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【特集】自主性と協調性をともに育む生徒会活動…南山女子部

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 南山高等・中学校女子部(名古屋市)では、学校生活のさまざまな場面で生徒会の自主的な活動が大きな役割を担っている。これまでも体育祭のクラス別Tシャツ製作や、コロナ禍の中での学校祭前夜祭など、生徒たちの声を吸い上げて学校と調整し、実現を図ってきた。現在も新しい制服の導入や電子端末の扱い方ルール作り、部活と先生たちの働きかたなど、さまざまな問題を検討中だ。その活躍ぶりを生徒会顧問の教諭らに取材した。

校訓を体現する自主的な生徒会活動

昨年の学校祭前夜祭を巡る生徒たちの活動について話す生徒会顧問の米澤教諭
昨年の学校祭前夜祭を巡る生徒たちの活動について話す生徒会顧問の米澤教諭

 「高い人格」「広い教養」「強い責任感」を校訓とする同校では、生徒会の自主的で活発な運営が奨励されている。中学高校合わせて全生徒約1200人からなる生徒会をリードしていくのは、中学、高校それぞれに会長、副会長、書記2人と各委員会の委員長からなる執行部及び、会計、広報、活動、運動、文化の各委員会だ。

 生徒会の執行部と各委員会は、毎週金曜の放課後、午後3時50分から5時過ぎまで生徒会室に集まり、折々の懸案事項について話し合い、議題の整理や議会に提出する原案を作る活動をしている。

 この原案は、毎週水曜日の昼休みに開かれる「議会」にかけられる。議会は、中学15クラス、高校16クラスから出席する2人ずつの代表委員からなっている。代表委員は議会で決まったことをクラスに持ち帰って報告したり、クラスの意見をまとめて議会に提案したりして、学校全体で議論を深めていく。

 高校の生徒会顧問を担当する米澤幸司教諭は「私が当校に赴任した二十数年前から生徒会活動は大変盛んでした。主役は生徒で、顧問は議題になる案件を提案したり、議会で決まったことを学校に伝えて交渉や折衝をしたりするのが役割です」と話す。

 これまで生徒会が決めたことで米澤教諭の印象に残っているのは、体育祭のクラス別Tシャツの製作だという。2018年度までは体操服で行っていたが、生徒たちの声の高まりを受けて、19年度はクラス別に製作したTシャツで体育祭に参加することになったという。生徒会執行部は各クラスのTシャツデザインをとりまとめて一括予算案を作成し、議会に諮ったうえで学校の承認も得て、業者への発注にこぎつけた。

 「色とりどりのTシャツを着た生徒たちの姿は、とても華やかでした」と米澤教諭は振り返る。「2020年度はコロナ禍で体育祭を実施できませんでしたが、今年度はまたクラスごとのTシャツで体育祭が行えそうです」

コロナ禍を工夫でしのぎ、前夜祭の共感を達成

コロナ禍対策を工夫して開催にこぎつけた昨年の学校祭前夜祭
コロナ禍対策を工夫して開催にこぎつけた昨年の学校祭前夜祭

 もう一つ、米澤教諭が深い印象を受けたのは、昨年11月6日に行われた学校祭の前夜祭だという。「学校としては前夜祭のダンスなどのクラス発表を事前に録画、編集して、教室で視聴するのが最善だろうという考えでしたが、生徒会執行部の生徒たちは『コロナ禍でたいへんな思いをしたからこそ、みんなで共感したい。オンラインではなく少人数でいいから、体育館で集まれないか』と訴えてきました」

 約1200人の全生徒を集めることは最初から無理な話だったが、学校と執行部で話し合いを重ね、「充分な間隔を空け、換気も徹底させて1学年200人なら」ということで合意した。

 感染対策は万全を尽くした。練習、リハーサル時から、会場となる体育館への入場前には手洗いや手指消毒を徹底した。クラス発表の際の舞台上の立ち位置は「密」にならない編成を心がけ、見ている側はマスクの着用を厳守した。他の学年の発表も、各教室に動画配信してリアルタイムに視聴できるようにした。また、昼食時は黙食を守った。こうしてコロナ禍の中ながら、生徒たちは昨年の学校祭前夜祭で、一体感を味わうことができた。

