【特集】知的好奇心を刺激する大学専門講義プログラム…京都女子

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 京都女子中学校・高等学校(京都市)は、知的好奇心、探究心を育むさまざまなプログラムを実施し、主体的に学ぶ姿勢を育てることを目指している。高校生を対象に、京都大学の協力を得て行っている「放射線研究」講義では、受講前から生徒たちが5か月もかけて受講後のディスカッションを準備する。講義で与えられる知的刺激と主体的な学びが生徒たちを大きく成長させるという。プログラムに参加した在校生と卒業生に話を聞いた。

好奇心が主体的に学ぶ姿勢を育てる

「好奇心を刺激することで主体的に学ぶ姿勢が育つ」と話す小林教諭
「好奇心を刺激することで主体的に学ぶ姿勢が育つ」と話す小林教諭

 同校は、生徒の知的好奇心、探究心を育むさまざまなプログラムを実施している。特に難関国公立大学や医・歯・薬・理系学部への進学を目指す「3類」コースでは、中高6年間を通して知的好奇心をより深い学びへとつなげるための特別プログラムを実施しており、中学では、京都市動物園での実地観察、留学生と英語で対話する国際交流などが行われている。

 中学・高校の理科を担当する小林悠亮教諭は、「好奇心を刺激することによって、知りたい、学ぶことが楽しいという気持ちが生徒の中から引き出され、主体的に学ぶ姿勢が育ちます」と話す。「特に成長の度合いが大きい中高6年間に、好奇心が刺激される体験をして、自身で考える多くの機会を得た生徒は、視野を広げて次へと成長する準備が整い、能力を伸ばしていきます」

 大学での高度な学問の世界に触れさせるプログラムもその一つだ。同校は京都大学の協力を得て「放射性同位元素総合センター(RIセンター)」で開かれる「放射線研究」という講義に生徒を参加させている。また、同大大学院生を学校に招いて専門分野の講義をしてもらう「京都大学出前授業」などのプログラムもあり、高校生になると参加することができる。

 高校3年生の早川茉優さんは、2年前にRIセンターでのプログラムに参加した。「初めて大学の研究の場を訪れて、研究者の専門的な講義を聴きました。一つの分野を深く掘り下げて研究するという大学での学びに興味が湧きました」と話す。

 中学、高校とは次元の異なる大学での学びが少しイメージできて、進学が楽しみになったというが、その一方で、自分のあり方について反省する機会にもなったという。この時のプログラムに参加していた福島県の高校生が、原子力発電所の問題についてしっかりと意見を表明する姿に刺激を受けたからだ。「同年代の生徒が、身の回りの課題に対して問題意識を持って行動している様子を見て、『私は何もしていないな』と焦りを感じました。教科書の内容を学ぶだけではなく、自身で興味を持って学びを深めていかなければならないと気付かされました」

5か月のディスカッション準備を通して得た学び

卒業生の鳥居さん(左)と石田さん
卒業生の鳥居さん(左)と石田さん

 このプログラムでは専門講義のあと、3類の生徒全員でディスカッションを行っている。ディスカッションの企画・進行は、新聞部員と立候補した有志が務める。大阪市立大学理学部1年に在籍中の鳥居千智(ちとせ)さんは、高校1年生の時に新聞部に所属しており、同級生で、現在は京都大学法学部1年に在籍する石田あかりさんと共に、企画・進行のメンバーとして活躍した。

 その時のディスカッションは、放射線に関するテーマを設定して是非を問う内容だった。企画・進行のメンバーは、あらかじめ論点を整理しておき、当日は議論を促すために、賛成派と反対派に分かれて最初に意見を表明する役目がある。鳥居さんらはまず、京都大学の教授からレクチャーを受け、資料を集めて調べ、メンバー間で意見交換を行い、約5か月かけてディスカッションを準備したという。発表当日は多くの生徒を巻き込んで活発な意見が飛び交い、有意義なディスカッションが行われたという。

 鳥居さんは「多くの学びがありました」と当時を振り返る。「資料が足りなくてもう一度、京大まで話を聞きに行ったこともありましたが、教授は意欲を受け止めてくれて、思いがけないほどの学びを与えてくださいました。行動することの大切さが分かりました」

ポスターセッションの場で研究者や他校の生徒と交流し、刺激を受ける
ポスターセッションの場で研究者や他校の生徒と交流し、刺激を受ける

 鳥居さんはそれまで、「答えのない課題について考える学び」をあまり経験したことがなかったという。「大学生になった今、勉強は一方的に教わるものではなく、答えのない課題に自ら取り組んでいくものだと実感しています。その気付きのきっかけとなったのは、『放射線研究』のメンバーとしての経験だったと思っています」

 石田さんは、「仲間と一緒に学んだからこそ考えを深められた」と、当時の印象を話す。「課題にじっくりと時間をかけて取り組む中で、たくさんの意見交換をしました。1人ではあれほど深く考察して説得力のある意見をまとめられなかったと思います」

 石田さんと鳥居さんらメンバーは京大教授に勧められて、のちに学会でのポスターセッションにも参加した。研究者と交流したり、他府県の学生とディスカッションしたりする機会にも恵まれ、「他の参加者から刺激を受け、いい経験ができました」と2人は話した。

 理科教員として生徒をサポートしてきた小林教諭は、「プログラムをきっかけに、生徒たちが成長し、主体的に学びを得ている様子をうれしく思っています」と顔をほころばせる。「理科以外の教科でも新たなプログラムを計画しており、今後も生徒の知的好奇心を引き出す仕掛けを推進していきます」

 早川さんは現在、薬学部への進学を目指している。石田さんは検察官を目指しており、鳥居さんは身の回りの現象を物理学で解き明かしたいと意欲を膨らませている。ますます多くの生徒たちが知的好奇心を大切にして、自分の道を見つけていくことを期待する。

 (文・写真:溝口葉子 一部写真提供:京都女子中学校・高等学校)

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1633206 0 京都女子中学校・高等学校 2020/11/19 07:00:00 2020/11/19 07:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/11/20201117-OYT8I50020-T.jpg?type=thumbnail

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