24時間を効率よく使い「文武両道」を実現…鎌倉学園

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 鎌倉学園中学校・高等学校(神奈川県鎌倉市)は、「文武両道」をモットーに掲げ、学業と部活動の両立に努めている。神奈川県内指折りの進学校でありながら、多くの運動部が全国大会出場を目指して厳しい練習に励んでいる。その中から硬式野球部と陸上競技部に焦点を当てて、指導する教諭と部員たちの声を聞いた。

特別な待遇なしでも強豪校に引けを取らない運動部

甲子園での初勝利を目指して練習に励む硬式野球部の部員たち
甲子園での初勝利を目指して練習に励む硬式野球部の部員たち

 鎌倉学園中学校・高等学校では部活動が盛んだ。16運動部、15文化部、8同好会が活動しており、部活動の加入率は中学生ではほぼ100パーセント、高校になっても70パーセント台はキープしているという。

 なかでも運動部には山岳部、アメリカンフットボール部、ボクシング部、硬式野球部など運動強度の高い種目がそろっているが、部員たちは特別な待遇を求めて同校の門をたたいたわけではない。「スポーツ重視の強豪校とは違い、本校にはスポーツ推薦もなければ、学生寮もありません。それでも、それらの強豪校と遜色(そんしょく)ない運動部があることは、本校のモットーとする文武両道の精神が受け継がれている証しでしょう」と松下伸広副校長は語る。

 もちろん学業も決しておろそかにはされない。取材で訪ねた6月28日は、期末テストまであと1週間と迫った時期だった。「本校では定期テストの1週間前から部活動はお休みになります。60席分ある予習室はにぎわっているし、教室で勉強する生徒もいます。成績が振るわない野球部の生徒は、部室で勉強をしてからグラウンドに行くこともあるぐらいです」

 こうして学業成績を保つ一方、運動部のきびしい練習を続けている生徒たちの中でも、「全国大会出場」の高い壁に挑み続けているのが硬式野球部と陸上競技部だ。

甲子園で勝って校歌を歌うという悲願

硬式野球部のOBでもある竹内智一監督
硬式野球部のOBでもある竹内智一監督

 「目標は甲子園で勝って校歌を歌うこと」。同校硬式野球部のOBでもある竹内智一監督は言い切る。昨年の夏、硬式野球部は、悲願の甲子園初出場を懸けて南神奈川大会決勝に臨んだが、強豪・横浜高校を前に涙をのんだ。「本当にたくさんの方々に声援と励ましをいただきました」

 しかし、わずか1か月後の秋季大会で無念の初戦敗退を味わう。「そこから我々は長い冬を過ごし、今春の大会では初戦から4回連続逆転勝ちという劇的な戦いができるように成長したのです。とりわけ、向上高校との対戦は延長14回タイブレイクの末、勝利を収め、生徒たちの大きな自信になったと思います」

 硬式野球部は現在、部員71人の大所帯だ。なかでも3年生部員19人は1年次の入部以来、誰一人として辞めていない。互いに励まし合って3年目の夏を迎えた。

 ただ、ベンチ入りメンバーは県予選20人以内(全国大会18人以内)と決まっている。一所懸命頑張ったからというだけでベンチ入りさせることはできない。

 背番号1を着ける投手の作野友哉君(高3)は、「ベンチに入れなかった仲間もいますが、彼らも一緒に戦っている。一日でも長くこのチームで戦いたい」という。内野手で三塁ベースコーチも務める後藤隼君(高3)も「控えに回った仲間には、『自分たちの思いも任せた』と言われています」と話す。

 例年、夏の大会が終わると、他校と3校で平塚市営平塚球場を借りて、控えの選手たちだけで試合をするという。「そのときはレギュラーの選手たちが裏方になり、試合をサポートします。そういう選手一人一人を思いやる気持ちが本校野球部の活躍につながっているのでしょう」と松下副校長は語る。