クラスごとにカラフルなTシャツをまとった2019年度の体育祭
クラスごとにカラフルなTシャツをまとった2019年度の体育祭

 学校祭と並んで生徒たちの関心を集める体育祭を巡って、現在、生徒会で懸案となっている問題がある。今年10月6日に開催が予定されているが、そのチーム分けだ。米澤教諭によると、これまではクラス対抗だったが、中学高校のつながり、先輩後輩の絆を深めようという意図で、生徒会執行部として学年を超えた縦割りチームを提案したが、生徒たちには不評だったという。

 「彼女たちはクラスの団結力が強いため、クラスメートがばらばらのチームになるのを嫌いました。そこでクラスごとに他学年とチームを組む案が出て、議会で話し合っているところです。こういう場合でも、議会で決まったことをそれぞれの代表委員がクラスに持ち帰り、意見を聞いて議会に戻す。手間はかかりますが、きちんと手続きを踏むことで生徒一人一人の意見を尊重して物事を決め、進んでいくことに意味があると思います」

中学部活動と先生たちの働き方に意見

中学の生徒会顧問を務める中本多恵子教諭
中学の生徒会顧問を務める中本多恵子教諭

 生徒たちの活動は、自分たちの学校生活だけにとどまらず、先生たちの働き方にも及んできている。

 中学の生徒会顧問を務める中本多恵子教諭によると、国が推進する働き方改革の影響で、同校でも3年ほど前から部活動の顧問の労働時間の長さ、週末の拘束などが問題になり、部活動を縮小する流れになっていた。「そこへ生徒会執行委員の生徒たちが『私たちにも話し合わせてください』と言ってきたのです」

 まず、今の高3の生徒が、部活動について研究している大学教授にメールで相談を持ちかけ、Zoomでレクチャーを受けた。昨年度末には全校生徒に向けてGoogleフォームで「部活動について」の意識調査アンケートを取った。現在、その結果を学校への意見書としてまとめ、提出する準備を進めているという。

 昨年度の生徒会長を務めた 今牧(いままき)真心(まこ) さん(高3)は、「働き方改革と部活動がどういう関わりがあるのか、時世的にはどうなのか、初めはまったく手探りでしたが、自分たちなりに理解を深めてきました。どのような形で部活動を運営するのがよいのかを議会で話し合って、先生方とも話し合っていきたいと思いました」と話す。

 今年度、今牧さんの後を受けて生徒会長に選ばれた 田伏(たぶし)優奈(ゆうな) さん(高2)は、アンケートの結果について「全生徒の8割以上が校外での試合や大会で結果を出すことよりも、自分の楽しみとして部活動をやりたいと思っていることが分かりました。それを踏まえて、部活動のあり方や活動時間、回数などを議会で話し合うつもりです」と話す。

 このほかにも、生徒たちから上がってきた案件で、今後、特別委員会を設けて話し合う予定になっているものに、制服のリニューアルや、11月に設置予定の校内Wi-Fi関連のルールづくりがあるという。

 制服については、これまでのジャンパースカートタイプの制服について、生徒会執行部の生徒たちから「冬は寒くて冷える。スラックスの制服があったほうがいい」という意見が出たという。米澤教諭からも「議案にしては」という提案があって、執行部での話し合いが始まったそうだ。

 「スラックスの制服を製作するための特別委員会も動き出しました。まずは他校のスラックス制服をリサーチしている最中です。そこから本校で生徒たちが望むスラックス制服とはどのようなものか、そもそもなぜスラックス制服が必要なのかのコンセンサスづくり、スラックス制服を導入することの狙いやメリットなど、本質的な議論をしながら、生徒たちの間で機運を高めていってもらいたいと考えています」

 生徒一人一人が問題意識を持って、互いの意見を尊重し、課題を解決しながら、進んでいく。こうした生徒会活動を通して生徒たちが育んでいる力は、時代が求める新しい学力そのものではないだろうか。

 (文:田村幸子 写真提供:南山高等・中学校女子部)

 南山高等・中学校女子部について、さらに詳しく知りたい方は こちら

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2255206 0 南山高等・中学校女子部 2021/08/10 05:01:00 2021/08/10 05:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/08/20210802-OYT8I50008-T.jpg?type=thumbnail

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