学年横断の課外授業、世界との関わりが生徒を育てる…大妻中野

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 大妻中野中学校・高等学校(東京都中野区)は今夏、「UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)」と協力し、世界の難民を支援するための「難民映画祭」を、同校で開催した。この映画祭は、生徒有志による学年横断の「Frontier Project Team(フロンティア・プロジェクト・チーム)」が準備し、企画・運営などのすべてを手がけたという。世界から地域まで、さまざまな課題を見つけ、人々と触れ合い、解決を探る生徒たちの活動を取材した。

生徒たちが準備や運営のすべてを手がけた「映画祭」

生徒の力で実現させた「大妻中野×UNHCR難民映画祭」
生徒の力で実現させた「大妻中野×UNHCR難民映画祭」

 世界の難民の保護と支援にあたっている「UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)」は、難民たちの実情を広く理解してもらうために毎年「難民映画祭」を開いている。大妻中野中学校・高等学校は、この映画の上映イベントに協力する学校パートナーズとして7月20日、同校で「大妻中野×UNHCR難民映画祭」を開催した。

 映画祭は午後1時から、生徒や保護者ら約100人が集まった同校カフェテリアで始まった。まず、今回のテーマであるロヒンギャ難民について簡単な説明があり、続いてドキュメンタリー映画「アイ・アム・ロヒンギャ」が上映された。さらに上映後は日本在住のロヒンギャによる講演や、参加者同士で「今、わたしたちにできること」を話し合うワークショップも行われた。

 この映画祭を企画・運営したのが、中2~高2の有志による「Frontier Project Team(以後、FPT)」のメンバーだ。ポスターやパンフレットによる告知をはじめ、紹介スライドの作成、募金活動、会場の設営、司会進行まで自分たちで手がけ、映画祭を成功させた。

 FPTは、同校がSGHアソシエイト校の認定を受けた2015年度に、翌年度新設予定だった「グローバルリーダーズコース」のカリキュラムを先取り体験させようと発足させた課外授業グループだ。コース設置後も活動は継続し、「グローバルリーダーズコース」の生徒はもちろん、「アドバンストコース」の生徒も参加している。5年目を迎えた今年度は、36人の生徒が参加し、毎週土曜日の午後、さまざまな体験型プログラムに取り組んでいる。

主体的で実践的な学びが生徒を成長させる

「主体的で実践的な学びが生徒を成長させる」と話す大西教諭
「主体的で実践的な学びが生徒を成長させる」と話す大西教諭

 FPTの活動は生徒の主体的な学びが特徴だ。まず、みんなで話し合って取り組みたいプロジェクトを決め、プロジェクトごとに班を作って企画立案し、全員で実行にあたる。活動内容は幅広く、留学生との異文化交流会や地域の清掃活動、貧困に伴う医療格差についてのワークショップなど、これまでさまざまな活動を行ってきた。

 今年度は、プロジェクトの内容に合わせて、班をグローバル分野とローカル分野に分けた。グローバル分野は、古着を集めて難民キャンプに届ける「“服のチカラ”プロジェクト」と「難民映画祭」の2班。ローカル分野は、東京・中野区のゴミ問題に取り組む「地域貢献」や、障害者と交流を図る「みんなのダンスフィールド」、それらの活動を校内に伝える「広報」の3班だ。参加する生徒は全員、両分野から一つずつ班を選んで企画立案に携わる。

 昨年度からFPTを担当する大西麗教諭は、「生徒の主体性を重んじるため、必要以上に仕切らないようにしています」と話す。企画のヒントになる情報の提供や、企業や団体との橋渡しや交渉なども、あくまでも手助けにとどめている。

 今回の映画祭では、1人の来賓を生徒が自力で交渉して招待したという。「1人は私が段取りをつけたのですが、生徒が別にもう1人呼んでいたんです。まさか自分たちで交渉して連れてくるとは思いませんでした」と大西教諭も驚きを隠さない。

 大西教諭によると、FPTによる学びで、主体性のほかに重視されるのは実践的な学びであることだという。「知るだけで終わらせず、自分たちにできる支援を考え、行動に移し、そこからまた新たな課題を見つけることです。異世代の人と触れ合う生徒は、実に生き生きとしていて、人々との関わりこそが生徒を成長させると感じています」

先輩、後輩に関係なく自分の意見を言える場所

「“服のチカラ”プロジェクト」で集めた古着
「“服のチカラ”プロジェクト」で集めた古着

 中2からFPTに参加している4人の生徒に、参加の理由や活動の魅力を聞いた。

 中3の塚本有梨さんは「海外のように、学年に関係なく自分の意見を発言できる場で活動したかった」と話す。塚本さんは入学前、シンガポールとタイで9年半暮らしていた。帰国してから発言力が落ちたと感じていたが、先輩、後輩に関係なく自由に議論できるFPTに参加してから、少しずつ以前の自分を取り戻せているという。達成感や充実感もある。「世界には7000万人以上も難民がいて、その半分が子供だと両親に話したら、驚いて『“服のチカラ”プロジェクト』に熱心に協力してくれたんです。自分の活動が人のためになることがうれしい」。将来は国際系の学部に進学し、日本と世界の両方で活躍するのが夢だという。

 中3の増田愛さんは、ボランティア活動に熱心な家庭に育ち、小学生の頃から留学生の観光サポートなどを行っていた。中学でもボランティア活動をしたいと考えてFPTに参加した。「人見知りする性格」というが、さまざまな背景を持つ、積極的な帰国生のメンバーらと活動する中で、「前より人と積極的に交流できるようになった」と話す。「一つのテーマでもいろんな意見があって、聞いているうちに自分の考えが膨らんで、世界が広がる気がします」。将来は、自分の得意なことやボランティア活動の経験を生かした職業に就きたいと考えている。

中野区近隣でゴミ拾い活動をする地域貢献チーム
中野区近隣でゴミ拾い活動をする地域貢献チーム

 高1の鈴木泉美さんは、母親に勧められて参加した。始めは気乗りしなかったが、学年に関係なく自由に話せる雰囲気に魅力を感じた。「後輩である自分を先輩が頼ってくれることもあってうれしい」。FPTの魅力は、常にさまざまな意見が聞けて飽きないことだという。「前の年と同じテーマでも、新しく入ってきた子から違う意見が出たりして、発見がある」。昨年に続いて今年も「“服のチカラ”プロジェクト」に参加している。昨年は400着程度しか集められなかったが、「今年は去年よりたくさんの服を集めたい」と意気込む。夢は、看護士資格を取り、青年海外協力隊で活動することだ。

 高2の武田詩織さんは、「何か新しいことに挑戦したい」という気持ちで参加した。生徒が主体となって学べる点が気に入り、「時間を有意義に使える」と活動を続けてきた。大きな収穫は、多様性を学べたことだという。「以前は、自分と意見が違う人がいると、説得してその考えを変えようとするところがありましたが、今は人の意見を尊重できるようになりました」。また、大勢の前で話すのが苦手だったが、FPTでさまざまな人と意見交換するうちに自信が付き、しっかり話せるようになったという。将来は、「世界を飛び回るような仕事がしたい」と笑顔を見せた。

 (文:佐々木志野 写真:中学受験サポート)

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906971 0 大妻中野中学校・高等学校 2019/11/21 05:21:00 2019/11/21 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/11/20191119-OYT8I50005-T.jpg?type=thumbnail

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