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【特集】オンライン活用で広げた国際理解の場…日本女子大附

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 日本女子大学附属中学校・高等学校(川崎市)は、中学2年生を対象に「国際理解教室」に取り組んでいる。国際社会の一員としての自覚を深めることなどを目的としており、約20年前から、アフガニスタンについて関係者による講演を聞くなどの活動を続けてきた。今年度はコロナ禍による制約を受けたが、その中で磨いたオンラインスキルを生かし、世界で活躍するОGたちとのトークセッションを実現するなど新たな展開を見せている。

国際社会の一員として今、自分に何ができるか

「国際理解も行動につながるように自主性をもって取り組むことを大事にしています」と話す峯岸教諭
「国際理解も行動につながるように自主性をもって取り組むことを大事にしています」と話す峯岸教諭

 同校は、国際人としての意識を養うことを重視し、中2で「国際理解教室」に取り組んでいる。これは中学で週1時間の授業や土曜日を活用して行う「総合的な学習」の一環で、2002年からは、アフガニスタンを対象に学びを深めてきた。国際機関などでアフガニスタンの支援活動を行っている人たちを招いて講演を聞くだけでなく、歴史や現状、現地の子供たちの教育に関して調べ、国際社会に生きる一員として、今、自分に何ができるかを考える機会にしているという。

 広報部主任の峯岸憲一教諭は、「本校の教育方針は『自念自動』、つまり自分で考え、学び、行動できる人になるため、いろいろなことに関心を持ってもらおうとしています」と話す。「国際理解もその一環で、やるからには行動につながるように、受け身の姿勢ではなく、自主性をもって取り組むことを大事にしています」。毎年、新入生の何人かは、同校の国際理解教育に興味があって入学してくるといい、生徒たちは皆、高い関心を持っているという。

遠いアフガンと身の回りのことがつながる

Zoomで行われたレシャード氏の講演
Zoomで行われたレシャード氏の講演

 この国際理解教育の一環で同校は、2015年から毎年1月、アフガニスタン出身で、現在日本で医師として活動しているレシャード・カレッド氏を招いての講演会を開いてきた。今年度はコロナ禍のため通常の開催は断念し、オンラインで開催したが、峯岸教諭はこれに先立ち、新しい試みとして、各クラス2人の国際理解委員に対し、自分たちのクラスでアフガニスタンをテーマとする1時間の授業を行うよう提案した。

 「最初は敬遠されるかと思いましたが『面白そう』と好反応だったのはうれしい驚きでした。各委員は、それぞれ動画をつくったり、ボランティアや寄付活動を紹介したり、とても工夫を凝らしてくれました。授業を受けた生徒たちも意識を高めて講演会に臨むことができたと思います」

 1月20日にこの授業を行った2人の国際理解委員に話を聞いた。主にボランティアや国際支援のテーマを担当した勝木沙香さんは、アフガニスタン東部で用水路の建設に携わった中村哲さんの活動や、ユニセフの募金がどのように使われているかを調べて紹介した。「特に、2019年に銃撃を受けて亡くなった中村さんの功績については、もっとみんなに知ってほしいと思いました」

アフガニスタンをテーマに国際理解委員が行った授業のまとめ
アフガニスタンをテーマに国際理解委員が行った授業のまとめ

 また、歴史・文化と現状の紹介を受けもった高村真紀さんは「アフガニスタンに興味を持ってもらうために動画をつくって見てもらいましたが、紛争の歴史は100年以上もさかのぼるので、どこをピックアップして、どこを省くかで悩みました」と授業作りの苦心を話した。また、2人とも「資料作りなどは大変でしたが、クラスメートの反応が良く、やりがいがありました」と口をそろえた。

 レシャード氏のオンライン講演は1月21日、ビデオ会議システムのZoomを使って行われた。高村さんは「本や写真で見ていた時は、どこか遠い存在という思いがありましたが、同じ人間として、安心して暮らせない状況があることを重く受け止めました」とし、勝木さんは「レシャード先生が現地で撮られた写真には、取材も入らないような地方の村の光景や地雷で手足を失った子供たちが写っていて、実感を伴って知ることができました」と話した。

 この講演について峯岸教諭は、「レシャード氏はアフガニスタンの現状だけでなく、『中学生のあなたたちが今できることを考えてほしい』と語りかけてくれました。生徒は、遠い国の出来事と身の回りのことがつながって、また一つ視野を広げる機会が得られたと思います」と話した。

卒業生との対話から世界の中の日本を考える

世界で活躍している卒業生たちとのトークセッション
世界で活躍している卒業生たちとのトークセッション

 レシャード氏の講演だけでなく、同校の教育活動はコロナ禍によってさまざまな制約を受けたが、「この経験があったからできたこともあります」と峯岸教諭は話す。「離れていてもオンラインでつながれることやICT(情報通信技術)を使った表現スキルが伸びたことなどは一例です」

 2月13日の国際理解教室では、まさにそのスキルを発揮し、世界で活躍している卒業生たちとのトークセッションが実現した。

 「急な話でしたが、心当たりがある卒業生に声をかけたところ、快く応じてくれました」と峯岸教諭は話す。米ニュージャージー州で児童保護をしている人、ハワイでブライダルの会社に勤務している人、タイで調査会社に勤務している人、ハワイの大学院で研究をしている人、フィンランドの大学院に学ぶ人、フランスの大学院で学ぶ人とバラエティーに富んだ6人の卒業生がオンラインで参加した。

 当日の教室は、国際理解委員の司会で進行し、まず卒業生がスライドなどを使って自己紹介。海外で暮らすことになった経緯やコロナ禍での海外生活の様子などを話した。その後の質問の時間では、生徒から中学時代の経験がどう生きているか、最近の日本のニュースをどう受け止めているかなどの質問があり、卒業生たちは飾りのない言葉で回答していた。

 卒業生の話を聞いた勝木さんは「海外ではデモが盛んで、危険なイメージが強かったのですが、多くの人が平和的に行うデモもあって、現状を変えていこうという意思の表現だと知りました」と、高村さんは「教育が受けられる、将来の夢を見られる自分たちはとても恵まれていると思いました。今後は、自分たちに何ができるかを考え、世界のためにできることをしたい」と、それぞれ感想を話した。

 峯岸教諭は、国際理解教室を含めた「総合的な学習」について「中学時代はいろいろな種をまく時期で、講演会や今回の卒業生とのセッションもそのためにあります。この経験が生徒たちの人生のいつかどこかで花を咲かせ、実を結んでくれることを願っています」と話す。

 勝木さんはこれから、障害者支援に取り組んでみたいと言う。また、高村さんは子供食堂などのボランティアに参加したいそうだ。「総合的な学習」は、確かに生徒の行動を促すきっかけになっているのだろう。

 「生徒がどう考え、動き、何を生み出していくのか。教員の役目はそれをサポートすることです。こうした活動を続けていくことが本校の文化になるのだと思います」と峯岸教諭は語った。

 (文:山口俊成 写真:中学受験サポート 一部写真提供:日本女子大学附属中学校・高等学校)

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1883300 0 日本女子大学附属中学校・高等学校 2021/03/04 05:01:00 2021/03/04 05:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/03/20210303-OYT8I50014-T.jpg?type=thumbnail

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