【特集】校外活動に自主参加して思考力・プレゼン力を磨く…湘南白百合

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 湘南白百合学園中学・高等学校(神奈川県藤沢市)は、英語ディベート大会や高校生模擬裁判選手権などの校外活動に取り組む生徒たちを積極支援している。生徒たちは自主的に集まって練習し、他者と意見を戦わせる中で論理的思考力やプレゼンテーション能力を養っており、全国大会などでも好成績を上げているという。大会・選手権に参加した生徒と、指導担当の教師にそれぞれの活動の意義や成果を聞いた。

自主的な校外活動で実績を上げる生徒たち

英語ディベートを指導する栗原先生
英語ディベートを指導する栗原先生

 同校は、2007年から「高校生模擬裁判選手権」に、10年から「全国高校生英語ディベート大会」に参加し、ディベート大会では神奈川県大会優勝及び全国大会に4回出場、模擬裁判では関東大会で9回優勝するなど、見事な成績を収めてきた。

 この二つの活動に共通しているのは、授業でも部活動でもなく、希望者が学校の支援を受けながら自主的に練習に励み、成果を上げている点だ。「ディベート大会は、生徒たちの『ぜひ参加したい』という声が集まったことから、毎年出場するようになりました。ディベートの基礎となる知識を共有し、練習によって思考を大きく発展させていきます」と、指導を担当する国際教育委員会の栗原美和先生は話す。

 模擬裁判選手権は日本弁護士連合会の主催で、選手権前には弁護士が5回、検察官が1回、参加校を訪れて指導する。「裁判の仕組みや、法律の根底に流れている考え方などを、基礎からしっかりと身に付けることができます。本校がこれまで好成績を残すことができたのは、やはり法的なものの見方や考え方を根本的なところから理解しようとする姿勢があったからだと思います」と、指導する社会科担当の熊本秀子先生は話す。

個性を組み合わせることで英語ディベートを勝ち抜く

英語ディベート大会に参加した生徒たち
英語ディベート大会に参加した生徒たち

 昨年の英語ディベート大会で神奈川県大会優勝を果たした現在高2の生徒たちが、栗原先生とともに、これまでの活動を振り返った。

 栗原先生 「全国高校生英語ディベート大会」のほかにも、地方での大会や他校との練習試合があり、皆さん、熱心に準備と練習を重ねていましたね。 

 平井優理子さん ディベートのテーマは、SNSの使用やバレンタインのチョコレートなど、自分たちにとって身近なこともあれば、日本の労働時間の制限など社会的な問題もありました。単に自分が考えたことを話すのではなく、資料を調べ、論点を絞っていくようにしました。

 青木海優(みゆう)さん チームで討論を行うので、自分の意見を言うだけでなく、仲間と意見を共有して、理解し合うことが大切ですね。

 太田美湖(みこ)さん スピーチのための原稿を書き、分かりにくいところがないか、冒頭とまとめで主張していることに食い違いがないかといったことを確認していきました。

 栗原先生 外部からディベートの講師を招き、ご指導いただくことがありますね。また、大会出場の経験がある卒業生が訪ねてきて、練習にアドバイスをしてくれることもあります。

 平井さん チームの中には、反論が得意な人もいれば、見せ場を作ってアピールするのが上手な人もいる。さまざまな個性を上手に組み合わせることで強くなれるんだと思いました。

 青木さん ディベートの練習をするうち、普段から「この話の争点はここにあるのでは」と考えるようになりました。また、頭を使うのがとても早くなり、何かの例えを出したいとき、頭の中に例となるエピソードがすっと浮かんでくるようになりました。

 太田さん ニュースなどを見ながら、社会問題について真剣に考えるようになりました。私は医学部志望で、将来は海外で困っている人を支援する仕事にも携わりたいと思っています。

 栗原先生 ディベートの活動によって、まさに仲間とともに考え、それを言葉で伝える力が養われています。これまで参加した生徒たちを見ていても、卒業後にさまざまな機会でその力を発揮しているようです。

