【特集】オンラインで国際会議、世界中の高校生とコロナ対策を語る…吉祥女子

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 吉祥女子中学・高等学校(東京都武蔵野市)の生徒10人が5月、アメリカの姉妹校が主催する「高校生オンライン国際会議」に参加し、新型コロナウイルス問題についてさまざまな観点で世界中の高校生と意見交換を行った。生徒たちは国や文化の違いを超えて交流し、地球市民としての価値観や、世界に貢献しようとする気持ちを膨らませた。

世界中から100人以上の高校生がオンラインで集う

 第1回の開催となった「高校生オンライン国際会議」は、アメリカの姉妹校「Miss Porter′s School(以下、MPS)」の呼びかけで開催された。同校はケネディ元大統領夫人ジャクリーン・ケネディ・オナシスを始め、各界にリーダーを輩出する名門私立女子校で、吉祥女子との間で留学生の相互受け入れを行っている。

 「MPSとの間で、各国から生徒を集めた国際セミナーを夏休みに企画していましたが、新型コロナウイルスが世界的に感染拡大したため、前倒しして5月にオンラインで行うことになったのです」と国際交流部長の橋口勝代教諭は話す。

 5月の毎週土曜日4回にわたって、世界に散らばるMPSの姉妹校から100人以上の女子高生がオンライン上で集まった。吉祥女子からは1年間の留学経験がある生徒と留学予定の生徒が合わせて10人参加した。前半の3回では、医療、行政、テクノロジーの各分野から新型コロナウイルスに対する専門家の講演を聞いたあと、少人数に分かれて対策を考えるグループワークを行った。最終回の4回目に、各グループはそれぞれ考えた対策を発表した。

中川さんがデザインしたチームのロゴマーク
中川さんがデザインしたチームのロゴマーク

 中川絵衣(えい)さん(高2)は「毎週土曜日の夜が楽しみでした。特にグループワークが楽しかった」と話す。中川さんは、アメリカ、インド、スペインの生徒たちと協働して、「Humate」というNPO団体を設立することを提案したという。「Human(人間)とMate(仲間)の合成語です。企業などと協力して、食料や生活必需品をコロナ禍で困っている人に安く届けるシステムを考案しました」。

 中川さんは昨年までオーストラリアの姉妹校に1年間留学し、オーストラリア人生徒との対等の代表選考を勝ち抜いて、留学期間中にインドで行われた高校生国際会議に参加した。「留学の経験や国際会議の経験が役に立ち、今回のプレゼンにつながりました」と喜ぶ。プレゼンテーションの内容だけでなく、チームのロゴマークも中川さんが担当した。「オンラインならコストも時間もかからずに、海外の友達とつながれます。このプロジェクトは終わりましたが、SNSで今も友達としてつながっています」

 (ひがし)真優(まゆ)さん(高2)は「感染して抗体を持つ母親が母乳を与えるべきか否か、というような専門的な講義で、新たな発見がたくさんありました」と話す。

オンライン会議に世界中から100人以上の高校生が集まった
オンライン会議に世界中から100人以上の高校生が集まった

 グループワークではアメリカ、スペイン、インドの生徒と話し合い、無料の教育アプリを製作することを考えた。「世界中の学校が休校になり、国によってはオンライン授業がない学校もあったので、学びを止めないために授業動画を配信するアプリを考えました」

 東さんも留学経験で自分の思ったことを英語で話せる自信が付き、グループワークはスムーズにできたというが、「作業を始めた後でインドではWi-Fiがつながりにくいと知り、世界中の生徒がWi-Fiでアプリ使用できることを前提に企画した点を反省しました。国によって全く状況が違うと実感しました」と話す。毎週協働作業を続けた仲間とは今もSNSでつながっていて、「同世代だから共感できることもあるし、国が違うとこんなに違うと驚くところもある。これからもつながっていきたい」と話した。

 山口亜弥さん(高1)は9月に予定していたアメリカ留学が、1年延期となってしまった中で、この会議に参加した。「1週目は専門用語が多く、聞き取るのに精いっぱいでしたが、だんだん理解できるようになり、3週目には自分の意見をグループワークでも伝えられるようになりました」と話す。

