主体的な活動で個性を伸ばすクラブ活動…駒場東邦

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 駒場東邦中学校・高等学校(東京都世田谷区)は、個性を伸ばし、豊かな人間性を育む場としてクラブ活動への参加を奨励している。生徒たちは中学入学とともに、小学校時代に経験のない活動にも積極的に取り組み、8~9割の生徒が高2まで活動を続けるという。数あるクラブの中から、近年、目覚ましい実績を誇る軟式野球部と囲碁部を紹介する。

生徒の8~9割が高校2年でも活動を続ける

「好きな活動を通じ、個性を伸ばしていってほしい」と話す堤裕史教頭
「好きな活動を通じ、個性を伸ばしていってほしい」と話す堤裕史教頭

 名門私立中学の狭き門を潜るには多くの努力が必要だ。駒場東邦に入学してくる生徒たちもほとんどは好きなスポーツや趣味を楽しむ余裕もなく、受験勉強に追われる小学生時代を過ごしている。だからこそ「中学に入学したら、勉強だけでなく好きな活動を通じ、個性を伸ばしていってほしい」と堤裕史教頭は語る。

 同校には16の体育クラブと15の文化クラブに加え、映画、ゴルフ、奇術などの16の同好会があり、そのほかにも生徒会や新聞、放送、図書などの活動がある。学校としてクラブ活動を大いに奨励していることもあり、中学1年でクラブ活動を始めた生徒の8~9割が高校2年になっても何らかの活動を続けているそうだ。

 限られた放課後の活動時間を上手に使い、どのクラブ・同好会も集中して成果を出しているが、特に、近年、活躍が目覚ましい軟式野球部と囲碁部に焦点を当てて、活動ぶりを紹介しよう。

全員で勝つための戦略を練る「軟式野球部」

グラウンドで練習に励む軟式野球部の部員たち
グラウンドで練習に励む軟式野球部の部員たち

 軟式野球部は、今年の春季東京都高等学校軟式野球大会で2年連続3回目の優勝を果たした。昨年は関東大会でも優勝しており、強豪校として注目されている。

 実績を出せているのは、部員に少年野球経験者が多いからではない。むしろ、中学に入って初めて野球をやるという初心者が多く、経験者も中学受験を控えて長く野球を休んでいることがほとんどだ。

 活動時間も下校30分前までの1時間50分と限られている。グラウンドでの練習は中学は水・木・土曜日、高校は火・木・土曜日で、中学は火・金曜日を、高校は水・金曜日を素振りや筋トレなどの練習に当てている。それも早めに切り上げて塾や習い事に通う部員もいるし、文化部と兼部する生徒もいる。月曜は活動自体やっていない。

 それでどうして勝てるのか。高1の秋からキャプテンを務める永幡崚太君(高2)に聞くと、「技術が高いチームではありませんが、部活動は生徒に任されており、勝つために全員で話し合い、どんな野球にしたいか戦い方を練ります」と強さの秘訣(ひけつ)を明かした。

 永幡君は、8歳上の兄が駒場東邦の軟式野球部で活躍するのを見てきて、「自分も」と思い、入学した。目標は、やはり兄と同じく東京大学に進学し、軟式野球部で野球をすることだという。

 野球の練習と勉強を両立させるのは大変だ。永幡君はそのために、授業に集中することを心がけてきた。また、高校生になってからは通学路の途中にある図書館の自習室で、午後9時まで勉強することを習慣付けているという。

 今年の関東大会の試合は、中間テストの前日に行われた。レギュラーの選手たちも移動や隙間時間に単語帳などを開いて勉強したそうだ。後輩たちは、その様子を見て「野球と勉強は両立できる」と自信を持ったことだろう。

 ここに中高一貫校のメリットがある。中学のうちから高校生の先輩を身近に見て、部活動のあり方や勉強の仕方など多くを学ぶことができる。また、高校受験がないので中学の3年間きっちりクラブ活動ができる。

