読売新聞オンライン

メニュー

ニュース

動画

写真

スポーツ

コラム・連載・解説

発言小町

漫画

教育・受験・就活

調査研究

紙面ビューアー

その他

サービス

読売新聞のメディア

購読のお申し込み

読売新聞オンラインについて

公式SNSアカウント

【特集】「自分で考え、自分で決めて、行動する」力を育てる…十文字

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 十文字中学・高等学校(東京都豊島区)で今年度、新校長に横尾康治副校長が就任した。横尾校長は「自分で考え、自分で決めて、行動する」力を育てる教育を推し進めており、来年度の創立100周年に合わせ、学力ではなく、生徒の関心・目的に応じて選択できる新たな3コースを高校に設ける。主体性を重んじる同校の教育の伝統や、今後の展望、抱負などについて横尾校長に聞いた。

生徒の主体性が光る自治部や生徒広報委員会

今年度からの教育目標について語る横尾校長
今年度からの教育目標について語る横尾校長

 「最終的な決断を任される校長として、改革をよりスピーディーに進めていきたいと思いますが、その分責任の重さも感じています」。こう語る横尾校長は、昨年度まで教頭、副校長として、学校を改革する「Move on プロジェクト」や探究学習の推進に携わってきた。そして、校長に就任した今年度、これまでの改革を継続する一方で、新たに「主体性の伸長」「基礎学力の徹底」「社会性の 涵養(かんよう) 」を教育目標に定めた。

 「1922年の建学当初は、『女子に教育の機会を与える』という大きな目標があり、生徒たちにも強い熱意と志がありましたが、現在は、生徒の学習態度が次第に受け身になってきたように思います。しかし、予測不可能な将来を迎えるにあたり、『自分で考え、自分で決めて、行動する』ための力が必須となっています。本校は、主体性と基礎学力を伸ばしつつ自信を養い、社会で役立つ人材となるための機会と環境を提供していきます」

 三つの教育目標のうち、生徒の「主体性」を育てる取り組みは、同校が古くから大切にしてきたものだ。それをよく表しているのが「自治部」と呼ばれる生徒会の存在だ。1950年に創設された同校の生徒会は、「生徒会運営はすべて生徒で」という考えから、あえて「自治部」という名称を使ってきた。

自治部の活動で正規の学校用品になったリュックサックを背負う生徒
自治部の活動で正規の学校用品になったリュックサックを背負う生徒

 その活動も自治部と呼ばれるにふさわしいものだ。横尾校長によると、自治部の役員でつくる「中央委員会」メンバーは選挙で選ばれるが、2018年の選挙で一人の委員長立候補者が、肩掛け式のカバンだけでは重い教科書を運ぶのが大変だという理由で、「リュックサックの導入」を選挙公約に掲げたそうだ。

 「『そんなに簡単に導入できるものではない』と、私たち教師は少々面食らいましたが、その生徒が委員長に当選した際に『自分たちでやってみなさい』と任せたところ、デザインや費用を考えたり、業者と打ち合わせて試作品を作ったりといった作業を、すべて自治部の委員たちで行ったのです」

 職員会議での検討や当時の校長の判断を経て、そのリュックサックは翌年から学校用品として正式に採用されることになった。

学校説明会でプレゼンテーションを行う生徒広報委員会
学校説明会でプレゼンテーションを行う生徒広報委員会

 自治部とは別に昨年は、学校紹介を行うための「生徒広報委員会」が発足し、学校説明会でプレゼンテーションを実施したり、FacebookやTwitterで情報発信を行ったりしている。「発足に当たり、高1、高2を対象に希望者を募ったところ、全体の半数に相当する生徒たちから応募がありました。委員会は希望者登録制とし、時間の合う生徒が随時活動に携わる仕組みを整えています」

 広報委員を志望した生徒たちからは、「人のためになることをしたい」「学校に貢献したい」という声が数多く上がったそうだ。「社会と関わり、誰かの役に立つことで、自分の生きがいや幸福を見いだす。これは、建学の精神『身をきたへ 心きたへて 世の中に たちてかひある 人と生きなむ』と一致しています。まさに本校ならではの活動だと言えます」

