コンクールで力試し、外の世界に目を向けろ…成田

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 成田高等学校・成田高等学校付属中学校(千葉県成田市)は、大学や研究団体が高校生向けに開いているコンクールやコンテストに参加することを積極的に支援している。外の世界での力試しを通し、生徒たちは自信を付けるだけでなく、将来の進路を見つけることもあるという。7年連続で参加している千葉大学主催の「数理科学コンクール」では、2017、18年度と2年連続で表彰を受けている。参加した生徒たちの声を聞いた。

生徒たちの「やる気」を学校が応援

 成田高等学校の生徒たちは、全国の大学が主催するさまざまな高大連携プログラムや研究団体のコンテストに盛んに応募・参加している。

 進路指導部の鵜殿浩教諭によると、この流れが始まったのは2012年度のことだという。「当時はまだ現在のように高大連携プログラムが広く知られていなかったのですが、たまたま千葉大学の高大連携室に本校の職員の親類がいたことから、千葉大学先進科学センターが主催している数理科学コンクールのことを知り、本校から生徒が参加しました。これが始まりです」と話す。

 このコンクールに参加して以来、同校の生徒たちは次々とこうした高大連携プログラムなどに挑戦するようになったという。今年も慶応大学先端生命科学研究所が主催している「第9回高校生バイオサミットin鶴岡」に自然科学部の生徒2人が参加し、ポスター発表するなどしている。

iPadで高大連携プログラムなどの情報を配信している
iPadで高大連携プログラムなどの情報を配信している

 学校としても、こうした生徒の挑戦を積極的に後押しする構えだ。鵜殿教諭は、「以前はポスターを掲示するなどして参加を呼びかけていましたが、現在ではiPadを使って生徒に直接、情報を配信しています。学年ごとや、生徒と保護者用、生徒用などさまざまな対象に向けて毎週のように情報を配信し、興味を持った生徒に参加してもらうよう促しています」と話す。

 鵜殿教諭によると、同校にはやや引っ込み思案な生徒が多い印象だというが、「中学から入学した中高一貫クラスは、勉強熱心で、能力も高く、真面目でやる気がある生徒が多いのですが、能力を持て余していると感じることがあります。コンクールやコンテストに参加することで、他校の生徒に触発され、そこで自分たちも勝負できるんだと自信を付けて、積極性を発揮してほしいと思っています。井の中の(かわず)にならず、もっと外に出て世界を知ってほしいのです」

数理科学コンクールで2年連続の受賞者

 流れのきっかけとなった千葉大学主催の数理科学コンクールは、科学技術の先端を担う若者を発掘・育成するための高校生対象のコンクールで、「課題の部」と「ロボットの部」がある。同校の生徒が参加している「課題の部」は、個人またはグループで、四つの大問を6時間かけて挑戦する内容。本などの持ち込みも可能で数学や物理のカリキュラムにとらわれない、本質に根差した、考えて楽しい問題が出されるという。

数理科学コンクールで最高賞の「金欅賞」に輝いた野中さん(右)
数理科学コンクールで最高賞の「金欅賞」に輝いた野中さん(右)

 同校の生徒は2012年度以来、参加を続けており、17年度は松浦佑奈さん、日東寺智大君、米田舜君(ともに現在高3)が参加し、松浦さんが「銀欅賞(ぎんけやきしょう)」、日東寺君が「学長賞」を受賞した。18年度は、野中音歩さんと高山耀君(ともに現在高2)が参加し、野中さんが最高賞となる「金欅賞」に輝く成果を上げている。

 野中さんと高山君が参加した昨年度のコンクールでは、「底の平らな容器に液体を満たした後、穴を開けたときにできるだけ速く中の液体を出すにはどうすればよいか、物理的に考えなさい」(課題2)という問題や、「自転速度、上空の循環気流、下降気流、上昇気流が地球に比べて速い惑星で、地球と同様に球状に広がる花火を実現するには、どのような仕掛けが必要か」(課題4)という出題があったという。

