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【特集】「国内サマースクール」で使える英語を磨け…中村

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 中村中学校・高等学校(東京都江東区)は7月、外国人に地元、深川を英語で案内する国際教育プログラム「国内サマースクール」を実施した。同校は身の回りから地球へと意識を広げる「Glocal(グローカル)」という言葉を標榜(ひょうぼう)しており、「国内サマースクール」はその精神を体現するプログラムとなっている。担当教諭とプログラムを体験した中学2年生に話を聞いた。

中2生全員参加で外国人に深川を案内する

「深川めぐり」で地元・深川の文化や歴史を実地に調べる中1生
「深川めぐり」で地元・深川の文化や歴史を実地に調べる中1生

 中村中学校・高等学校は、「Glocal」という言葉を国際教育の標語として掲げている。英語の「Global」と「Local」を合わせた造語であり、「Local(身の回り)」を意識するところから「Global(地球・世界)」のことを考えられる「地球市民」に育ってほしいという願いが込められているという。

 同校は、この「Glocal」を実現するために「Local」から「Global」へのステップを踏んだ一連の国際教育プログラムを用意している。

 中1では社会の授業で、江戸文化の名残も色濃い地元・深川の文化や歴史を実地に調べる「深川めぐり」を行う。この知識を土台とし、中2では、全員が参加して外国人に深川を案内する「国内サマースクール」を実施する。ここから海外へ目を向け、英語の学習を深めたい中2、中3生の希望者には11日間の英語研修「海外サマースクール」があり、高校では1、2年生の希望者を対象とするオーストラリア語学研修や、1年間の海外留学(国際科の生徒対象で必修)がある。

 中2の「国内サマースクール」は英語を使って外国人に接する最初のステップであり、1年生の時に学んだローカルな深川の知識を、グローバルな視点で見つめ直すプログラムとなっている。

 深川には、俳人・松尾芭蕉ゆかりの「芭蕉庵」や相撲部屋、江戸三大祭りで知られる富岡八幡宮があり、霊巌寺に墓所のある松平定信や、この近辺に居宅を構えていた伊能忠敬ら歴史上の人物とも関わりが深い。外国人には丁寧な説明が必要なため、英語の訓練にはうってつけの土地と言える。生徒たちは教える立場になるため、自然と能動的な学びとなるのも特長だ。

 今年で4年目となる「国内サマースクール」は、それまで行ってきたさまざまな校外授業を振り返って、「もっと独自性を」「深川という土地柄を生かそう」「いろいろな教科が協力し合うプログラムにしたい」という教員たちの意見から始まった。

国際教育センターのセンター長を務める岡崎葵先生
国際教育センターのセンター長を務める岡崎葵先生

 中学2年次の6月に班やコースを決め、さまざまな教科で準備を始める。歴史の授業では紹介する内容をリポートにまとめ、英語の授業でその内容を英訳し、家庭科の授業では名物「深川めし」について学ぶというふうに教科横断的に進められる。

 同校国際教育センターのセンター長、岡崎葵先生によると、多くの生徒が紹介文の英訳に悩むという。紹介内容のリポートをそのまま英訳するのは、中2生にはなかなか難しいためだ。そこで、建築物の紹介なら「築年数」を「建物の年齢」と言い換えるなど、簡単な日本語に直す作業から始める。岡崎先生は「幼稚園児でも分かるくらい簡単な言い方に直してみて」などと助言し、繰り返し指導するという。「この機会に、意味は同じでもいろんな表現ができることを知ってほしい。柔軟な発想を必要とする言い換えは、英語でも国語でも大事。大学入試でも不可欠な力です」

深川を案内し、その魅力を英語で発表する

 今年は7月9~11日の3日間、本番のプログラムが行われ、29人の生徒が6班に分かれて取り組んだ。プログラムの運営事業者が派遣する外国人講師が指導し、初日は、物事の紹介に便利な英語の単語や慣用句を学び、身近な話題について会話を続ける練習などをする。翌日は1時間50分、各班に分かれてフィールドワークをしながら初対面の留学生に深川の街を案内する。班ごとにまわる場所や順番は違うが、どのコースにも歴史、人物、文化などの要素がバランスよく組み込まれている。最終日は、班ごとに深川の魅力を英語でプレゼンテーションし、その中で発表の基本的な構成や効果的な発表方法、ジェスチャーなど言葉以外のコミュニケーションの重要性を学ぶ。

