充実のプログラムでグローバル社会のリーダーへ…鴎友

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 鴎友学園女子中学高等学校(東京都世田谷区)は、入学時からのオールイングリッシュ授業や中学校3年間で100万語読破を目指す英書の多読など、実践的な英語教育とグローバル対応に取り組んでいる。その支えとなるICTの活用でも、高1から「BYOD(Bring Your Own Device)」を認めるなど新しい方向性を見せている。英語の授業風景をリポートするとともに、担当教諭らに目標を聞いた。

よく聞き、たくさん話す中学英語

英語科主任の都築教諭(左)と「国際部」部長の高見教諭
英語科主任の都築教諭(左)と「国際部」部長の高見教諭
高1「アドバンストクラス」では、今年からネイティブの講師が授業を担当
高1「アドバンストクラス」では、今年からネイティブの講師が授業を担当

 「英語4技能を高めるには、英語でやりとりする機会を多くつくることが重要です」と英語科主任の都築直子教諭は話す。その柱となるのが、英語のみで行うオールイングリッシュ授業だ。

 中1の授業では、イギリスの多くの小学校で英語の教科書に使われているシリーズ絵本「Oxford Reading Tree」を使用する。講師は各ページの挿絵をプロジェクターで映し、内容を確認しながら「これは誰」「どんな天気」など、英語で頻繁に問いかけを行う。答え方は英語だったり日本語だったりするが、生徒の反応も活発だ。

 英会話の授業はネイティブの講師が担当する。取材に訪れた日は、友達紹介のスピーチを行っていた。身近な友人の名前や年齢、趣味などを紹介する原稿をあらかじめ用意し、グループを作って、その中で一人一人発表する。発表の内容や態度について別の生徒たちはそれぞれ採点を行う。単に文を作って読み上げるだけではなく、互いの発表をよく聞くように導く仕組みになっている。

 高校の英語は、習熟度別に「アドバンストクラス」一つ、「レギュラークラス」二つに編成し直した三つのクラスで授業を行う。使用するテキスト類はどちらのクラスも同じものだが、「アドバンストクラス」は、今年からネイティブの講師が授業を担当している。授業内容は意見発表にウェートが置かれ、より踏み込んだ分析力や思考力が求められるようだ。

 高1の「レギュラークラス」の授業を見たところ、まず、前回の授業で学んだ新出単語の復習を行っていた。2人1組で行う単語当てゲームのような形式で、たとえば出題側が、「長い間、雨の降らない状態」という単語の定義を英語で出題すると、解答側は「drought(干ばつ)」とつづりを含めて答える。

 次は3人1組で宿題のチェックに入る。授業で取り上げた文章に関連して作文を書いてくることになっており、この日は「気候変動に対し、個人、コミュニティー、国、それぞれのレベルで何ができるか」という問題に答える内容だった。それぞれの作文を3人で互いに読み合い、一つ以上のミスを見つけて英語でコメントを付ける。クラスメートの解答例を参考にし合って、ライティング力を向上させる狙いだ。

 さらに、テキストリーディングの学習も行われた。アメリカの農場主が書いたブログという設定で、農薬や遺伝子組み換え作物について意見が語られている。生徒たちは予習して内容を理解したうえで授業に臨み、文中に出てくる「food chain(食物連鎖)」や「GMO(遺伝子組み換え作物)」といった語を英語で説明し合う。また、各段落を数単語または一つの文で要約するという作業も行った。

 「レギュラークラス」の授業後、生徒に話を聞くと、「最初は英語だけの授業に戸惑いましたが、今は普通に理解できます。会話や作文をシェアすることで、英語の表現が広がるのでうれしい」と授業の楽しさを話した。また、別の生徒は「英語でうまく伝わると気持ちいいので、こまめに調べて、使える単語を増やしています。将来は宇宙関連の仕事に就きたい。もっと頑張らないと」と気持ちを引き締めていた。

BYOD導入でポートフォリオ作成も

生徒たちが使っていたタブレット端末は個人の所有物
生徒たちが使っていたタブレット端末は個人の所有物

 この授業で注目されるのは、生徒たちが使っていたタブレット端末などが、生徒個人の所有物だということ。単語ゲームや課題の提出も、生徒はそれぞれ自分のスマートフォンやタブレットで行っていた。

