ドイツの大学と共同プログラムでCLIL授業…横浜女学院

無断転載禁止
メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 横浜女学院中学校高等学校(横浜市)は、ドイツのヨハネス・グーテンベルク大学マインツとの共同プログラムで「CLIL」の学びを進めている。来日した同大研究者に直接の指導を受けながら、英語と理科の教科横断型の学びで効果を上げたという。プログラムの最終授業で行われた、生徒の英語によるプレゼンテーションの様子をリポートする。

感染症の流行を想定したプレゼンテーションを英語で

英語でプレゼンテーションし、マイアホッファー先生の質問に英語で答える網掛さんと土居さん(左奥)
英語でプレゼンテーションし、マイアホッファー先生の質問に英語で答える網掛さんと土居さん(左奥)

 CLIL(Content and Language Integrated Learning=内容言語統合型学習)は、多言語が使用されるヨーロッパで開発された言語学習と教科学習を統合した学習法だ。この学習法を導入して2年目となる同校は、「日本CLIL教育学会」副会長を務める上智大学の池田真教授の紹介を得て、ドイツのヨハネス・グーテンベルク大学マインツ(以下、マインツ大学)との共同プログラムに取り組み始めた。

 共同プログラムによるCLILの授業は、昨年12月から高校1年生の英語と理科の時間を利用し、毎週2時間、計12時間行われた。このプログラムのために来日したマインツ大学のニーナ・マイアホッファー先生が、同校英語科の白井龍馬教諭、理科の宮下直樹教諭と協力して指導にあたった。

 授業のテキストやカリキュラムは同大で開発したもので、生徒たちはインフルエンザと風邪の違い、菌の培養実験、免疫の反応の仕組み、バクテリアとウイルスの違いなどを英語で勉強してきた。

 取材に訪れた1月29日はこのプログラムの最終授業だった。横浜市内で、なんらかの病原体による感染症が流行し、世界保健機関(WHO)が警告のポスターを作成してプレゼンテーションするという設定で、生徒による発表が行われた。この日は同大学でCLILを専門とするコリー・フェーガン先生も駆けつけ、生徒の発表を見守った。

頭の中で、英語を使って考えられるように

 土居七海さんと網掛ももさんは、SARS(重症急性呼吸器症候群)が流行したと仮定して発表した。まず、SARSは2002年に中国で発見され、カナダやブラジルなど世界へ拡散したこと、飛沫(ひまつ)や接触によって感染すること、効果的な治療法や予防できるワクチンはなく、罹患(りかん)すると20%が重症に至り、致死率も高いことなどを説明。さらに「海外に行ったら、うがい、手洗い、マスクをして、人混みには行かないことが予防策です。日本での感染報告はありませんが、検疫は100%ではないので、気を付けましょう」と紙芝居のように16枚の絵を使って、分かりやすく英語で発表した。

 網掛さんは「調べても英語の専門用語が分からなくて、私たち自身も戸惑いがあったので、みんなが分かりやすいように紙芝居の形式にしました」と工夫を話した。土居さんは、「普通に英語を学ぶよりも、英語が身に付きやすいのを感じました」とCLIL授業の感想を話した。

河村さんと佐久間さんのプレゼンのポスターと、びっしり英語で書かれた原稿
河村さんと佐久間さんのプレゼンのポスターと、びっしり英語で書かれた原稿

 河村玲奈さんと佐久間悠さんは麻疹の流行という仮定で発表した。黒板に作成したポスターを貼り出し、びっしりと英語で書かれた原稿を読み上げながら、麻疹はワクチン以外に予防する方法がないことや、日本でも年間180人の感染者がいることなどを英語で説明した。さらに、「1977年から1995年生まれの世代では、1回しかワクチンを受けていないので、感染しやすいのです。理想としては全員がワクチンを受けることです」と予防の側面についても英語で補足した。

 佐久間さんは「ポスターでは流行の危険性を出した字体に工夫しました。クラスからいろいろ質問を受けたときに、日本語を英訳して答えるのではなく、最初から頭の中で英語を使って考えて話していたことに自分でも驚きました」と話した。河村さんも、「この授業を経験して、大学では英語を使って他教科を学ぶ学部で学びたいと考えるようになりました」と話した。

 ほかの生徒たちも、エボラ出血熱、サルモネラ感染症、デング熱、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)などについて、原因や感染経路、治療法や予防法などを、それぞれ詳しくプレゼンテーションしていた。

日本語で学ぶよりも身に付き、主体的な姿勢に

「主体的に学ぶ姿勢が身に付く」と話す白井教諭
「主体的に学ぶ姿勢が身に付く」と話す白井教諭

 このプログラムの作成と指導にあたったマイアホッファー先生は、「全員がとても努力していました。日本人はシャイなところがありますが、少し応援してあげれば、上手なプレゼンテーションができます。難しい課題でしたが、立派でした」と高い評価を付けた。フェーガン先生も、「素晴らしい発表でした。よく学んでいますね」と感心していた。

 英語科の白井教諭は、「これまでは、総合学習として多文化共生についてCLILで学んできて、比較的分かりやすい内容でしたが、今回は難易度の高い他教科の内容そのものを学ぶハードCLILでした。不安もありましたが、実際にやってみると、生物が苦手な生徒、英語が苦手な生徒のどちらも授業に楽しんで取り組めるようになりました」と話す。

 CLILの授業は、課題に取り組むタスクベースでの学びなので、一方的に講義を聞くスタイルの授業と違って、自ら主体的に学ぶ姿勢が身に付くという特長があるという。

「英語で学ぶと内容がより定着する」と話す宮下教諭
「英語で学ぶと内容がより定着する」と話す宮下教諭

 理科の宮下教諭も、「生徒の発表では、日本語で説明文を作って、それを英訳する作業が中心になると最初は思っていましたが、授業を進めると、英訳よりも、感染症についてより深く調べることに重点を置く姿勢が見られました」と話す。

 また、日本語で学ぶ場合は授業の中身をうのみにしがちだが、英語で学ぶ場合は、内容を理解することが不可欠なため、英語で学んだほうが、知識がしっかり定着することに気が付いたという。生徒からも、「世界史など他の教科も英語で学びたい」という声が上がっているそうだ。

 「生徒にとっては、海外の大学で学ぶイメージがつかめたと思います。また、科学を扱った英文の読解にも、役立つのではないかと考えています」

 白井教諭は、今後、世界史や道徳の授業などにもCLILを導入することを検討している。新たなCLIL授業の展開に注目したい。

 (文・写真:小山美香)

 横浜女学院中学校高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

469082 0 横浜女学院中学校高等学校 2019/03/04 05:21:00 2019/03/04 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/03/20190301-OYT8I50031-T.jpg?type=thumbnail

会員校一覧

東日本 共学校ページTOP

── 女子校ページTOP

おすすめ記事

アクセスランキング

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
発言小町
OTEKOMACHI
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
The Japan News
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