生徒一人一人の学びを積み重ねた「十月祭」…日本女子大附

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 日本女子大学附属中学校・高等学校(川崎市)は10月5、6の両日、中学校の文化祭「十月祭」を開催し、2日間で6263人と昨年より1000人以上多くの来場者を集めた。「十月祭」は、クラブや委員会の活動成果を披露する場であるだけでなく、広く生徒たちの学習発表の場と位置付けられており、教科や校外学習の成果などの展示やプレゼンテーションがさまざまな形で行われた。この学習発表を中心に生徒たちの活躍ぶりをリポートする。

日頃培ってきた思考力と表現力の集大成

6200人余りの来場者数があった「十月祭」
6200人余りの来場者数があった「十月祭」

 今年の「十月祭」の基本方針は「Colorful PUZZLE」だという。同校ホームページの学園祭特設コーナーには、「パズルのピースが形や色など1つ1つ違うように、私達1人ひとりが得る経験も異なります。十月祭までの期間で得た『経験』という名のピースで十月祭を作りあげていきましょう」とあった。十月祭行事委員会を中心に、この日に向けて準備してきた生徒たちの姿が目に浮かぶようだ。

 他校の学園祭同様、同校でも運動系・文化系のクラブ活動や生徒会の活動成果がキャンパス狭しと繰り広げられてはいるが、「十月祭」にはさらに、学習発表に力を入れているという特徴がある。広報部主任の峯岸憲一教諭は「各生徒が日頃の学習で培ってきた思考力と表現力が集大成されています」と話す。

 同校を取材に訪れた10月6日も、教室などに設けた多くのコーナーで、日頃の授業や校外学習をはじめ、学校行事、夏休みの宿題、3年生が自由テーマで取り組む「年間研究」など、あらゆる学習の成果が、リポートやポスター展示、プレゼンテーションなどにまとめられ、保護者や来客の注目を集めていた。

「日頃の学習で培ってきた思考力と表現力が集大成されている」と話す峯岸教諭
「日頃の学習で培ってきた思考力と表現力が集大成されている」と話す峯岸教諭

 最初に向かった3年生の展示教室は、入り口横の壁一面にびっしりと壁新聞風のまとめが貼り出してあった。夏休みに取り組んだ「自分が好きな街を英語で紹介するガイドブック」の記事だといい、全て英語で書いてある。室内に入ると、四方の壁にポスター発表の掲示がずらりと並ぶ。多くは9月に行われた「選択校外学習」のまとめ発表だ。3年次では福島の「ブリティッシュヒルズ」、広島、関西、越後、北陸の5地域から1コースを選び、2泊3日の学習旅行を実施する。その内容や感想が模造紙にまとめてある。各教科の学習内容や学校行事、東京・目白台の日本女子大で行われた特別講義の報告もあった。

 「校外学習は表面的な知識をなぞるだけではなく、事前に見るものの社会背景や歴史を学び、事後に感想やリポートをまとめ、確実に身に付けます」と案内してくれた峯岸教諭は話す。

 次に2年生の教室に足を運ぶと、9月の東北校外授業のまとめ発表が目に付いた。この授業は50年以上続いている伝統の学びだ。展示されていた旅行の「しおり」は、各訪問地の資料や見学項目ごとの書き込み欄があるチェックシートなどで構成されており、「授業」であることがよく分かる。また、訪問予定地の宮沢賢治記念館(岩手県花巻市)に関連して事前学習した解説文やイメージ画、東北を詠んだ俳句作品なども展示され、事前・事後の学習によって学びを深めていることがよく感じられた。

参加者を熱くさせるプレゼンテーションや座談会

「教科発表」では各学年の代表が学習成果のプレゼンテーションを行った
「教科発表」では各学年の代表が学習成果のプレゼンテーションを行った

 2階廊下の一角にある集会スペース「もみじフォーラム」では、両日とも1時間ほど「教科発表」が行われ、各学年5~10人の代表者がスライドショーを使って学習成果をプレゼンテーションした。

