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【特集】「もっと外の世界を知ろう」視野を広げるキャリア教育…南山女子部

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 南山高等・中学校女子部(名古屋市)は、進路選択にあたって生徒たちに視野を広げてもらおうと、さまざまな「キャリア教育」を行っている。高校進学時に自覚を促し将来を考えるための「オリエンテーション合宿」や職場体験プログラム、各界で活躍する卒業生たちを招いての進路講演会などによって、生徒たちは自分を見つめなおすさまざまな気付きを得るという。進路指導部の先生と、「キャリア教育」を受けた生徒たちの声を紹介する。

オリエンテーション合宿で大学へのイメージが変わる

オリエンテーション合宿で京都大学を訪問した生徒たち
オリエンテーション合宿で京都大学を訪問した生徒たち

 高校2年生の足立(まな)()さんは、高校生になったばかりの昨年4月、京都に1泊2日で出かける「オリエンテーション合宿」に参加した。京都大学や同志社大学、立命館大学のキャンパスを訪問したり、現役大学生の卒業生から大学生活や受験勉強について体験談を聞いたりした。将来やりたいことがまだはっきりせず、周りの同級生の勉強への取り組みが本格化していく様子に焦り始めていたが、この合宿で、ある卒業生の話を聞いてホッとすることができたという。

 「試行錯誤してどんどん進路を変えて、高校3年の秋に志望校を決めたという先輩がいました。結果的に京都大学に入学されたという話を聞いて、私も焦らず、この2年間ぐらいでやりたいことを納得するまで考えるのが一番いいのかなと、安心できました」

「知っている世界をどれだけ広げられるかが大事」と話す田中教諭
「知っている世界をどれだけ広げられるかが大事」と話す田中教諭

 それまで思い描いていた大学生活とは異なる面を見つけ、「刺激的でした」と語るのは同級生の佐藤()(さき)さんだ。フィリピンの貧しい子供たちを支援するため、インターネットで資金を集めるクラウドファンディングの立ち上げに携わった先輩の話を聞き、「大学生は、もっと講義ばかり受けている印象でした。大学生ってこんなこともできるんだと知って視野が広がったし、いろんなことをしてみたいと関心も湧きました」

 2人が参加した「オリエンテーション合宿」は10年来続いているという。その狙いを進路指導部の田中雅行教諭は「中高一貫教育を受けている生徒たちは高校に入学したという実感を持ちにくいので、この時期に、オリエンテーション合宿を通して自覚を持たせたいのです」と説明する。

 同校はこの合宿を手始めに、夏休みには高校1、2年の希望者が職場体験をする「キャリアトライアル」、卒業生などによる進路講演会や外部講師授業、11月には南山大学の講義を受講するセミナーなどを用意しており、1年間にわたってプログラムは目白押しだ。

狭い視野のまま進路を決めることに懸念

 高校3年生を対象に毎年行っているアンケート調査の最新結果によると、入学する前から志望の学部・学科を決めている生徒は14.5%だという。その一方、高校3年生の夏休みにようやく決めた生徒も21.5%いる。進路指導部長の吉村幸一郎教諭は「生徒たちには、この時までに決めなくちゃいけないという決まりはないし、他人と比較するなんてナンセンス、自分に正直になりなさいという語りかけをしています」と話す。「自分が人生をどうデザインしたいのか、どうありたいのか、どう存在していきたいのか。生き方そのものをじっくり考えてほしい」

「人生をどうデザインしたいのか、じっくり考えてほしい」と話す吉村教諭
「人生をどうデザインしたいのか、じっくり考えてほしい」と話す吉村教諭

 今年の中学3年生対象のガイダンスは、新型コロナウイルス感染拡大のためオンラインで行われた。その中で吉村教諭はこうアドバイスしたという。

 「自分が持っている興味、関心というのは、たまたまその家庭に生まれ、その環境で育ったから持っているだけかもしれない。もっと違う刺激を外の世界に求め、関心を持ったいろいろなことを比較してみて、これだったら自分が好きなことだし、自分で実現可能だし、周りから必要とされているから、という視点で職業を選んでいったらいいんじゃないか」

