【特集】入試改革2年目、多様な個性に対応する学習支援態勢…八王子実践

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 八王子実践中学校(東京都八王子市)は2019年度に入試改革を行い、新設した三つの入試によってさまざまな個性の生徒たちを集めた。今年度も「プログラミング入試」を新設し、ますます幅広い得意分野や志向を持つ生徒を受け入れている。新入試1、2期生の様子を紹介するとともに、2年後の進学を視野に入れて高校に新設した「総合進学コース」などについて、改革を主導した入試広報部の伊藤栄一郎部長に話を聞いた。

四つの新型入試で志願者、入学者が増加

入試改革について説明する伊藤先生
入試改革について説明する伊藤先生

 同校が2019年度に導入した3種類の新しい入試方式は、自分の得意分野をエントリーシートとプレゼンテーションでアピールする「自己表現入試」、帰国生などの受験を想定して実用英語技能検定3、4級レベルの筆記試験と英語の面接を行う「英語入試」、そして進学志向の生徒向けに理科・算数の文章題や作文を課す「適性検査入試」だ。さらに今年度は、小・中学校のプログラミング教育開始を踏まえ、自作のプログラムを面接でプレゼンテーションする「プログラミング入試」も導入した。

 その結果、募集定員20人に対し、19年度は53人、20年度は50人が志願するという大きな反響を得た。入学者も昨年度は「自己表現入試」で17人、「英語入試」で1人、「適性検査入試」で2人となり、今年度は、「自己表現入試」で12人、「英語入試」で2人、「適性検査入試」で5人、「プログラミング入試」で1人を迎えた。

 入試広報部の伊藤栄一郎部長によると、入試改革以前、中学校は定員割れの状況が続いていたという。全国大会レベルの実力を持つ中高の女子バレー部を目指す応募者は一定数いたものの、その他の生徒を引きつける決め手に欠き、一時は閉校さえ検討されたという。

 「それまでは入学が15人程度、しかもその半数ほどはバレー部という状況だったので、入試改革は大成功と言えます。広報に力を入れましたし、高校で実績を挙げたことで中学も注目され始めたのだと思います」

 同中の入試改革は、系列校の八王子実践高校などで2015年度から進められてきた教育改革に連動して導入されたものだ。同高では難関大学進学を視野に入れ、放課後自習のための専用室や大学生チューターによる学習サポート体制を整え、長期休暇中の講習会も充実させてきた。「さまざまな施策が功を奏し、昨年度は日東駒専以上の合格者が2年連続で100人を超えるなど、高い進学実績を挙げるようになりました」と伊藤教諭は語る。

生徒のさまざまな得意分野や取り組みを応援

自己表現入試でおはやしを披露する受験生
自己表現入試でおはやしを披露する受験生

 伊藤教諭によると、新入試の型によって生徒の個性も変化があるそうだ。「自己表現入試」の生徒はバレー部志望のほかに、地域芸能のおはやしやチアダンス、フィギュアスケート、バイオリンが得意など、多彩な才能を持つ生徒が集まっている。

 「プログラミング入試」の生徒は、「サーティファイ」の情報処理能力認定委員会による「ジュニア・プログラミング検定」の1級取得者だ。「入試ではノートパソコンを持ち込んで自作のゲームをプレゼンし、面接した教員を驚かせていました」。「英語入試」で入学した生徒には英検2級、3級の生徒がいて、「日常の英会話に不自由がないレベルで、ネイティブや日本人の英語教員と会話を楽しむような面接でした」。

プログラミング入試で作品をプレゼンテーションする受験生(右奥)
プログラミング入試で作品をプレゼンテーションする受験生(右奥)

 新入試で入学した中1・2生について、伊藤教諭は「あらゆる面で積極的」という特色があると言う。「以前の生徒に多少見られた『やらされている』感がなく、『自分がやる』気持ちに満ちています。授業で教員が質問を出すと、挙手ももどかしい様子で次々と答えや意見が飛び出します。分野によっては教員の予想を超えたマニアックな答えも飛び出します。今年の新入生は、昨年に輪をかけて元気な印象です」。