 同校は5年以上前から授業にICT(情報通信技術)を導入し、全教室にプロジェクターを設置したり、「ロイロノート」などの授業支援ソフトを活用したりしてきたが、さらに学びを効率化するため、「BYOD」の考えに基づいて、今年度の高1から生徒が個人所有するデバイスを授業でも使えるようにしたという。

 自分の所有するデバイスなので、生徒は授業の間の空き時間などを使って課題に取り組んだり、提出したりできる利点がある。また、都築教諭によると、自分のe―ポートフォリオを作りやすいのも「BYOD」のメリットだという。

 「授業の課題のほか、行事や部活などの記録映像や感想、考えたことなど学校での取り組みを、その場その場でタグ付きのファイルにしておきます。こうすれば、入試の際の自己推薦書や自己アピール資料の作成などにも役立ちます」

 実践的な英語力には、速く正確に読む力も欠かせない。そうした能力を鍛えるのが「多読」教育だ。同校では、中学3年間で100万語を目標とし、授業内外で多読に取り組ませている。

 学校のLLライブラリーには、絵本から一般のペーパーバックまで約1万8000冊の英語書籍が用意されている。本には7段階の難易度や語数を示す表示がついており、自分のレベルに合った本を選びやすくなっている。生徒は読んだ本や語数、レベルを記録できる「ブックダイアリー」を持ち、自分のペースで100万語を目指す。この日も放課後になると次々と生徒が訪れ、20人近くが書棚で本を選んでいた。

 「高2くらいになれば、ティーンエージャー向けの小説を読みこなす生徒も多いですよ」と都築教諭は語る。

海外体験を通じ、人格的な成長を目指す

チェルトナム・レディース・カレッジへの2週間の研修旅行
チェルトナム・レディース・カレッジへの2週間の研修旅行

 グローバル社会の到来を見据えた国際理解教育にもいち早く着手している。2000年頃から大学の留学生との交流会を始め、交換留学や海外研修旅行などを盛んに行っている。

 グローバル教育を統括する「国際部」部長の高見信子教諭は、「英語力向上だけが目的ではありません。自分を表現し、他者と相互理解し、より良い社会作りに貢献する人材を育てる。そうした学校の方針にふさわしいプログラムを実施しています」と話す。

 たとえばアメリカでは、エール大学の語学学校での授業や、ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学などへの訪問研修、また、伝統ある寄宿学校チョート・ローズマリー・ホールの寮に滞在するサマースクールを実施。アメリカから招いた女子大学生をファシリテーターとしてグループディスカッションを行うエンパワーメントプログラムなどもある。さらに、イギリスの名門女子高チェルトナム・レディース・カレッジへの2週間の研修旅行もある。

 このほか2012年からは、韓国の韓亜(ハナ)高校との相互交流プログラムも行っている。交換留学の他に、アジア各国から高校生が参加して世界の諸問題を議論する「韓亜高校国際シンポジウム」にも毎年参加している。

 高見教諭は、これらを通して「リーダーシップのあり方」を学んでほしいという。

 「イギリス研修では、チェルトナム・レディース・カレッジの卒業生が生徒の世話に当たってくれます。彼女たちはあらゆる分野の高い教養を身に付けており、振る舞いには相互理解の姿勢や人としての魅力がにじんでいます。グローバル社会のリーダーになるには、こうした人格的な成長こそが必要です」と高見教諭は語る。近年、海外進学を志望する生徒は増えており、今後も引き続きプログラムの充実を図っていきたいという。

 聞き、話すことから英語を体験する中学生も、高校では専門的なテーマを読み、書きし、さらには国際社会でのリーダーシップにまで学びを広げていく。中高6年間の成長は、大人の予想を大きく上回るものがある。

 (文・写真:上田大朗 一部写真提供:鴎友学園女子中学高等学校)

 鴎友学園女子中学高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

417775 0 鴎友学園女子中学高等学校 2019/02/01 16:39:00 2019/02/05 10:28:19 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/02/20190201-OYT8I50022-T.jpg?type=thumbnail

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