 選択校外学習で関西コースを選んだ3年生は、写真を見せながら訪問先や宿泊地での研修会などの様子を報告し、「古墳時代から幕末まで、それぞれの時代の息吹を感じた」と、いかにも歴史のある土地を巡ったという感想で締めくくった。

 「過去を背負い、未来を創る」と題して国語の教科発表を行った3年生は、「アンネの日記」から読み取った人間の心の問題に触れ、「国語の授業を通して、考える楽しさを学んだ。アンネの思いを引き継ぎ、今も差別や争いが残る世界を変えたい」と語った。

 また、この日は正午から生徒会主催の座談会が開催された。各学年の代表生徒約40人と保護者十数人が集い、「令和のHeroineは私だ。~新時代の創り方を探る」というテーマで1時間の討論を行った。

 3年生の生徒会役員が司会を務め、まず「これからの時代に感じる『期待』と『不安』」について参加生徒に意見を求めた。AIや医療、娯楽の進化に期待する声が上がる一方、「AIに頼って人間の能力が低下する」「かえって人間の負担が増えるのでは」という意見もあった。

 その後、「そんな時代の中で『働く』とはどういうことか」「社会に出て必要になること」についても討論した。「女性も自立して生計を立てる能力が必要」「協調性とともに、ブレない芯の強さも持たなければ」などの意見が出た。発言は初めのうちは3年生が主体だったが、議論に刺激を受けたのか、だんだん手を挙げ始める1、2年生の姿も目立った。

 さらに司会が、保護者にも「学校で学んだことが社会で役立った経験」について発言してくれるように求めると、「仲間と何かをやり遂げた経験は大きい」「目的を持って勉強した方が良い」などと応じる姿が見られ、「学校はたくさんの選択肢やヒントをくれる。自分に合うものを選び取る力を持って」と生徒に呼びかける女性もいた。

自分の考えを持ち、伝えられる女性

生徒会主催の座談会では、活発な討論が交わされた
生徒会主催の座談会では、活発な討論が交わされた

 さまざまな展示やプレゼンテーションに共通して感じられたのは、いずれも受け手に伝えるためのスキルに気を配っていることだ。リポートは、細かいが丁寧な読みやすい字、大きな見出し、写真やイラストの活用などの工夫が見られ、教科発表や座談会では、どの生徒も聞き手に顔を向け、大きな声ではっきりと話していた。

 作品展示についても同様だ。美術で「パレイドリア現象」をテーマに取り組んだ、自画像と「自分に似ている」と思った物品の写真を組み合わせた作品や、家庭科で製作したろうけつ染めのバッグやパジャマなどの作品には、それぞれ製作意図や苦労した点などを200~400字にまとめた文章が付けられていた。2年生のぎょうざ作りも、作る手順から家族で味わう様子まで写真付きのリポートにまとめてあった。

 「本校では普段の授業から、表現力を付けることを重視しています」と、峯岸教諭は解説する。「日本初の女子大学校として設立された日本女子大学には、いわゆる良妻賢母ではなく、『一個の人格として男性と対等に活躍できる女性』を育てるという理念があります。併設校である本校もこの理念を踏まえ、『自分の考えを持つこと』と『伝えること』を鍛えるべく、各教科でたくさんのリポートやプレゼンに取り組んでいます」

 十月祭行事委員長を務めた生徒は「一人一人の学びや発見を積み重ね、大きな作品にするのが『十月祭』。仲間の作品を多くの人に知ってほしい」と話した。副委員長を務めた生徒は、「準備の時にたくさんのことを考えて意見を出し、それをみんなに伝える文章もたくさん書きました。みんなの作品を楽しんでほしいです」と充実感のある笑顔を見せた。

 さまざまな機会を捉えて、物事を考え、それを表現していく、そうした学びを楽しんでいる生徒たちのエネルギーが結実した学園祭だった。

 (文:上田大朗 写真:中学受験サポート)

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924569 0 日本女子大学附属中学校・高等学校 2019/12/03 05:22:00 2019/12/03 05:22:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/11/20191129-OYT8I50007-T.jpg?type=thumbnail

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