 今年の新入生は、昨年度の学校説明会で現中2生の説明やパフォーマンスを見た生徒が多いという。今年の説明会でも、プログラミング入試で入った1年生を中心に制作した学校のプロモーション動画が披露された。「1年生に刺激を受けて、中2生も秋の文化祭の企画などに張り切っているようです。好きなことも強みもバラバラな生徒たちですが、互いをリスペクトする姿勢があります。そのためか、入学時には人と話すのが苦手だった生徒も次第に周囲の影響を受け、盛んに発言や行動をするようになっています」

ネイティブの教員(奥)に面接を受ける英語入試の受験生
ネイティブの教員(奥)に面接を受ける英語入試の受験生

 学校としても、それぞれの生徒の得意分野や取り組みを尊重し、応援する構えだ。英語入試で入った生徒に対しては、通常の英語授業ではなく、別室でネイティブの教員との対話をベースに授業を行う。

 ただ、教科によって習熟度にばらつきがある生徒も多く、個人単位のきめ細かい学習サポートが必要になる。そこで、従来は受験勉強の支援を目的としていた放課後補習を見直し、その日の授業内容を確実に身に付けるための自習システム「J-Piece(ジェイ・ピース)」を設けた。個別ブース型のデスクをそろえた自習室で、宿題や習熟度に応じた課題プリントなどに取り組む。達成感をやる気につなげるため、解いたプリントの枚数をグラフ化するなどの工夫も行っている。さらに、隣室には曜日替わりで各教科の教員が在席し、生徒の質問に答える態勢も整えた。また、生徒が習い事や練習の都合を優先できるルールにしたのも特色だ。

進路未知数な生徒受け入れのため高校にコース整備

 同校は現在、中学と高校でカリキュラムが分かれており、来年度に中3となる新入試の1期生も、エレベーター式に八王子実践高校へ進むわけではない。これまでと異なる個性豊かな生徒たちの将来を支えるために、高校でも受け皿作りが進んでいる。

 「これまでにないタイプの生徒が多いため、彼らがどんな進路を目指すのかは正直、未知数です」と伊藤教諭は話す。中学生には度々アンケートや面談を行って進路意識を調べており、高校でも観察、検証を継続したいという。

 「一つ考えられるのは、早期のスキルアップを求めて専門性の高い大学や専門学校を志向したり、資格取得や起業を目指したりする生徒が増えるのではないかということです」

 そうした生徒のため、今年度から高校に新設したのが「総合進学コース」だ。このコースは「先進科学クラス」「国際教養クラス」「総合教養クラス」の3クラスから成る。それぞれのクラスが八王子にキャンパスを持つ専門性の高い大学や専門学校と連携し、単位互換制度などによって通常の高校のレベルを超えた学習ができるのが特色だ。

 「先進科学クラス」は東京工科大や日本工学院八王子専門学校との連携により、AIやIoT、ロボットなどの探究学習を行う。「国際教養クラス」は拓殖大学外国語学部・国際学部と連携し、英語ほかの外国語スキルを磨く。「総合教養クラス」は日本工学院八王子専門学校と連携し、看護・医療系やスポーツ系を中心とした進路をサポートする。

 「この『総合進学コース』に、国公立大を目指す『特進コース』、難関私大を目指す『選抜コース』の3コースで中学生を迎えます。今後は完全中高一貫のカリキュラム整備も進め、どんな個性の生徒も自分に合った進路を目指せる学校にしたいと思っています」

 最後に伊藤教諭は、受験生にこう呼びかけた。

 「進学校から総合大学、そして一般企業へという進路の固定観念を捨てるべき時代が来つつあります。現在の成績はどうあれ、『自分にはこんな良いところや得意分野がある』と胸を張る子にどんどん来てほしい」

 (文:上田大朗 写真:中学受験サポート 一部写真提供:八王子実践中学校)

 八王子実践中学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1402164 0 八王子実践中学校 2020/08/13 05:22:00 2020/10/22 11:24:42 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/08/20200811-OYT8I50031-T.jpg?type=thumbnail

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