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【特集】「自ら調べて発表する」学習を地元活性化につなげる…成田

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 成田高等学校付属中学校(千葉県成田市)は、「自ら調べて発表する」総合学習を行っている。この学習は中学の3年をかけて、調べ学習の基本から、生徒自らが社会に視野を広げるところまで段階的に発展する構成となっている。今年度の中3生は、地元の成田山新勝寺表参道のPRポスター制作に取り組み、各商店の取材を通して地域とのかかわりを学んだ。そのポスタープレゼンテーションの授業を取材し、生徒たちの声を聞いた。

3年かけて段階的に調べ学習の視野を広げる

「自ら調べて発表する」総合学習について語る稲垣先生
「自ら調べて発表する」総合学習について語る稲垣先生

 同校では2019年から、週1コマの「総合的な学習の時間」を中心として、「自ら調べて発表する」というトレーニングを行ってきた。社会科教師で中3A組の担任を務める稲垣雄一郎先生は、「中1ではインプットを重視して、ポスターの作り方やプレゼンテーションの手法などを教師が指導し、中2ではリーダーを中心として生徒主体で活動しました。中3では1人1台のiPadを活用して班単位で独自に行動します」と、これまで積み上げてきた学習のステップを説明する。

 現在の中3生が1年生だった初年度は、茨城県つくば市の筑波大学や筑波宇宙センターを訪ねる「筑波山研修」と、東京オリンピック選手村を建設していた東京都中央区への「豊洲校外学習」を行い、いずれも訪問先で調べた内容を総合学習の時間に発表した。

 2年次の「職業調べ」では、インターネットを利用し、生徒たちが自分の興味で選んだ個人の仕事について、調べ学習をして班ごとに発表した。

 今年の1学期、中3生が取り組んだのは「成田山表参道のお店紹介ポスターの制作と発表」という課題だ。この授業を担当する稲垣先生は、「本校の理念の一つに、『地方文化の向上』があります。地元の店を取材してポスターを制作することで、身近なところから社会とのかかわりを学んでほしかったのです」と語る。

 稲垣先生によると、この「自ら調べて発表する」学習は、中1では与えられたテーマについて調べ学習の基本を学び、中2では自分の関心で個人の仕事を選んで調べ、中3で地域社会や企業を調べて発表するというように、段階を踏んで視野を広げ、主体的に取り組む構成になっている。

 また、活動は常に、個人ではなく班で行うことを基本としているという。「班の中で役割分担し、意見を出し合って協働する力を伸ばすことも目指しています」

成田山表参道の店をポスター発表でPR

京成成田駅で一斉に掲示された生徒たちのポスター
京成成田駅で一斉に掲示された生徒たちのポスター
生徒が作成したポスターは協力してくれた店舗でも掲示された
生徒が作成したポスターは協力してくれた店舗でも掲示された

 成田山表参道は、JR成田駅と成田山新勝寺を結ぶ約800メートルの商店街だ。成田山新勝寺を母体とする同校は、境内から徒歩7、8分の距離にある。「新型コロナウイルス感染の影響で観光客が減り、商店街も苦慮しています。生徒がポスター制作をすることで、商店街の活性化に貢献したいと考えました」

 中3の1学年約120人の生徒は、4、5人ずつの24班に分かれて、商店街の店を1店ずつ担当した。5月に成田山表参道の土産物店や料理店を取材してポスター制作に取りかかり、7月13日までに、手書きやiPadで作成してプリントアウトするなどしてA4判のポスターを完成させた。完成したポスターは、より多くの人に表参道の店に興味を持ってもらえるよう各店舗や京成成田駅などに掲示された。

 取材に訪れた7月15日は、そのポスター内容のプレゼンテーションが行われた。24班それぞれの発表時間は3分間、質疑応答には2分間が充てられ、生徒たちはポスターを貼り出した黒板を背に、自分たちで制作したスライドを電子黒板に映し出しながらプレゼンテーションを進めた。聞いている生徒たちの手元のiPadにも、スライドが映し出されており、各教室で副担任の教師がやはりiPadを使ってプレゼンテーションの様子を動画撮影している。5年前に導入し、現在は中1から高3までが1人1台持っているiPadがフル活用されているようだった。

 各班とも表現方法にはさまざまな工夫を凝らしており、「突然ですが、クイズです!」と、ユーモアを交えて聞き手の注意を引き付けてみたり、「お休みの日に個人的に行ってみました。抹茶パフェがおいしかったです。皆さんもぜひ」と、自分の体験を盛り込んで担当の和風カフェの魅力をアピールしたりしていた。

 また、印象的だったのは、いずれの発表も「これがお店の人気ナンバーワン商品です」「消毒やアクリル板の設置など、コロナ対策も万全です」など、担当した店の訴えたいことを的確に伝えていたことだ。「自分たちの思いを伝えるだけでなく、ポスター制作では、お店の方の信念をポスターに反映させることを重視しました。例えばウナギ店のポスターの『割きたて、蒸したて、焼きたて』というキャッチコピーは、お店の人の話から抜き出した言葉です」と、稲垣先生は説明した。

自分に寄せられた講評をもとにプレゼンを改善

調べたお店についてスライドにまとめ、プレゼンテーションする
調べたお店についてスライドにまとめ、プレゼンテーションする

 ポスター発表を終えた生徒2人に話を聞いた。C組の (たに)()()(さと) 君は、老舗の団子店を担当した。「表参道は以前に比べるとやはり外国人客が少なく、僕たちで何か役に立てることがあれば、と思いました。ポスターでは写真だけでなく手描きのイラストを入れることで、より目立つものにしようと考えました」

 B組の平山れんさんは、抹茶菓子の専門店を紹介した。「総合学習では、みんなで力を合わせて一から何かを作っていくことを学びました。経験を重ねるうちに、発表で臨機応変に質問に答えることもできるようになりました」

 プレゼンテーションでは、聞き手がワークシートを使って講評することも活動の一部となっている。谷野君はこれまでの講評への反省から、「下を向いていて声が聞こえづらいという意見があったので、その点に気を付けようと思いました。今日は前を向いてはっきり話すことができました」と話す。平山さんは、「スライドが見づらいという声があり、文字の色や大きさを工夫して見やすくなるよう心掛けました。発表を短い時間の中で終わらせるのも難しかったのですが、今日は班の人たちと力を合わせ、うまく時間通りに終わらせることができました」と振り返った。

 中3の総合学習は2学期から、新製品やサービスの開発といった企業が出す課題に取り組む「企業インターンワーク」へ移る。「中1、中2の課題は、調べればすぐに答えが分かるものですが、中3で取材を経験することによって初めて、自分から行動を起こして答えを見つける方法を学ぶことができます。『企業インターンワーク』では、その力をさらに磨いていきたいと思います」と稲垣先生は言う。

 高校の「総合的な探究の時間」では、さらに視野を大きく広げてSDGs(持続可能な開発目標)などグローバルな分野を取り上げる予定だ。「高校の探究活動でさらに、自分で考え、行動し、それを成功に結び付ける体験を重ねてほしいですね」と稲垣先生は期待を語った。

 (文:足立恵子 写真:中学受験サポート 一部写真提供:成田高等学校付属中学校)

 成田高等学校付属中学校について、さらに詳しく知りたい方は こちら

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