 軟式野球部では中1で入部した部員のほぼ9割が高2の引退まで活動を続けるという。関東大会へと勝ち進めば高2の秋まで活動できる。勝利の止まった時点が引退だ。一日でも長く野球をやりたいという心理も、勝利を目指す原動力となっているに違いない。

部員の半数以上を有段者が占める「囲碁部」

30年の歴史を誇る強豪の囲碁部
30年の歴史を誇る強豪の囲碁部

 囲碁部は、中学生が春の文部科学大臣杯中学校囲碁団体戦東京大会で優勝。高校生も全国高等学校囲碁選手権東京大会で第3位の成績を残し、それぞれ全国大会への出場を決めている。

 囲碁部は30年の歴史を誇る。部員は中学生が12人、高校生が8人と比較的少人数だが、20人の部員のうち11人が有段者という精鋭ぞろいだ。部員たちは放課後、教室に集まって対局したり、棋譜を読み解いたり、読みの力を伸ばすためのテキストで学び、日々腕を磨いている。

 部長の福元倫太郎君(高2)が囲碁を始めたのは小学1年生の時だ。駒場東邦の囲碁部の強さを当時から知っており、憧れの先輩を追って入学した。その先輩は入れ替わりに卒業してしまったが、OBが毎年秋に母校を訪ねて在校生と行う交流戦で対局ができて夢がかない、感動したという。

 福元君は中学2年の時に、第38回文部科学大臣杯少年少女囲碁大会全国大会で準優勝した。また、第14回小・中学校囲碁団体戦全国大会では主将として部を優勝に導いている。

 藤野英輝君(中3)は、そんな福元君を見て駒場東邦に入学し、囲碁部に入った。春の都大会は、その藤野君を主将とし、中2の野口直樹君、中1の長倉高志君の3人で団体戦を勝ち抜いた。全国大会もこのチームで戦った。

 「長倉君は小4から囲碁を始め、今回、全国大会に出場しました。たった4年で全国にたどり着ける可能性があるのが囲碁です。中高は6年間あります。初心者でもしっかり取り組めば結果がついてくるクラブです」と藤野君は力説する。

「私は見守るだけ」と話す囲碁部顧問の塩満隆幸教諭
「私は見守るだけ」と話す囲碁部顧問の塩満隆幸教諭

 軟式野球部同様に、囲碁部の活動も部員たちが自分たちで決めていく。野口君は「全国大会で優勝する強いクラブなので、厳しい指導があるのかと想像していたのですが、実際は自由でゆるい雰囲気です」と話すが、この「自由でゆるい」とは、受け身ではなく、部員が自分たちで考えて動くクラブということのようだ。日々の練習メニューだけでなく、大会へのエントリーや合宿計画なども、部員が主体となって進める。顧問の塩満隆幸教諭も「囲碁は生徒の方がうまいので、私は見守るだけ」と話す。

 囲碁の才能について部長の福元君に尋ねてみた。「詰碁は時間がかかります。辛抱強く考え続けなくてはならない。それを苦労と思わず集中できるのが天才です。ただ、天才であってもなくても上達するための時間は必要。だから頑張って努力すれば結果はついてくるのです」と語った。

 駒場東邦には「駒東の3F精神」と呼ばれる言葉がある。「Friendship、Fair play、Fighting spirit」の三つの言葉の頭文字で、行動規範として長く受け継がれてきた。「友好関係を通じ、公正に勝ちを目指し、努力を続ける、この精神の大切さを、本校ではクラブ活動でも学んでいます」と堤裕史教頭は話す。

 確かに軟式野球部と囲碁部も、仲間とともに技を磨き、勝利を目指し、練習の努力を重ねている様子がうかがえた。また、生徒たちが見せた知的な戦略性も、都下指折りの進学校として知られる同校らしさと思われた。

 (文:水崎真智子 写真:中学受験サポート 一部写真提供:駒場東邦中学校・高等学校)

 駒場東邦中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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868696 0 駒場東邦中学校・高等学校 2019/10/29 05:22:00 2019/10/30 15:23:22 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/10/20191028-OYT8I50031-T.jpg?type=thumbnail

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