英語が母語でない留学生とリラックス英会話…鶴見大附

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 鶴見大学附属中学校・高等学校(横浜市)は、「学びの心で世界を変える」という教育ビジョンの下、国際教育に取り組んでいる。さまざまな試みの中でもユニークなのは、英語を母語としない留学生たちと英会話を楽しむ「イングリッシュラウンジ」だ。国際色豊かな地域の特色を生かした「学び」の現場をリポートする。

さまざまな外国人の住む鶴見ならではの学びの空間

「イングリッシュラウンジ」の狙いを説明する英語科の立田教諭
「イングリッシュラウンジ」の狙いを説明する英語科の立田教諭

 同校の立つ横浜市鶴見区は、さまざまな国籍の外国人が数多く住んでいる。JR鶴見線に乗れば、多様な言語が車内で飛び交っているのが普通の光景だ。

 英語科の立田由起子教諭は「そんな鶴見だからできた「学び」の空間が『イングリッシュラウンジ』なのです」と説明する。「イングリッシュラウンジ」は、毎週木曜日の放課後1時間、英語が母語でない留学生が講師として来校し、生徒たちと英語で交流する場だ。

 鶴見区には留学生や研究者のための宿泊施設「横浜市国際学生会館」があり、地元の大学や専門学校で学ぶために世界各地から集まった120人余りの外国人が生活している。

 同校は、この外国人たちが以前から地元と積極的に交流し、小学校などに「出前授業」をしていたことに着目。2016年に国際学生会館と提携して、彼らを講師として派遣してもらうことにした。講師の条件は「英語を使って自国の文化を紹介できる留学生」という1点。最初の講師はイタリア人で、現在はアフリカ系、中東を含めたアジア系の学生が多いそうだ。

 「母語が英語ではない外国人に教わる、ということが特徴です。母語が英語圏の教師だと、文法的に正確な英語をしゃべらないといけないのだと、生徒は構えてしまう。語学は思いを伝えるための道具に過ぎませんから、もっとリラックスして英語に接し、学習のハードルを低くしようと考えました」と立田教諭は狙いを説明する。

英語が母国語でない講師だからこそのメリット

自国で、はやっていることを生徒に紹介する留学生
自国で、はやっていることを生徒に紹介する留学生

 「英語が母語ではない人たちですが、みなさん、修士や博士課程の方なので英語力は高い。生徒と同じ目線で話すことができ、和気あいあいと話が弾みます。バングラデシュの留学生が『自国の言葉は、日本語と同じで動詞が文の最後にくる』と英語で話したら、生徒はみんな興味津々でした。最近はイスラム圏からの留学生も多いですよ。飛行機が好きなパキスタン人もいて、同じ趣味の生徒とすぐ友達になりました」

 「イングリッシュラウンジ」への参加は希望制で中3から高2までを対象としている。20人ほどが入る教室で行われるが、毎回抽選となるほど人気がある。

 教室内には大テーブルが三つあり、歴代の講師の出身の国旗が飾られている。授業では3人の講師が15分交代で各テーブルを回り、生徒たちと英語で会話する。原則的に日本語は禁止だ。毎回テーマを設けており、取材に訪れた6月24日は「Latest trends in your countries(あなたの国で今、はやっていること)」を互いに報告し合った。生徒たちは、今、流行のタピオカドリンクについて英語で紹介していた。

生徒たちのサポート役を務める佐藤教諭(奥)
生徒たちのサポート役を務める佐藤教諭(奥)

 教室には日本人教諭も1人、サポート役として付き、全体の進行に目配りをする。この日、サポート役を務めた佐藤南美子教諭は「基本は講師と生徒にすべてお任せですが、時々助け舟を出してはいます。お国なまりの英語をゆっくり話してくれるので聞き取りやすく、親しみやすい。生徒たちはお国柄を知ることができ、海外を身近に感じているようです。国の祝日、神話や伝承、自国の有名人など、今までに多くのテーマをこなしてきました」と、これまでを振り返った。

 普段は無口だが、ここでは英語でよく話す生徒もいるという。「生きた英語が身に付いた」「実際に話してもらって、テレビのニュースがよりよく分かった。いつか、講師の先生の国に行ってみたい」と興奮気味に話す生徒たちの姿が印象深かった。

 「感受性の豊かな年齢ですから、異文化に触れる機会があれば、自然と興味が湧き、学習意欲も高まります。外国人と共生する町・鶴見だから実現したもので、他校には例がないと思います。地域と連携した、こういう機会をもっと増やしたいです」と佐藤教諭は抱負を語った。

 最後に「次回は『日本の遊び』をテーマにしましょう。各自調べてくるように」と講師が声をかけると、元気な返事が教室に響いた。英会話を通じて、さまざまな国の人たちと交流する楽しさを知ってほしいという同校の思いは実りつつあるようだ。

「世界のどんな場所でもやるべきことに打ち込める力を」

英語漬けの「イングリッシュキャンプ」
英語漬けの「イングリッシュキャンプ」

 もちろん、「イングリッシュラウンジ」だけが同校の取り組む語学学習ではない。中1と中2は全員、山梨県での2泊3日の「イングリッシュキャンプ」に参加し、その間、英語漬けとなる。現地へ向かうバスの中から日本語は禁止だ。

 中3では2011年からオーストラリアへの修学旅行を行っている。3、4人で組を作り、前半はファームステイ、後半はホテル泊の5泊6日で現地の文化、自然に親しむ。この修学旅行で初めて海外を体験し、その後、留学へと歩みを進める生徒もいるという。

 高校生には積極的に海外留学を勧めており、1~3週間の短期留学、3か月のターム(中期)留学のプログラムを用意している。ターム留学の実施は昨年からで、初の参加者は校内で注目を浴びたそうだ。修学旅行でオーストラリアが好きになり、短期留学で再訪した生徒もいるという。

 高2の修学旅行は、2013年から瀬戸内海に浮かぶ広島県の大崎上島(おおさきかみじま)での民泊を行っている。島ぐるみの温かい受け入れのおかげで、現地の生活の中に溶け込んだ時間を過ごせるという。都会育ちが多い生徒たちにとっては新鮮な体験となっている。

 「世界中のどんな場所に行っても、自分がやるべきことに打ち込めたら素晴らしい。そのための力を付けてあげたいのです」と立田教諭は語った。英会話を駆使し、笑い合う生徒たちが頼もしく見えた。

 (文:水無瀬尚 写真:中学受験サポート 一部写真提供:鶴見大学附属中学校・高等学校)

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775178 0 鶴見大学附属中学校・高等学校 2019/09/05 05:21:00 2019/09/10 14:54:58 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/09/20190902-OYT8I50022-T.jpg?type=thumbnail

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