少人数習熟度別授業が英語・数学力をアップさせる…湘南白百合

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 湘南白百合学園中学・高等学校(神奈川県藤沢市)は昨年も東京大学理科一類に3人の合格者を出すなど、「理系に強い」女子進学校だ。理系の学力の要である英語と数学の授業では特に、少人数編成に習熟度別編成を加味したきめ細かい指導を行っているのが特長だ。英語と数学の授業風景と、来年導入予定の「算数1教科入試」などを紹介する。

極少人数の特別クラスで実践的な英語授業を展開

身ぶり手ぶりを交えながら英語のスピーチをする生徒
身ぶり手ぶりを交えながら英語のスピーチをする生徒

 「All English」とドアに書かれた教室の中で、中学3年の特別選抜「Eクラス」の生徒が、喜多田ゆり先生が話す英語の説明に耳を傾けている。Eクラスは、英語に堪能な生徒を集めた極少人数の精鋭クラスだ。取材に訪れた7月5日は、「社会における不平等を見つける」というテーマの授業が行われていた。生徒たちはこの授業に向けて「職場での男女不平等」「保育園の待機児童」といった問題点を見つけ出し、2分程度のスピーチ原稿を英語で書き、喜多田先生の添削を受けてきた。

 まずは2人1組で発表する。聞き手の生徒はスピーチに耳を傾けつつ、声の大きさや話す速度などについて、スコアを付ける。「日本の大学の医学部で女子が不利になるような得点操作が行われていたが、女性が医師という職業に向かないとするのは正当ではない。経済協力開発機構(OECD)の統計によると、医師の中での女性の割合は日本では約20%だが、働く環境の整ったスウェーデンでは、約50%に上る」など、データに基づいたスピーチが英語で行われる。

 合間に「しっかりアイコンタクトを取って」「もっとジェスチャーを入れて」と、喜多田先生がアドバイスを投げかける。最後には一人一人が教壇に立って力を込めたスピーチを展開した。中学の英語の授業というよりは、大学生や社会人向けのコミュニケーションスキルのトレーニングを見ているかのようだ。

英語の授業で使われる海外で発行されたテキスト
英語の授業で使われる海外で発行されたテキスト

 「将来、英語を使った職業に就いた時のことを考え、どこへ出ても恥ずかしくない英語を身に付けるため、生徒には高いレベルを求めています」と、喜多田先生は話す。教科書はイギリスのケンブリッジ大学出版局が発行しているテキストだ。文法や語彙(ごい)も、海外のテキストを使用して学んでいる。「Eクラスには帰国子女も多く含まれていますが、文章を書かせてみると、文法があやふやになっていることが多い。文法的に正しいというだけでなく、書式や句読点、引用方法なども、世界的なスタンダードに合わせて書くことができるよう訓練しています」

 スピーチを終えた生徒たちは、こう話していた。「文章の組み立てから英語スピーチならではの話術など、すべて先生に丁寧に教えていただきました」「他の人のスピーチを聞いていて、心から感じたことを自分の言葉で話しているということが伝わってきました」。流暢(りゅうちょう)な英語を話す生徒の中には「外国は、家族旅行で1回行っただけ」という子もいた。この生徒は、中3の3学期に3か月間のターム留学に行くことが決まっているそうだ。

 Eクラスだけでなく一般クラスの生徒も中学1年から、二つのホームルームクラスを三つに分けた少人数編成のクラスで授業を受けており、中2で習熟度別のクラスに移行する。6年間を通して一人一人の生徒の成長に教師の目が行き届くように配慮しているのが特長だ。

 中学1年から専任のネイティブの教師による授業が行われ、聞く・話す・読む・書く、の4技能をバランスよく伸ばす指導が行われている。生徒たちは、休み時間に同級生を相手に音読の練習に励むなど、生き生きと勉強に取り組んでいる様子だった。

グループワークで「考える力」を引き出す数学の授業

コミュニケーションを取りながら進める酒井先生の授業
コミュニケーションを取りながら進める酒井先生の授業

 数学は、中1から「代数」と「幾何」に科目を分けて学習している。担当する教師も別々で、小テストや補習をくり返し行うなど、きめ細かな指導が特長だ。中3になると英語同様、二つのホームルームクラスを三つに分けた習熟度別授業が行われる。また、高2、高3では選択制となるなど、柔軟に進路選択に対応している。

 この日は、酒井美智子先生による中1の代数の授業を取材した。中学生になると、xやyなどの文字を使った計算式の勉強が始まる。「xやyに数字を与えて計算します。このように文字を数字に置き換えて計算することを何と言いますか」。先生の問いかけに、「代入です」と生徒が一斉に声を合わせて答えた。教師と生徒のコミュニケーションが取れている様子がうかがえる。

 「正方形に並べた碁石の数を計算する」という課題に対し、1人の生徒が計算式を発表した。「なぜ、この式になったのですか」という先生の問いに、「最初に12個の碁石があり、それに8個の碁石を足していくので……」などと、生徒は口頭で説明をする。無事に説明が終わると、教室から拍手が沸き湧き起こった。「では、ほかの計算式を考えた人はいますか」と先生が問いかけると、すぐに別の生徒が自分の考えた計算式を発表した。

 「今の数学では、正しく計算するだけでなく、なぜその解答になるのかを論理的に説明する力が求められます。この力は新しい大学入試でも問われるものです。授業では普段からグループで話し合い、どのような解答が導き出されるのか、それをどう説明すればよいかを互いに発表し合っています」と、酒井先生は話す。

英語の喜多田先生(左)と数学の酒井先生
英語の喜多田先生(左)と数学の酒井先生

 酒井先生の数学の授業を受けている生徒たちは、こう感想を話した。「小学校の算数から中学の数学に代わり、新しいことがたくさん出てくるので最初は不安でしたが、先生が分かりやすく教えてくれるので安心しました」「このように計算すると解きやすい、といったことを丁寧に教えてくれます」。休み時間も生徒たちは教壇の酒井先生を取り巻き、熱心に質問していた。

 湘南白百合は来年度から、「数学能力に秀でた生徒には、読解力・論理的思考力も備わっている」という考えに基づき「算数1教科入試」を実施する予定だ。また、これに先立ち、東京学芸大学の教授を招いて数学の公開授業と授業研究を行い、「生徒たちの答えを引き出す効果的な質問ができているか」といった点で指導を仰ぎ、準備を進めている。

 同校は昨年度、東京大学に理科一類3人を含めて4人、医学部にも48人の合格者を出した(いずれも既卒者を含む)。アメリカのハーバード大学に現役合格した生徒もいるという。

 来春の「算数1教科入試」の導入によって、「理系に強い」女子校の名がさらに高まるのか、注目されるところだ。

 (文・写真:足立恵子)

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780727 0 湘南白百合学園中学・高等学校 2019/09/09 05:22:00 2019/09/17 14:27:35 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/09/20190905-OYT8I50018-T.jpg?type=thumbnail

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