「新入試」で好奇心あふれる受験生と出会う…京都女子

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 京都女子中学校・高等学校(京都市)は、2019年度募集から新たに「キュリアス入試」を導入する。試験当日の成績だけでなく、学びの過程も評価する自己推薦型の入試だ。募集定員は約10人。新入試の内容と、伝統ある女子校が新たな取り組みを始める目的などを林信康校長に聞いた。

試験結果だけでなく学びの過程にも着目

――新しく導入する「キュリアス入試」とはどういうものですか。

「主体的に学ぶことの出発点は好奇心」と話す林信康校長
「主体的に学ぶことの出発点は好奇心」と話す林信康校長

 「キュリアス入試」の「キュリアス」とは「好奇心が強い」という意味です。好奇心にあふれ、自ら学ぶ姿勢を持つ受験生と出会うための入試ということです。自己推薦型の入試で生徒約10人を選抜します。

 入試当日の点数だけでなく、自己アピールのリポート、英語や算数などの資格の有無、京女オープン模試を含めたさまざまな模試の結果、小学校の成績など、学びの過程も含めて総合的に合否を判断します。当日の試験は、算数と講義理解力試験の2科目です。自然科学分野の講義を聴き、その後、内容についてリポートを作成してもらいます。

 英語や算数の検定資格の有無を問うのは、大学入試での英語の外部試験導入を考慮してのことです。外部試験に興味を持ち、チャレンジしている姿勢を評価します。ですから、どの検定でないとダメであるとか、難度の高い級の方が有利というわけではありません。

 出願については11月下旬までに「資格確認申請書」を提出し、確認を受けてください。12月中旬に出願の可否を通知する予定です。試験日は「A入試」と同じです。6月上旬に詳細の発表を予定しています。

社会や大学入試の変化に対応した入試

――新しい入試を導入する目的を教えてください。

 今、社会が変わり、求められる能力が変わってきているからです。大学入試も変化しつつあります。AI(人工知能)やロボットなどの進化で社会構造は変化しており、従来の能力では対応できない時代になっています。文部科学省も、思考力・判断力・表現力や主体性・多様性・協働性を育むことを提唱し、今後、学習指導要領も変わっていきます。

 高校生の進路指導を通じ、私立大学だけでなく国公立大学でも入試が大きく変わりつつあることを実感しています。英語の外部試験導入も本格的に進展します。「キュリアス入試」は大学入試の変化を考慮した入試方式なのです。

 ただ、京女の教育が今回、大きく変わるかというと、そうではありません。生徒の主体性を重んじた自由な校風、浄土真宗を基にした人間性を育む宗教教育、女子に特化した指導ノウハウの蓄積などは変わることのない本校の基礎です。

――「キュリアス入試」で入学した生徒は、その後どう学んでいくのですか。

 本校には三つのコースがあります。京都女子大学への進学を前提とした10年一貫教育の「ウィステリアコース」、国公立大学、難関私立大学への進学を目指す「2類」、そして難関国公立大学、医歯薬理系学部への進学を目指す「3類」です。

 今回の「キュリアス入試」で入学した生徒は「3類」へ進みます。このコースは、誕生してから16年になります。人気が高まって6年前に2クラス体制にしましたが、進学実績が良いことからますます人気が高まっています。本校が10年前に立てた「3類」の構想が、変化する時代にぴったり合ってきたと実感しています。

――「3類」の特徴を教えてください。

京都大学で学ぶ世界各国の留学生と英語で交流する高校生
京都大学で学ぶ世界各国の留学生と英語で交流する高校生

 本校の学習指導はいずれのコースでも、細かく管理し、強制することはせず、生徒の好奇心を刺激し、主体的に学ぶ姿勢を生み出すことを重視しています。

 「3類」では、これに加えて中高6年間を通じて知的好奇心を育む数々のプログラムを実施しています。中学入学後、京都大や大阪大などに進学した卒業生にインタビューする時間を設けています。2年生になると京都市動物園の研修室でレクチャーを受け、園内の動物観察を行います。また、2年生、3年生を対象に、京都大学で学ぶ世界各国からの留学生と英語で交流します。高校生になると京都大学放射性同位元素総合センター(RIセンター)を訪問し、専門講義を受けることや、「京都大学出前授業」といって院生を学校に招き、専門分野の講演をしてもらうこともしています。

 出会いによって子供は変わります。特に思春期、中高時代は、相性の合う先生との出会いはもちろん、講演会など外の世界を知ることで大きく変わります。好奇心を刺激する仕掛けを学校が施し、興味を持てるものを見つけたら、そこをほめます。主体的に学ぶことの出発点は好奇心なのです。教員たちも生徒の好奇心を引き出す授業力に自信を持っています。

未来のマリー・キュリーを育てたい

――試験科目は算数と自然科学分野の講義の理解ですから、理系に強い女子を求めているということでしょうか。

 本校の生徒に理系志望が多いことは確かです。「3類」は理系志望の生徒が半数以上で、進学先の割合を見ると文系対理系が3対5です。中でも医学・歯学・薬学・看護学部への進学が多く、国公立と私立を合わせた医・歯・薬・看の合格者数は2016年がのべ136人、2017年が167人、2018年が213人と年々増えています。建築やデザインなど工学部への進学希望者も多いですよ。「女性は数学が弱い」、と言う人がいますが、そんなことはありません。

 しかし、「理系が、文系が」というのではなく、本校では中高の学び全体において「文理融合」という考え方を推し進めています。読解力や表現力は国語だけに必要なのではなく、数学にも理科にも必要です。理系の進学希望者にも表現力や読解力が必要ですし、文系の進学希望者にも数学的思考力が必要です。教員はそうした教科横断的な指導に取り組んでいます。

――新入試を紹介するパンフレットの表紙に「キュリアスから未来のマリー・キュリーへ」とありますね。

「京女」の愛称で広く知られている京都女子中学校・高等学校
「京女」の愛称で広く知られている京都女子中学校・高等学校

 キュリー夫人は、小学生向けに書かれた伝記もあってよく知られた世界的な研究者ですから。女性に学問の道が開かれていない時代に勉強に励み、母国ポーランドで研究職に就くことを望んでいましたが、フランス人の研究者ピエールと結婚してパリで一緒に研究することを選び、ノーベル賞受賞後は、後進の研究者のために賞金を寄付しています。国や名誉でなく、家族や志を同じにしている人のためにという選択は女性的な価値観ではないでしょうか。

 本校は長年にわたり、卒業生を世に送り出しています。優秀な卒業生も多く、社会のさまざまな場所で立派に活躍しています。しかし、日本社会が女性らしく能力を発揮できるかというと、まだまだ男性中心社会ではないでしょうか。日本女性のノーベル賞受賞者が出るような社会になってほしいですね。それが本校の卒業生ならどれほどうれしいでしょうか。京女は、夢や可能性に上限を設けることなく、生徒と向き合う学校なのです。

 (文・写真:水崎真智子 写真提供:京都女子中学校・高等学校)

 京都女子中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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528608 0 京都女子中学校・高等学校 2019/04/10 05:21:00 2019/04/10 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/04/20190409-OYT8I50029-T.jpg?type=thumbnail

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