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【特集】「30歳」イメージして今の自分を磨くキャリア教育…中村

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 中村中学校・高等学校(東京都江東区)は、「30歳からの自分を考える」ことを起点とし、段階を踏んで意識付けするキャリア教育を行っている。これによって進路のミスマッチをなくす一方、少人数の環境を生かした個別対応に近い学習指導により、生徒の希望の進路を実現しているという。また、それを可能にするきめ細かいフォローの仕組みなどについて江藤 (たけし) 教頭から話を聞いた。

将来へのビジョンを意識した段階的なキャリア教育

キャリア教育と進路指導教育について話す江藤教頭
キャリア教育と進路指導教育について話す江藤教頭

 同校は創立以来、「機に応じて活動できる女性の育成」を建学の精神としてきた。江藤健教頭は、この理念がますます重要になっていると見る。「人生100年と言われるこれからの時代は先の見えにくい時代でもあり、社会環境や自分を取り巻く状況がどんどん変わっていくでしょう。まさに『機に応じて活動』することが求められます」

 江藤教頭は、そうした女性を育成する上で必要なのは将来に対する着実な意識付けだと指摘する。「生徒には、入学時からさまざまな機会に『30歳からの自分を考える』ことが大切だと話します。大学がゴールではないのはもちろん、特に女性がさまざまな意味で転機を迎えるのは30歳前後が多い。そうしたことも踏まえて、どんな仕事や生き方をしていきたいかをイメージし、具体的な進路へ落とし込んでいきます」

生徒が自分の性格や特徴、将来の夢などをまとめた「自分新聞」
生徒が自分の性格や特徴、将来の夢などをまとめた「自分新聞」

 同校のキャリア教育は、この「30歳からの自分」から逆算し、中高6年間の各学年で必要となる知識や経験を身に付けていく構成になっている。中1・中2は「養成期」と位置付けられ、自己肯定感の醸成や他者理解を主な目標とする。そのために行っている「自分新聞」という取り組みでは、自分の性格や特徴、将来の夢などをまとめたワークシートを作成し、クラス全員分を冊子として共有している。また、スクールカウンセラーが監修したグループワーク授業では、「デートの断り方」など他者理解に基づいたコミュニケーションの方法を学ぶ。このほか、有名企業についての調べ学習やSDGs(持続可能な開発目標)をテーマにしたプレゼンテーションに取り組み、自分が生きる社会への理解を深める。

 中3・高1の「伸長期」では卒業後のさまざまな選択肢について学び、自分の適性とすり合わせながらキャリア意識を高める。中3の「職業研究」では身近な大人に仕事をテーマとしたインタビューを行い、世の中の職業への理解を深める。高校で実施している「探究」授業にもキャリア教育の要素を取り入れ、企業訪問や、企業からの課題に取り組むプログラムを実施している。地元企業と連携した社会学習にも着目しており、昨年度は化粧品のパッケージや竹紙製ファイルフォルダーのデザインなどに取り組んだ。

大人に仕事に関するインタビューを行うなどしてまとめる「職業研究」
大人に仕事に関するインタビューを行うなどしてまとめる「職業研究」

 高2・高3の「発展期」では、それまでに培ってきた自分の社会観、職業観を踏まえて志望進学先を見定め、目標達成に向けてまい進する。高1の冬から取り組んできた自由テーマによる「個人探究」を高2で完成させ、自分の関心領域と適性を再確認する。高3の「進路探究」では100年を前提とした自分のライフプランを探究的手法で作成し、将来へのビジョンを描く。

 それぞれの学年で取り組んだ調べ学習や探究の成果は、学年末に行われる「NQ(ナカムラ・クエスト)フェスタ」という行事で発表する。また、毎年「生き方研究会」という講演会を開催し、企業人を中心に現役で活躍している人を招き、仕事や社会との関わりについて話を聞いている。

 段階を踏んで丁寧にキャリア意識を向上させるこれらのプログラムにより、生徒は自分の将来について明確な考えを持つようになるという。今年度卒業生の87.3%の生徒が、高3の4月の時点で志望校を決定していたそうだ。