 同校は医学部医学科志望者が多いという特徴がある。1学年200人中120人が理系志望者で、その過半数を医学部志望者が占める。今春の入試でも国公立大学の医学部医学科に現役・浪人合わせて31人が合格した。その背景として吉村教諭は「社会に貢献していきたいという思いを持ち、自立心旺盛な生徒が多い」ことを挙げる。「医師免許を取ることは、社会に出て家庭を持っても、生活をしっかり保障しながら生きていくすべなのかなと思っています。不景気な時もありましたけれど、しっかり手に職を付けて、たくましく生きているなと感じますね」

 「保護者にも、女性も仕事を持って自立して生きていけるように、資格を取ってほしいという思いが結構あるんじゃないですか」と、田中教諭は親の気持ちを推測する。ただ、田中教諭は、生徒たちが狭い視野のまま進路を決めてしまっているのではないかと懸念している。「困っている人、苦しんでいる人のために、医者になって働きたいという思いはすばらしいと思うけれど、世の中に貢献する道は医療に限らない。自分の知っている世界をどれだけ広げられるかが大事だと思います」

「自分らしく健康的に生活できる仕事のスタイル」を卒業生から学ぶ

(左から)吉村教諭、田中教諭、奥野教諭
(左から)吉村教諭、田中教諭、奥野教諭

 生徒たちに視野を広げたり、将来を考えたりする参考にしてもらおうと、同校はさまざまな分野で活躍する卒業生たちを、進路講演会や外部講師授業の講師に呼んでいる。「後輩のためなら」と積極的に手を挙げてくれる卒業生も多いという。医師、獣医師、弁護士、テレビ局社員、新聞記者、南極観測越冬隊に参加した研究者など講師は多士済々だ。

 足立さんと佐藤さんは、高校1年生の時に来校したトヨタのエンジニアの卒業生の話が印象に残っているという。子育てしながら働く女性の印象はそれまで、テレビなどから伝わる「仕事もして家族も支えて頑張っている、すごく大変なイメージ」だったが、卒業生が自分の生活スケジュールを円グラフで示してくれ、「睡眠時間や子供と遊ぶ時間もしっかり取っていることが分かってイメージが変わりました」と足立さんは話す。「自分らしく健康的に生活できる仕事のスタイル」に衝撃を受けたそうだ。

 佐藤さんは同じエンジニアの話の中でも、「将来の仕事を決めるうえで、『何をしている時に頑張れるのか、自分の強みは何なのか』を考えるといい」というアドバイスを心に刻んだ。「子育てをしながら自宅で仕事をしている」という話も印象的だった。

「卒業生の話は何より説得力がある」と話す奥野教諭
「卒業生の話は何より説得力がある」と話す奥野教諭

 卒業生らとじかに接することを通じて自分を見つめ直してほしい、視野を広げてほしいという教諭たちの思いは、生徒たちに確実に伝わっているようだ。同じく進路指導部の奥野元三教諭も「僕らより、卒業生の方が説得力がありますね。『医者と言ったって厳しい世界なんだぞ』と医師になった卒業生が言うとしっかり聞いてくれますから」と、その効果を実感している。

 吉村教諭は、「キャリア教育は『種をまく』作業」だという。生徒たちの興味、関心の幅を広げ、さまざまな選択肢があることに気付いてもらうことだ。英語担当の吉村教諭には、中学高校を通して英語が「からっきし」だったにもかかわらず、卒業して現在は英語を教えたり、翻訳や通訳を仕事にしたりしている教え子がいるという。

 「もちろん本人の努力もあると思うんですけど、自分たちがまいた『種』が、卒業して環境が変わってちゃんと実を結んでいる。そう思える時にやりがいを感じます。紆余(うよ)曲折があっても、納得いくものを見つけて取り組んでいる姿を見ると、間違ってなかったなって思います」

 (文・写真:井澤宏明、一部写真提供:南山高等・中学校女子部)

 南山高等・中学校女子部について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1530338 0 南山高等・中学校女子部 2020/10/08 09:52:00 2020/10/27 10:06:48 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/09/20200914-OYT8I50046-T.jpg?type=thumbnail

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