ターム留学で世界の中の自分に目覚める…城北

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 城北中学校・高等学校(東京都板橋区)は、グローバル人材の育成を目指し、海外研修や留学制度の充実に力を入れている。昨年度から新たに導入したターム留学制度では、10人以上の生徒が、世界各地の40校以上のハイスクールから留学先を選んで旅立っていくという。同校のグローバル教育の狙いや、ターム留学1期生となった現高2生の話を聞いた。

「国際教育委員会」で海外・国内研修プログラム作り

グローバル教育の方向性を話す紫藤潤一教諭
グローバル教育の方向性を話す紫藤潤一教諭

 同校はグローバル時代に対応できる人材の育成を目指し、5年前に「国際教育委員会」を設置した。

 「社会のグローバル化は年々進み、海外で仕事をする日本人も増えています。ですが、現場を知る企業の方々や卒業生に聞くと、『日本人は労働市場でなかなか勝てない。その原因は英語力より、コミュニケーション能力の差だ』と言うんです。英語力は語学学校でも身に付けられますが、コミュニケーションスキルの養成は中学、高校の役割が重要です」。「国際教育委員会」の委員長を務める紫藤潤一教諭は、同校のグローバル教育の方向性をこう語る。

 同校は、「グローバル人材」を「世界のどこでも学べる・仕事ができる・生きていける人材」と定義している。そうした人材に必要な、ツールとしての英語力や、コミュニケーション力、問題解決力、海外に目を向けるマインドなどを総合的に育成するプログラム作りに取り組んでいる。

 最初に手がけたのは海外研修の改革だ。それまでもハワイとオーストラリアへ研修旅行を実施していたが、「ほとんど観光旅行」だったため、2017年度からは抜本的に内容を見直した15日間のオーストラリア語学研修をスタートさせた。

内容を見直し、2017年に再スタートした「オーストラリア語学研修」
内容を見直し、2017年に再スタートした「オーストラリア語学研修」

 中3、高1生の2割前後が参加するこの研修では、それぞれゴールドコーストのグリフィス大学、ボンド大学で行われる。レベル別に12、13人のクラスに分かれ、午前は英語の授業、午後は大学生を交えたアクティビティーやディスカッション、さらにキャンパス内の学生に「将来の夢」などを聞くインタビュー活動を行う。そのほか、現地の小学生やハイスクールの生徒と交流したり、クイーンズランド大学で日本人の院生に話を聞いたりする。宿泊は現地の一般家庭でのホームステイだ。

 「語学力向上より、自分の壁を打ち壊すのが目的。日本と違う世界を見せて、『意識を少し変えればそこへ踏み出していける』と感じさせたい」と、紫藤教諭は狙いを話す。

 生徒や保護者の人気も高く、昨年度は中3が51人、高1が72人参加した。「ただ、あまり多人数だとケアが行き届かなくなるので、今年度から中・高それぞれ40人に絞ることにしています」

少人数クラスで4技能を集中的に鍛錬する「イングリッシュシャワー」
少人数クラスで4技能を集中的に鍛錬する「イングリッシュシャワー」

 同じ時期に、「国内留学」の位置付けで3日間のプログラム「イングリッシュシャワー」も開始した。中1から高1を対象に年3回、毎学期の期末試験休みを利用して実施している。簡単な自己紹介からディベートへの挑戦まで、4ランクのプログラムが組まれ、生徒6人以下の少人数クラスにネイティブの講師1人という体制で、英語のみを使い、4技能を集中的に鍛錬する。全生徒の4割ほどが参加しているという。

 このプログラム作りには英語科教員の意見も取り入れ、授業に即した内容を盛り込んでいる。「授業に出てきた言い回しが結構使えると分かると、習ったことを総動員して取り組むようになり、その後の授業にも真剣になれる。相乗効果ですね」

自分に合った留学先でコミュニケーションを楽しむ

 昨年度から新たに導入したのが、高1の3学期に行うターム留学だ。アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの40校を超えるハイスクールの中から、本人の希望と学校の特色を考えて留学先を選び、3か月間学ぶ。昨年度は12人が参加した。今年度は11人の参加が決まっているという。