 「本校は指定校推薦枠も1人当たり11.7校と充実していますが、それをあてにせず、あくまで自分で見定めた進路に進む生徒が非常に多い。大学や学部とのミスマッチによる中途退学の話も、本校の卒業生ではほとんど聞きません」

少人数の環境生かし、生徒一人一人を入試直前までサポート

学年末に行われる「NQフェスタ」で発表する生徒
学年末に行われる「NQフェスタ」で発表する生徒

 こうしたキャリア教育や日頃の学習の効果を高めているのが、1クラス約20人、各学年2~4クラスの少人数環境を生かした「アダプティブラーニング(個別最適化学習)」の体制だ。専任教員1人当たりの生徒数は7.6人と少ないため、行き届いた指導が可能になっている。

 職員室は生徒に対して積極的に開放されており、試験前と試験中以外は立ち入り自由となっている。教員の机は向かい合わせではなく、通路に向いて座るようレイアウトされていて、職員室に入ってくる生徒が目に入りやすく、やりとりもしやすい。面談や個別指導用の別室も用意してあり、多くの生徒が授業の質問のほか、さまざまな用件で教員を訪ねてくる。江藤教頭は「ほとんど毎日入り浸っている生徒もいます」と言い、取材に訪れた7月14日も、職員室の入り口前で6、7人の生徒が面談待ちしていた。

 こうした生徒との関係性の近さを生かして進路をサポートする「キャリアサポーター」という制度もある。総合型・学校推薦型の選抜入試を希望する高3生を、志望進路の分野に詳しい教員がマンツーマンで担当し、6月頃からエントリーシートや小論文、面接などの対策を行っていく。

 「なぜその大学を目指すのか、その先何をやりたいのかなど、じっくり対話しながら指導を行います。今年都立大に進んだ生徒は、エントリーシートの書き直しを10回近く行いました。時間をかけて考え、書き、話すことの繰り返しでプレゼンテーション能力が高まるとともに、自分の思いを再認識でき、成長にもつながります」

 もちろん、一般入試の生徒にもきめ細かいフォローを行っている。「高3の進路別選択授業は、科目によっては非常に少人数で、個別指導に近い状態になりますが、たとえ生徒が1人でも実施します」

 受験校を最終決定した後も、教員は、勉強のスケジュール立てや併願を含めた受験日程を生徒と膝を突き合わせて話し合い、冬期講習や直前講習でサポート。個別の質問や論述問題の添削などにも対応する。

 「私も担当する日本史の過去問対策で、国公立2次入試の前日まで生徒とメールをやりとりして解答の添削を行いました。ある教育機関の方に『ここまでやっている学校は見たことがない』と言われたこともあります」

 将来への着実な意識付けときめ細かいフォローは、進学実績に表れているという。2021年卒業生の実績を見ると、総合型選抜や学校推薦型選抜試験の合格者は74.2%に及び、「日東駒専レベル」以上の大学への進学率は58.5%と6割台に迫る。

 こうした学習・進学指導に力を注ぐ一方、同校は、点数化できない知性と精神の力を重んじ、それを「非認知型智力」と呼んでいる。この「智力」は、「地球規模で考え、足元から行動するチカラ」「人と上手な関係を構築するチカラ」「思考・判断して文字化するチカラ」「考えて行動するチカラ」「自らサイクルを回し続けるチカラ」の「5つのチカラ」に分類され、それらを身に付けるためのさまざまな取り組みを行っている。江藤教頭は、この「5つのチカラ」もまた、「機に応じて活動できる女性の育成」に欠かせない要素として養成に全力を注いでいる。

 「これからは、大学を出て企業で定年まで勤めて終わりではなく、二毛作、三毛作の人生となるでしょう」と江藤教頭は予想する。「その都度『次はこうしよう』と道を選び、人生を豊かに生き切ってほしい。そのための『5つのチカラ』であり、『30歳からの自分を考える』キャリア教育です」

 (文:上田大朗 写真:中学受験サポート 一部写真提供:中村中学校・高等学校)

 中村中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方は こちら

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2277245 0 中村中学校・高等学校 2021/08/26 05:01:00 2021/08/26 05:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/08/20210811-OYT8I50060-T.jpg?type=thumbnail

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