「国内サマースクール」の最終日は校内のホールでプレゼンテーションが行われた
「国内サマースクール」の最終日は校内のホールでプレゼンテーションが行われた

 取材に訪れた7月11日には、最終日のプレゼンテーションが行われた。会場は校内のホール。持ち時間は1人1分。各班のメンバーたちは交代で、スライドを操作しながら、自らの担当部分をはっきりした英語で発表していく。ジェスチャーで印象付ける班、小芝居を取り入れる班、クイズを多く盛り込む班など、それぞれ聞き手を飽きさせない工夫を凝らしていた。この中から外国人講師による審査で2班が選抜され、10月の文化祭「清澄祭」で開かれる英語発表会「English Day」であらためて発表する。

日本語を新鮮に感じるほど英語漬けの3日間

 プレゼンテーションの後、いずれも班のリーダーを務めた2人に話を聞いた。

 田中柚花(ゆずは)さんは、「家に帰った時に日本語を話すのを新鮮に感じるくらい、英語漬けの3日間でした。プログラム前より、相手に伝えようとする気持ちが強くなりました」と振り返る。通常の授業と違って、初対面の外国人が講師だったため、「最初はひどく緊張した」というが、不安が大きかった分、彼らの明るい笑顔と優しさに感動したそうだ。

「国内サマースクール」のフィールドワークで初対面の留学生に深川を案内する中2生
「国内サマースクール」のフィールドワークで初対面の留学生に深川を案内する中2生

 ただ、フィールドワークでは案内中に、「聞きたいことがあったら何でも聞いてね」と外国人に言われたのに、すぐに尋ねるべき話題が尽きてしまったという。「それが一番の反省点です。でも、雑談を続けるだけの英語力が今の自分にはないと分かったのは収穫です」。また、せっかく単語を知っていても発音が正確でないと通じないことや、逆に「一生懸命言葉を並べれば相手も意味を考えてくれるし、間違っていたら指摘してくれる」ということも学んだ。

 太刀川憧子(あこ)さんの反省点は、翻訳ソフトを利用したため、かえって大変な思いをしたことだ。「手間をかけずに正確に訳せると思ったのに、結果的には知らない単語ばかりの難しい文章になり、居残りまでしたのに全く覚えられなかった」という。そのためフィールドワークの当日は、メモを見ながらの案内になってしまった。「今思えば、内容をかみくだいて自力で英訳すれば、難しい言葉を使わなくても十分表現できただろうし、覚えるのもそんなに大変じゃなかったはず。言い換えることの大切さが、身に染みて分かりました」とちょっぴり残念そうに話した。

 ただ、プレゼンテーションでは「アイコンタクトを大事に」という講師の助言を生かし、聴衆一人一人と目を合わせて話したところ、「みんな自分の話を聞いてくれている」という安心感が生まれて落ち着いて話せたという。

 岡崎先生は、このプログラムについて「普段の授業では単語や文法を覚えることが目的になってしまい、生徒も『英語は勉強するためのもの』ととらえがちですが、初めて実践的に英語を使う機会となるこのプログラムを通して、英語は意思疎通の手段と実感してほしい。そこからさらに英語への興味や学習意欲の向上につながれば」と話す。

 太刀川さんは「今度英語の授業で分からないところがあったら、先生に英語で質問してみようと思います」と話した。今回のプログラムを通して多くの生徒に、使える英語への興味が芽生えたことだろう。

 (文:佐々木志野 写真:中学受験サポート、一部写真提供:中村中学校・高等学校提供)

 中村中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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872959 0 中村中学校・高等学校 2019/11/01 05:22:00 2020/11/27 16:09:29 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/10/20191030-OYT8I50009-T.jpg?type=thumbnail

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