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【特集】「未来につながるビジョン」を見せる英語教育…洛星

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 中高一貫の男子校である洛星中学・高等学校(京都市)は、6年間を通した生徒の成長段階を見据えて英語教育を実践している。授業では、まず英語への興味を引き出し、必要な学力の目標を示し、「未来につながるビジョン」を示すことで生徒の積極性を引き出す。さらにアウトプットを重視するさまざまな学びを加え、4技能をバランスよく養っているという。中学英語科教員と、その生徒に指導の実際について聞いた。

基礎期の生徒は英語への興味を持たせる

 同校は「心と頭と体を育てる全人教育」という目標を掲げている。その実現のために教科指導では、中高一貫教育のメリットを生かし、ゆとりをもって確かな学力を育めるよう、6年間を2年ごとに「基礎期」「充実期」「発展期」と位置づけ、生徒の成長段階に応じた指導を実践している。

 同校の中学の1クラスは45人程度だが、「基礎期」の英語授業では、中学1年で週2回、2年で週3回の分割授業を実施し、少人数のきめ細かな指導で高校に進んでからの高度な授業にも対応できる基礎学力を養う。これにより、中学3年では実用英語技能検定の準2級を全員が受験し、大部分の生徒が合格するまでの実力に到達するという。

生徒に興味を持たせるため、ギターを弾きながら英語の歌を紹介する子安教諭
生徒に興味を持たせるため、ギターを弾きながら英語の歌を紹介する子安教諭

 中学の英語を担当する子安(こやす)克実教諭は、「基礎期」の生徒たちに、まず英語に興味を持たせようと、教室にギターを持ち込んで洋楽を弾き歌うなどのユニークな授業を行っている。子安教諭は「英語を話せると格好いいという理由でもかまいません。英語に興味を持てれば、学習への意欲は自然とついてきます」と話す。

 興味を持たせるといっても、もちろん英語の歌を聴かせるというだけではなく、授業内容と関連のある歌を選ぶ。これにより、生きた英語を通して単語や文法の知識を得られるだけでなく、英語圏の文化的背景や、社会問題について考えるなどの幅広い学びを得ることが可能になるという

 「最近では、関係代名詞の教材として、コロナの流行下で発表されたアメリカの楽曲を紹介しました。コロナ禍に際した街や人の様子が分かるミュージックビデオと歌詞を通して、自身の行動や社会的な問題などについても、いろいろ考えさせられたのではないでしょうか」と子安教諭は話す。

 中学1年から子安教諭の授業を受けてきた中3の西山旅人(たびと)君は、「先生の授業は、英語を学ぶことが楽しいのだと思わせてくれます。今まで聴かなかったジャンルの音楽も好きになりました。英語だけじゃなく、音楽の世界も先生が広げてくれました」と授業の魅力を話した。

 「例えば、数学が好きな生徒なら、この数式は英語でどのように読むのかという問いに興味を示すかもしれません。音楽以外にも多様な角度で、英語学習への意欲を加速させるきっかけをできるだけ提供したいと考えています」と、子安教諭はさまざまな工夫を凝らした授業を構想している。

理屈で納得させ、積極性を引き出す指導

「多様な角度で、英語学習への意欲を加速させるきっかけを提供したい」と話す子安教諭
「多様な角度で、英語学習への意欲を加速させるきっかけを提供したい」と話す子安教諭

 子安教諭は高校の進路主任を長く務めた経験を持ち、中高6年間を通しての生徒たちの成長やつまずきを見てきた。その経験から授業では、生徒の興味を引き出すほかに、もう一つ心がけていることがあるという。生徒が何年後にどのような力を得ている必要があるのかという明確な目標を持ち、その目標を生徒にはっきり示して指導することだ。

 例えば、授業では音読に多くの時間を割いているが、初めはなかなかきちんと声を出さない生徒も多いという。そこで、「声に出して読む訓練を重ねることで文章の処理能力が上がり、リーディングやリスニングの力が向上する」と学習の効果について説明する。「なぜ、その学習が必要なのか、未来につながるビジョンを示します。理屈で納得すれば、生徒は積極的に学習に取り組むようになります。理系志望の生徒が多い本校では特に、そうした働きかけが効果的だと感じています」

 西山君も中1から音読の学習を続けてきて、効果を実感している。「自分にとって役に立つと分かれば、やる気が増します。音読を続けていて、初見の文章を読む時のスピードがずいぶん速くなったと思います」

 なお、子安教諭の英語指導では大学受験を射程に入れて、国語の運用能力向上も意識したものになっているそうだ。「国公立大学の2次試験では、英語の試験でも6割以上は日本語での解答が必要です。そこで、日本語の語彙(ごい)力、表現力を高めるために、授業の前にリーディング教材のおおまかな訳を自主学習してくるようにと指導しています」

 この指導も、国語を学習する意味を理解すると子安教諭が促さなくても自主的に学習してくるようになるという。

アウトプットを重視するアプローチで4技能を育成

英語力を発揮する機会として、さまざまな国際交流プログラムが用意されている
英語力を発揮する機会として、さまざまな国際交流プログラムが用意されている

 英語の指導には通常の授業のほかに、ネイティブの教員による英会話、文法フォローアップ、多読・速読など、さまざまな学習方法が取り入れられている。

 英会話クラスではアウトプットする力の育成を目標に、中1では日記を書く、中2ではポスターセッション、中3ではスピーチ及びエッセーの作成、といった学年ごとに学習テーマを設定しての授業が行われる。英語力の成長段階に応じた学習方法を取り入れ、表現力を高めていく。

 こうして身に付けた英語力を実際にアウトプットする機会として、中3のオーストラリア語学研修、中3のカナダ表敬訪問、高1でのアメリカ・シアトル語学研修などさまざまな国際交流プログラムが用意されている。高2を対象としてハーバード大学で行われる「次世代リーダー養成プログラム」では、教授・企業人の講義を聴講するだけでなく、討論やプレゼンテーションを行って現地の大学生と深く交流するレベルの高いプログラムに挑戦する。

 中3生の希望者全員を対象とするオーストラリア語学研修には、毎年100人前後の生徒が参加するという。西山君も海外研修への参加を希望しており、「今まで頑張って学習してきた語学力がどの程度通用するのか試してみたい」と話す。

 子安教諭は「英語を習得するには積み上げ学習が必要です。その点、計画的に力を伸ばしていくことができるのが、中高6年一貫校のメリットです」と強調する。

 生徒の興味を引き出し、明確な目標をもって進められる授業、アウトプットを主眼とする英会話などの学び、積み上げた実力を試すさまざまな海外研修と、同校の英語教育は、まさに段階的なアプローチで英語4技能を高めていく。

 「未来につながるビジョン」を見据えた同校の英語教育は、大学受験、さらにその先の将来へと、生徒たちが夢を実現する力を確実に積み上げていくようだ。

 (文・写真:溝口葉子 一部写真提供:洛星中学校・高等学校)

 洛星中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1783974 0 洛星中学・高等学校 2021/01/27 05:01:00 2021/05/06 11:15:15 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/01/20210120-OYT8I50013-T.jpg?type=thumbnail

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