さまざまな情報と意見を見極める模擬裁判

東京地方裁判所で開かれた高校生模擬裁判選手権
東京地方裁判所で開かれた高校生模擬裁判選手権

 昨年の高校生模擬裁判選手権に出場し、神奈川県予選で優勝後、東京地方裁判所で開かれた関東大会に出場した高2の生徒は、熊本先生とともに、当時の苦労を語り合った。

 熊本先生 本校は模擬裁判などの「法教育」に力を入れています。「ぜひ湘南白百合に入って高校生模擬裁判選手権に出場したい」という受験生も出てくるようになりました。

 山本恭子さん 私は両親が法律関係の仕事をしていて、小学生の時から裁判の傍聴などをしていました。湘南白百合に入る前から、模擬裁判選手権に出たいと考えていました。

 黒岩茉菜(まな)さん 私は裁判のことも法律のことも、模擬裁判の準備で一から学びました。皆で裁判を傍聴しに行ったり、自分たちで事件の現場を体育館で再現したりしながら、検察官と弁護人両方の立場から物事を見ることができるようになりました。

 熊本先生 昨年の模擬裁判で想定した事件は、ある男がスーパーでコーヒーの袋を万引きしたのではないかというものでした。1校のチームが検察側と弁護側に分かれ、互いに尋問や質問を行います。被告人や証人を演じる人とは当日初めて話をするので、柔軟な思考力が試されますね。

 山本さん 尋問や質問では、弁護人または検察官として自分が求めているのとはまったく違う回答が返ってくることもあり、うまく有利な話が引き出せるよう、質問の仕方を工夫しました。

 黒岩さん 私は検察側の論告を担当しました。初めての人にも分かってもらえるよう、強弱や抑揚を付けて話すよう心掛けました。裁判の練習で、プレゼン能力も養われたと思います。

 熊本先生 裁判について理解すると同時に、さまざまな情報や意見を多角的にじっくり見極め、自分の考えをまとめ、それを人前で発表する。まさに情報があふれている今の時代に必要とされる能力だと思います。

 同校では8年前から中3の授業にも「法教育」を取り入れ、現役の弁護士を招いて生徒同士が意見を戦わせる機会を設けている。昨年は、「四つの部活動間でのグラウンド利用の優先順位」というテーマで丸1日かけて議論を行った。法律上の立場を検討することで、生徒たちは論理的な思考の訓練をするだけでなく、「正義とは何か」について考えるようになるそうだ。

「法教育」と模擬裁判指導を担当する熊本先生
「法教育」と模擬裁判指導を担当する熊本先生

 「キリスト教の教えに基づく学校として大切にしている愛や平和といった価値観は、『法教育』で大切にする公正や正義という価値観とつながっています。『法教育』を学ぶ中で平和、愛、正義について考えることができるようになってほしいと思います。模擬裁判でも、大会の前と後に聖堂でお祈りを(ささ)げ、選手権に参加できることや、お世話になった弁護士の先生方への感謝の気持ちを表しています」と、熊本先生は話した。

 英語ディベート大会参加者の中には、海外大学への進学や国際的な仕事に関心を持つ生徒も増えているそうだ。その一人で、アメリカのハーバード大学に進んだ中瀬かなさんにメールで取材し、在校生への励ましのメッセージをもらった。「英語ディベートは、英語力や論理的な思考力を伸ばすことができるだけでなく、他校の生徒と知り合える絶好の機会です。アメリカの大学でも、友人同士の出会いの場が高校のディベート大会だったという話を聞きます。新しくできた仲間を大切にして、高校生活を充実させてください」

 ディベート大会や模擬裁判選手権の参加者は文系志望者だけではなく、医学部・薬学部など理系への進学を志望する生徒もいるそうだ。参加を通して鍛えた論理的な思考力やプレゼンテーション能力を将来、それぞれの仕事で生かしてほしい。

 (文:足立恵子 写真:中学受験サポート 一部写真提供:湘南白百合学園中学・高等学校)

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1612137 0 湘南白百合学園中学・高等学校 2020/11/12 07:00:00 2020/11/12 07:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/11/20201109-OYT8I50030-T.jpg?type=thumbnail

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