 2人は「まず、問題用紙を開いて圧倒されました。4問のうち、どの問題から手を付けていくか、30分くらい2人で話し合ってから、課題2に取り組みました」と話す。とにかく実験室に用意された紙コップ、油、ペンキ、はっ水スプレーなどを使って、いろいろと実験し、最終的には、はっ水スプレーをコップの外側にかけるという方法とその仕組みを考察した野中さんの解答が評価され、課題2の唯一の正解者となった。

 また、野中さんは課題4についても「持ち込んだ物理の本を見ていたら、『コリオリの力』が使えるんじゃないかと気が付いて、それをもとにした解答が評価されました」という。

 高山君はこのコンクールへの参加について「数学や物理の知識をどう生活の場面で使うのか、発展して関連付けるということを学びました」とし、「今年は別のコンテストにも挑戦したい」と、いっそうの意欲を見せた。

 松浦さん、日東寺君、米田君が参加した2017年度のコンクールで、松浦さんが高評価されたのは「はるか銀河のかなたの水の惑星アクアで繰り広げられている海戦で、各船団が隊列を組み、互いに相対速度ゼロで並列航行している場合、どのように着弾点を決めればよいか説明しなさい」という内容の問題への解答だった。

 松浦さんは、「斜方投射の式を使えばよいと考えました。すごく筆が乗って、6時間ずっと答案用紙に書き続けました。答えがない難しい問題を解くのが物理の楽しさなんだと再発見し、もっと勉強したいと思うようになりました」とし、「大学でも物理を学びたい」と目を輝かせた。

 日東寺君が評価されたのは、「人間の認識機能や感覚機能を模倣する人工知能では解決不可能な課題は何か。また、人間の知性を機械の上に実現した人工知能を実現することは可能かどうか考えなさい」という内容の問題への解答だった。

 「実は他の問題のほうに力を入れていて、この問題は1、2時間しか解く時間がありませんでした。数学の『集合と命題』の知識を使って、無理やりこじつけて書いた感じだったので、賞をいただいて初めは驚きました。振り返って考えると、問題を客観視して、さまざまな角度から検証したのが評価されたのだと感じました」。日東寺君は「将来は人工知能に関係する仕事に携わりたい」と考えているそうだ。

 米田君は、「このコンクールを経験し、同じ問題でも切り口が違うさまざまな考え方があるのが分かり、数理の面白さを再発見しました。理系の大学に行って工学や情報工学の勉強がしたいという思いが強くなり、勉強のモチベーションが上がりました」という。コンクール参加の経験がこれからのエネルギーに変わったようだ。

外部コンクールへの参加が進路に結び付くことも

 この数理科学コンクールに出場した生徒が、その後、東京工業大学にAO入試で合格した実績もある。

「外部のコンクールなどに参加して自信を付けてほしい」と語る鵜殿教諭
「外部のコンクールなどに参加して自信を付けてほしい」と語る鵜殿教諭

 鵜殿教諭は、「大学受験のためにコンクールに出たわけではありません。しかし、学校の外という広い世界で勝負して、自信を付けたのが、よい結果につながっています」と話す。

 ほかにも、日本科学未来館が主催する「ジオ・コスモスコンテンツコンテスト」で、大人の参加者に交じってファイナリストに選出された生徒が、その実績をアピールして九州大学共創学部にAO入試で合格したケースもある。

 鵜殿教諭は、「コンテストに出場する場合は公欠にするなどの配慮を行って、学校としても全面的にバックアップしています。こうした生徒が出てきたことで、自分も何かできるんじゃないかという雰囲気が校内に出てきました。外部のさまざまな学びにも目を向ける生徒が増えています」と話す。

 これからも学校を飛び出して、外の世界でどんどん自分の実力を試し、自信を付けていってほしい。

 (文・写真:小山美香)

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769485 0 成田高等学校付属中学校 2019/09/02 05:21:00 2019/09/02 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/08/20190829-OYT8I50039-T.jpg?type=thumbnail

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