度の英語なら誰でもできますし、困っている人を助けるのも自然なことですが、あらためて良い環境で学んでいたのだなと思いました」

 「タラント・リリア プログラム」のタラントは神から与えられた能力を意味している。だから、それを磨き、他者や社会に役立てようという思いが同校の教育の根底にはある。単なる学力を超えて豊かな人間性に至る教育。卒業生たちの姿にそれが示されている。

(文・写真:山口俊成 一部写真提供:湘南白百合学園中学・高等学校)

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60218 0 湘南白百合学園中学・高等学校 2019/01/11 05:20:00 2019/01/11 05:20:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/01/20190110-OYT8I50028-T.jpg?type=thumbnail

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