 山口さんは中国、インド、タンザニア、スペインの生徒と話し合い、教育をテーマに発表した。中国の生徒がVR(バーチャルリアリティー)やAR(拡張現実)を使う提案をしたのに対して、タンザニアの生徒がICT環境の格差が大きい現状では「本をもっと大切にするべき」と話したのが印象に残ったという。「理想は一緒でも、それが達成できるかどうかは、国の状況によってこんなに違うのかと実感しました」と話した。

リーダーシップやチャレンジする力を養う

 金原(きんばら)慶佳(よしか)さん(高1)は、アメリカとスペインの生徒と協力し、生徒同士で勉強を教え合うアプリについて発表した。英語を習いたい生徒は英語圏の生徒に教えてもらい、日本語を習いたい生徒は日本人生徒に教えてもらうというように、得意な教科を相互に教え合うシステムだ。「チャットやビデオ電話を使って作業を進め、台本を作って、動画を組み合わせて発表しました」

 金原さんは、カナダの姉妹校に6月まで留学する予定だったが、3月に帰国が早まってしまった。今回のグループワークも、姉妹校のオンライン授業を受けながら頑張ったという。「全力でやる、というのをすごく大事にしています。カナダで培った全力で粘り強くやる力、チャレンジする力が、今回の国際会議にも生きたと思います」

小張さんのグループが発表した、感染予防のため飲食店の混雑状況を知らせるアプリ
小張さんのグループが発表した、感染予防のため飲食店の混雑状況を知らせるアプリ

 小張(こばり)陽葉(ひよ)さん(高2)も昨夏からMPSに1年間の留学をしていたが、6月までの予定が3月に早まった。今回は帰国後もMPSの生徒として会議に参加した。小張さんは「南アフリカの医療体制の確立に尽力するアメリカ人医師の話が印象的でした」と話す。グループワークでは、感染予防のためレストランなど飲食店の混雑状況を知らせるアプリを提案し、動画で発表して準優勝に輝いた。

 韓国、インド、南アフリカの生徒とのミーティングは時差があって大変だったというが、「よりよい結果を生み出すには意見交換が重要で、それをまとめるリーダーシップの大切さを実感しました」と言う。また「挑戦することの大切さ、チャンスを生かす大切さも学びました。この会議に挑戦しなかったら、こんなに大きな達成感は味わえませんでした」と話した。

地球市民として世界に貢献する心を育てる

 同校は「社会に貢献する自立した女性の育成」を建学の精神とし、「互いの価値観を尊重しましょう」という校是に基づき、社会性や協調性、国際性を身に付ける目的で、1971年という早期から短期留学を開始し、国際教育を重んじてきた。

「地球市民として世界に貢献する人間を育てたい」と話す橋口教諭
「地球市民として世界に貢献する人間を育てたい」と話す橋口教諭

 「本校が育てたいのは、地球市民=グローバルシチズンとして世界に貢献する人間です」と橋口教諭は話す。「創立者の守屋美賀雄は、常に『外国の人を大切にしなさい』と言っていました。人と違うのは当たり前であり、お互いの個性を認め合おうということです。国際交流に力を入れているのも、地球のどこにいても社会に貢献できる地球市民を育てるためです」

 同校は、中3で希望者向けにカナダ短期留学を用意している。また、6か国に9校の姉妹校・友好校があり、生徒が研修に訪れたり、留学生を受け入れたりして交流を深めてきた。年に約10人がこれらの学校へ1年間留学に旅立つ。「留学に行く前は大丈夫かなと心配するような生徒でも、留学中の経験を通して、ぐんと伸びて、別人と思うくらいに成長してきます」と橋口教諭は目を細める。今回のオンライン国際会議に参加した生徒についても、「本当に大きく成長しています。こうした経験を通して、リーダーシップやフォロワーシップが身に付き、世界に貢献しようという心が育ちます」と話した。

 グループで準優勝した小張さんは「AI技術を学んで、体の不自由な人に役立つものを開発したい」と、山口さんも「発展途上国が自立するための基盤を作るお手伝いがしたい」と話していた。生徒たちの世界に対する感じ方は、まさに「地球市民」と呼ぶにふさわしいものではないだろうか。

 (文・写真:小山美香 一部写真提供:吉祥女子中学・高等学校)

 吉祥女子中学・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1447367 0 吉祥女子中学・高等学校 2020/09/02 05:21:00 2020/10/26 11:17:55 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/09/20200901-OYT8I50044-T.jpg?type=thumbnail

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