動画と記述・論述入試で新たな出会いを…湘南学園

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 湘南学園中学校高等学校(神奈川県藤沢市)は今年度から、従来の2科目、4科目入試に加え、「湘南学園ESD入試」を導入した。試験内容は事前の「動画の提出」と当日の「記述・論述」の二つだ。その目的を担当教諭に聞くとともに、新入試に合格して今春、入学した第1期生の声を紹介する。

受験生自身が納得し、ワクワクできる入試

 2013年にユネスコスクールに加盟した湘南学園は、ユネスコが主導する「ESD(持続可能な開発のための教育)」の考えを取り入れた独自の「湘南学園ESD」を築き、教科授業や総合学習、グローバルプログラムなどに展開している。

 この「湘南学園ESD」を生かして今年度作り上げた新たな入試が「湘南学園ESD入試」だ。試験内容は事前の「動画の提出」と当日の「記述・論述」に分かれる。

新入試の目的について話す山田教諭
新入試の目的について話す山田教諭

 今年度、提出する動画のテーマは「小学校時代に取り組んだこと」及び「湘南学園に入学したら挑戦したいこと」だった。90秒以内で受験者が語る様子を動画に収めて事前に提出する。そして当日の「記述・論述」は、国連加盟国が30年までに達成するために掲げた「SDGs(持続可能な開発目標)」の17のゴールに関する記述・論述試験だった。ただ、SDGsに関する細かい知識を問うものではなく、ゴール達成に対するアイデアなどを記述する内容となっている。

 新入試を始めた目的について、国語科の山田美奈都教諭は、「『湘南学園でこういうことをやってみたい』という思いを持った生徒と出会いたい、そして今までの入試では出会えなかった生徒とも出会うきっかけを作りたいと考えた結果です。湘南学園に入りたいと思う生徒にとって、選択肢が増えればと思っています」と説明する。さらに、「中高6年間を過ごす新しい場所に出会うための入試を、苦しいものではなく、ワクワクできるものにしたいです」と笑顔を見せた。

 試験内容に「動画の提出」を含めたのは、「生徒が納得して、試験に挑めるように」との思いからだという。「面接は一発勝負なので、小学6年生が納得できる形では終わらないかもしれません。私自身も中学受験の面接でうまく話せなかったことを、いまだに鮮明に覚えています。生徒の心に後悔を残したくないと考え、納得するまで撮り直しができる動画を選びました」と山田教諭は説明する。

動画撮影と親子のコミュニケーションについて話す末廣教諭
動画撮影と親子のコミュニケーションについて話す末廣教諭

 また、動画の撮影を通した親子のコミュニケーションも大切にしたかったという。理科の末廣友里教諭は、「子供を中心に、小学校でどんな経験をしてきたのかなどを親子で話し合う。そんな場として、動画撮影は興味深いものだと思います」と語る。

 入試広報主任の小林勇輔教諭も、「運動会の動画を見るように、入試の動画を親子で見る。照れくさいという生徒もいますが、それは自己肯定感の裏返しです。親に動画を見てもらって肯定され、自信を持つ。その積み重ねが大切だと思います」と話す。

 この新しい入試の狙いについて小林教諭は、「特別なスキルを求めているわけではありません」と言う。「動画の提出や記述・論述というと、自分の意見をまとめたり、伝えたりする力を重視していると思われがちですが、決してそうではありません。この入試をきっかけに、生徒も保護者も湘南学園とはどんな学校かを、深く知ってもらいたいと考えています」

「学校について深く知ってほしい」と話す小林教諭
「学校について深く知ってほしい」と話す小林教諭

 もちろん、ESD入試も選抜試験である以上、独自の評価基準はあるが、公開する考えはないという。その理由について山田教諭は、「評価基準を提示すると、保護者はその基準に近い動画を作ろうとし、その子らしさや、その子の可能性を潰してしまうことがあります。何かの基準に合わせるのではなく、『その子らしさ』を大切にしてほしいと考えています」

 小林教諭も「学校説明会でも話していますが、試験の評価基準に向かって準備することが得意な場合は、国語・算数の2科目入試や、国語・算数・理科・社会の4科目入試が適しているかもしれません」と話す。「各々自分に合った入試、興味のある入試を選んで、受験していただければと思います」。受験者一人一人の個性を入試でも大切にしたいという考えなのだ。

入試の準備が家族のコミュニケーションを生む

ESD入試の感想を話す第1期生たち
ESD入試の感想を話す第1期生たち

 今年2月1日に行われた「湘南学園ESD入試」は10人程度の募集枠に対し、39人が受験した。そのうち男子6人、女子7人の計13人が合格し、その全員が入学した。新入生は全部で約200人。2科目・4科目入試で入学した生徒は約110人、付属小からの内部進学者は約80人となっている。

 入学して3か月半ほど()った7月16日、同校を訪れてESD入試第1期生に試験の感想を聞いた。

 動画の撮影については、3、4回で完成した生徒もいれば、50回以上撮り直した生徒もいた。家庭では動画をきっかけに多くのコミュニケーションが生まれ、家族全員がOKを出すまで撮影し続けた生徒や、合格後、親戚一同に動画を披露した生徒もいた。

「入学後の生徒の新しい一面を発見できることが新鮮」と話す圓谷教諭
「入学後の生徒の新しい一面を発見できることが新鮮」と話す圓谷教諭

 動画のテーマについては、「『小学校時代に取り組んだこと』を考えることで、自分自身を見直すきっかけになった」と話す生徒もいれば。「湘南学園に入学したら挑戦したいこと」というテーマについて、「たくさん挑戦したいことがあったので話しやすかった」とする生徒もいた。

 小林教諭は提出された動画について、「湘南学園に入ってから何ができるのか、という生徒のワクワクが動画から伝わってきました」と話す。また、理科の圓谷真人教諭は、「動画で見られた一面だけでなく、入学後の生徒の新しい一面を発見できることが新鮮で、うれしく感じます」と語った。

 「記述・論述」については、SDGsに関する新聞記事や本を読んだり、17のゴールについて、一つ一つ自分なりの対策を考えたりするなど、それぞれ準備を行って試験に臨んだようだ。

1期生からやりたいことや夢が次々飛び出す

 試験の感想に続いて、入学前と入学後で、湘南学園のイメージはどうかも聞いてみた。すると、全員「イメージ通り」という答えが返ってきた。そのイメージというのは「先生が自分たちのアイデアを聞いて、自分たちで進めていいと言ってくれるところ」「生徒中心であることころ」などだという。

 最後に第1期生に、これから湘南学園でやりたいことや将来の夢を聞いてみた。すると、「海外研修に行きたい」「部活でレギュラーを取りたい」「SDGsの項目と好きなダンスを関連させて、何かできることをしたい」「アニメの原画師になって世界中の人を笑顔にできる映画を作りたい」など、次々活発に発言していた。

 「イメージ通り」の湘南学園で、素晴らしい6年間を過ごし、それぞれの夢を実現してほしいものだ。

 (文:籔智子 写真:中学受験サポート)

 湘南学園中学校高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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826544 0 湘南学園中学校高等学校 2019/10/08 05:21:00 2019/10/08 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/10/20191003-OYT8I50009-T.jpg?type=thumbnail

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