ターム留学の体験をプレゼンテーションする生徒
ターム留学の体験をプレゼンテーションする生徒

 この留学に参加するには、実用英語技能検定2級程度の英語力があることに加え、日英両国語の志望書の提出と試験、学校長面接、さらにSkypeによる現地校との面接を受けなければならない。

 ターム留学に参加した2人の現高2生の声を紹介しよう。

 アメリカ・カリフォルニア州のスティール・キャニオン・ハイスクールに留学した末永琢人君は、「他国の文化を学びたいと思った。元々、人と話すのが苦手でもあり、そういう自分を変えるきっかけも欲しかった」と留学の動機を語る。

 授業では体育の「ワークアウト」が印象に残ったという。「アメリカンフットボールをやっている生徒たちと一緒になり、色々話せて楽しかった。アニメ『NARUTO -ナルト-』の大ファンだそうで、僕はそれまで見たことがなかったんですが、改めて見ました」

 アメリカの学校ならではの楽しさも経験した。「ASB(Associated Student Body)」という生徒会に当たる学生組織があって、そのメンバーが、時々昼食時間に教室に入ってきてレクリエーションを始めるという。「水を張ったバケツに浮かんだオレンジを口で取り出すゲームなど、楽しかった。『フォーマル』と呼ばれる学校のダンスパーティーにもスーツを着て参加しました」

 目標だった「自分を変えるきっかけ作り」についても、「前より自己主張ができるようになった。リスニングの点数が上がったし、洋楽にも興味を持つようになりました」と手応えを話した。

 堀内翔太君は、国際企業でテクノロジー系の職業に就く夢を持っている。説明会で見たニュージーランドの風景が「のびのびしていて楽しそうと思った」ことから、同国のタウランガ・ボーイズ・カレッジに留学した。

 特に印象に残ったのは、日本との生活文化の違いだそうだ。「夕方5時になると店がみんな閉まるので驚きました。夜は家族で過ごす時間なんですね」

 ホストファミリーは留学生を10年間受け入れているベテランで、「ゆっくりと分かりやすい英語で話してくれました。家事を手伝ったり、親戚の家に一緒に行ったりして仲良くなれました」

 クラスにもフレンドリーな生徒が多く、身ぶり手ぶりを交えてコミュニケーションした。「意外とどうにかなる」という感触を持った一方で、「まだまだ力が足りない」とも実感した。アジアからの留学生が多かったことも刺激になったようだ。帰国後はまず、語彙(ごい)力を付けると目標を決め、授業にも熱が入っているという。

留学のグレードアップや海外大学への進学も

 同校は、留学前後のフォローアップも重視している。出発直前の10月から12月にかけて事前研修を実施し、行き先国の基礎知識を学ぶほか、ホストファミリーとのやり取りや現地校の授業を想定した会話練習、健康管理や非常時の対応についての学習も行う。

 留学中は、現地スタッフが定期的に面談や電話インタビュー、アンケートなどを実施して状況を把握し、2週間に1回程度、報告を行う。帰国後は生徒一人一人が留学体験をプレゼンテーション資料にまとめ、4月後半に発表する。そのほか英文による留学リポートも作成する。

 「留学を経験した生徒は英語への意欲や外国への関心が増すのはもちろんですが、『自分が動かないと何も始まらない』という自主性が芽生えるケースが多いですね。家庭で家事や料理の分担を申し出る生徒もいるようです」

 ここまでの成果を踏まえ、紫藤教諭はプログラムのさらなる充実も構想している。

 「実力が高い生徒のために、海外研修のグレードアップ版を検討しています。1年留学も、単位の問題をクリアして実現したい。海外の学校との姉妹校提携なども考えています」

 海外大学への進学にも力を入れたい考えだ。「現在も毎年1、2人の生徒が海外の大学へ行きますが、ぜひ学年で2桁を実現したい。昨年度、ボストンで暮らしている卒業生数人が集まり、世代を超えた同窓会を開きました。こうしたことが世界各地に広がってほしい。今学んでいる生徒たちがパイオニアになってくれればうれしいですね」

 (文:上田大朗 写真:中学受験サポート 一部写真提供:城北中学校・高等学校)

 城北中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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916912 0 城北中学校・高等学校 2019/11/27 05:22:00 2019/11/27 05:22:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/11/20191125-OYT8I50019-T.jpg?type=thumbnail

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