 生徒広報委員会のTwitterには、生徒たちの発案によって「質問箱」が設けられたそうだ。「答えにくい質問が来たらどう対応するんだ、と私たち教師は気をもんだのですが、『すべての質問への回答を一つ一つ載せるのではなく、代表的なものを選んで掲載するんです』と生徒が説明してくれました。インターネットでのコミュニケーションに関しては、生徒たちの感性に教えられることが多いですね」

関心や目的で選ぶ高校の三つの新コース

 また、横尾校長は普段の授業にも、「主体性」と「社会性」を育てるプロセスを盛り込んでいきたい考えだ。「探究学習だけでなく、すべての教科についてPBL(課題解決型学習)を適用したいと考えています。教師が問題を提起すると、生徒がそれを調べ、互いのディスカッションによって問題を解決する。英語や数学など、あらゆる教科について、この方法を採用していきたいですね」

 生徒自らが考えることで主体性が養われ、ディスカッションによって他者との関わりを学ぶことができる。教師は一方的に「教える」のではなく、授業のファシリテーターとしての役割を果たすという。

 同校は、来年度に創立100周年を迎えるにあたり、高校に新しい三つのコースを設ける。現在は、ほぼ学力に応じて「スーパー特選」「選抜」「進学」の3コースに分かれているが、来年度からは「自己発信コース」「特選(人文・理数)コース」「リベラルアーツコース」に改編される。生徒の関心や目的に合わせたコース選択によって、新しい学びのスタイルを実現するのが目的だ。

 「自己発信コース」は週に4時間「探究」の授業を行うと同時に、英語で発信できる力を身に付ける。「特選(人文・理数)コース」は、高1から人文特選と理数特選に分かれ、演習重視の授業によって上位難関大学を目指す。「リベラルアーツコース」は、高1で基本を学習し、高2で幅広い選択科目から学ぶことによって教養を身に付け、文系、理系のみならず芸術系、保健体育系など多様な進路にも対応する。

 これらの新コースは、横尾校長自身が以前に視察したフィンランドの教育制度を参考にしているという。「フィンランドでは、早い時期に将来への目的意識を高め、中学に相当する課程を修了すると、高校と職業訓練学校に分かれます。学力や文系・理系ではなく、自分の関心や目的意識に沿って選ぶこの新しいコース編成によって、より将来の希望の実現に近づくことができるようになります」

挑戦して失敗を積み重ねて成長する

 「キャリアプログラム」「未来の探究」「グローバル教育」「STEM教育」を4本柱として進めてきた「Move on プロジェクト」も、引き続き推進する。「100年という時間をかけて続けてきたことを、次の100年にどうつなげるか。来年はそのためのよい節目になると考えています」

 横尾校長は、中学・高校時代は人間の成長の中で最も重要な時期だと考えている。「中学生のうちに自分で考えて、決めて、行動するというマインドを育てると、それが一生のものとなります。特に女子校では、全員にリーダーになるチャンスがあるのです」

 同校の卒業生の中には、女性アスリートが生理中使うのに便利なボクサーパンツを開発した起業家がいる。また、飲食店の予約をすると、売り上げの一部が途上国の子供のために寄付されるアプリを開発した卒業生もいる。いずれも、20歳代での起業だそうだ。「社会とつながり、行動するということを実践している卒業生たちです。これからは高校生のうちに起業する生徒も出てくるかもしれません」

 「女子の場合、失敗を恐れて一歩引いてしまうという傾向があるようですが、失敗の数は挑戦の証し。失敗がなければ成長もない」と、横尾校長は生徒たちを励ましている。「十文字には、失敗してもその原因を考え、次に生かすことができる環境があります。学校という安心できる場で挑戦して失敗を積み重ねてください。それが、将来社会に出た時に必ず生かされるのです」

 (文:足立恵子 写真:中学受験サポート 一部写真提供:十文字中学・高等学校)

 十文字中学・高等学校について、さらに詳しく知りたい方は こちら

無断転載・複製を禁じます
スクラップは会員限定です

使い方
2142478 0 十文字中学・高等学校 2021/06/22 05:01:00 2021/06/22 05:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/06/20210621-OYT8I50008-T.jpg?type=thumbnail

会員校一覧

東日本 共学校ページTOP

── 女子校ページTOP

西日本ページTOP

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)