 今年の県大会は準々決勝で日大藤沢高校に行く手を阻まれたが、甲子園での初勝利を夢見て、新チームの練習はすでに始まっている。

精鋭13人、初出場の全国高校駅伝でたすきをつなぐ

陸上競技部顧問の保田進教諭
陸上競技部顧問の保田進教諭

 同校陸上部は昨年12月、京都で開催された全国高校駅伝に男子で初出場した。部員13人(当時)の少数精鋭で一丸となって、たすきをつなぎ、16位と健闘した。

 陸上競技部顧問の保田進教諭は、「うちの陸上部は、OBたちが情熱的で大会の1週間前からテントを設営して旗を立て、選手たちをサポートしてくれました。今年もインターハイに出場する選手が2人いて、昨年の駅伝のメンバーも残っているので、全国大会出場は狙えると思います」と意気込む。

 部員は現在19人。練習は週2回の朝練と、平日午後3時10分から5時30分までの放課後練習がある。1キロ走をインターバルで5、6本走ったり、12キロの野外走を組み合わせたりして、短時間に集中してトレーニングしているという。

 副部長を務める岡田祐太君(高3)は「高いレベルのトレーニングを積んで、大会への質の高い準備をするのが、鎌倉学園陸上部の魅力です。インターハイに出場する2選手に負けまいという思いで、部員たちはみんなハングリー精神を持ち、今年暮れの全国高校駅伝を目指しています」と話した。

 保田教諭は、「社会に出て何か苦しいこと、壁にぶつかったときに、どうすれば乗り越えられるのか。それは、苦しいトレーニングや悔しかったことを思いだすことで解決の糸口が見つかるように思います」と話す。陸上競技の厳しい練習を通して、生徒たちは単なる競技力を超えて、生きる力を学んでいるのだろう。

部活に勉強に、24時間を効率的に使い分ける

朝練や放課後練習に励む陸上競技部の部員たち
朝練や放課後練習に励む陸上競技部の部員たち

 とはいえ、全国大会を目指す厳しい部活動と、大学入試に向けての受験勉強を両立させるのは簡単なことではない。「文武両道」を実現するために、それぞれの部員たちはどのように時間を捻出しているのか。

 硬式野球部の竹内監督は「24時間をどう配分するかです。野球をやっていない時間はすべて学習するように伝えてありますが、生徒たちは『なぜ、勉強しなければいけないのか』という意味もきちんと理解して、優先順位をつけていると思います」と話す。

 同部の後藤隼君は「電車通学にかかる30分の時間に集中して勉強します。たとえば、得意科目の世界史なら、授業のノートを確認し、おさらいして頭にたたき込みます」という。同部の作野友哉君は「自分は授業をしっかり聞いて、空き時間にその内容を頭の中で思い浮かべます。そのあと、記憶できたかどうかをプリントで確認する。そのくり返しです」と、自分なりに工夫した勉強法を紹介した。

 陸上部の岡田祐太君は「僕はまず睡眠時間を7時間確保することを優先しています」と話す。「それは部活の練習で最高のパフォーマンスをするためです。帰宅したら、まずストレッチ、柔軟体操、筋トレをし、食事も練習の一部と考えてしっかりと取る。自宅での勉強は、寝る前に単語の暗記などを行います。翌朝は5時に起きて、昨晩記憶したことのチェックをしています」

 みんな、24時間の使い方を工夫して、部活と勉強を高度に両立させているようだ。「運動部の生徒たちの集中力は素晴らしいものがあります。それは日々の練習や試合での判断力、時間のやりくりなどで培われたものでしょう」と松下副校長は目を細めた。

 甲子園球場で鎌倉学園の校歌が斉唱される日もやがて来るだろう。年末の京都で同校の駅伝ランナーが沿道を駆け抜けるシーンも目に浮かぶ。「文武両道」を実現している生徒たちの颯爽(さっそう)とした姿が印象に残った。

 (文:田村幸子 写真:中学受験サポート 一部写真提供:鎌倉学園中学校・高等学校)

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847940 0 鎌倉学園中学校・高等学校 2019/10/18 05:21:00 2019/10/18 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/10/20191016-OYT8I50058-T.jpg?type=thumbnail

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