【特集】新たなカリキュラムでより発展的な探究型教育へ…大妻中野

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 大妻中野中学校・高等学校(東京都中野区)は来年度から、時代の求める教育と同校の教育の伝統を融合させた新しいカリキュラムをスタートさせる。このカリキュラムの大きな特徴は、より発展的な「探究型教育」にあり、2015年度にスーパーグローバルハイスクール(SGH)アソシエイト校に認定されて以来、取り組んできた特別プログラム、体験学習などのさまざまな「探究型」学習を統合、発展させる点にある。新カリキュラムの方針や目的などについて、野崎裕二校長に聞いた。

時代の求める教育の本質をとらえたカリキュラム

新カリキュラムの方針について語る野崎校長
新カリキュラムの方針について語る野崎校長

 「新しく改定された学習指導要領には、学んだことを生きる力にして、それぞれの幸せを実現してほしいという願いがうたわれています。また、昨今、SDGs(持続可能な開発目標)が、盛んに取り沙汰されています。本校は、『Arts for Mankind 学芸を修めて人類のために』を建学の精神に掲げ、自分のためだけでなく、社会や他者のために学び、一人一人の『幸福の自己実現』と『社会に貢献できる人材』の育成を進めてきました。社会背景の変化により、時代の求める教育が、まさに本校の教育と合致してきているのを感じ、ならば、これを機に本校の教育も一層充実させたいと考えました」。野崎校長は、新しいカリキュラム作りに取り組む動機をこう語る。

 新しいカリキュラムの骨子はすでに決まっているという。(1)自律・協働・貢献を軸とする「大妻教育」(2)生徒の多様性を生かす「協働教育」(3)フランス語学習を深める「複言語教育」(4)理数とリベラルアーツを総合的に学ぶ「STEAM(Science、Technology、Engineering、Arts、Mathematics)教育」(5)より発展的な「探究型教育」、の5本柱だ。

 「現在、全教員が連携してカリキュラムの具体的な内容を作成している最中です。これまでのカリキュラムは、それぞれの担当教員や教科ごとに作成していましたが、来年度からは担当や教科の枠を超えた横断型のカリキュラムづくりや探究型学習に取り組み、新しい価値を創ることを目指しています。探究的な学び方を、生徒だけでなく教員にも意識させ、強化したいと考えています。どんな案が出てくるのかとても楽しみです」

多彩な探究型学習の蓄積を統合してより発展させる

NPO法人「ACE」による講演の後に行われた模擬国連形式の特別授業
NPO法人「ACE」による講演の後に行われた模擬国連形式の特別授業

 新しいカリキュラムの具体的な内容作りはこれからだが、全体像は少しずつ見えてきている。その特徴の一つは、「探究型教育」を軸としたカリキュラム編成であり、柱に掲げた「大妻教育」の名の通り、同校の教育の伝統をアレンジして現代に生かすということにある。

 その意味で、より発展的な「探究型教育」というカリキュラムの骨子も、同校がこれまで取り組んできた、さまざまな探究型学習を統合、発展させて実現していく見込みだ。

 たとえば同校は、SGHアソシエイト校に認定された2015年度から「フロンティア・プロジェクト・チーム(FPT)」という特別課外プログラムを組み、毎週土曜日に学年・コースを超えた有志による探究型の学習を進めてきた。企業や大学など外部機関と連携し、SDGsの課題解決についてリサーチやプレゼンテーションを行っており、現在は中2から高2までの約30人が参加している。

 20年度は、新型コロナウイルスの影響で活動を制限されながらも、「難民問題」「児童問題」「プレゼンレテーションスキル」の三つを中心的なテーマとして探究活動を行った。国連UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)協会の講師によるオンライン授業や、児童労働問題に取り組むNPO法人「ACE」による特別授業では、関連するさまざまな問題に携わっている人の話を直接聞き、自分たちに何ができるのかを話し合った。

 また、ユニクロを展開するファーストリテイリング社による「届けよう、服のチカラプロジェクト」に参加し、全校生徒に呼びかけて古着を集め、世界中の難民に届ける活動も行った。

環境学習旅行で田植え体験する中2生たち
環境学習旅行で田植え体験する中2生たち

 校外での体験学習も探究型学習の一つだ。中2の環境学習旅行では、新潟県の里山に滞在し、田植え体験や森の研究を行う。長崎・広島を訪れる中3の平和学習旅行では、被爆体験をした人の話を聞いたり、現地の学校で交流したりし、平和や戦争について体験的に学ぶ。高2の歴史文化研修旅行では、京都、奈良・台湾・マレーシアのいずれかを選び、事前学習した史跡を探訪するほか、班ごとに決めたテーマに基づいて行程を決め、自分達で時間管理をしながら行動する、班別自主研修なども盛り込まれている。

 このほかにも、世界のさまざまな課題や社会問題と向き合い、考えを深める「グローバルリーダーズコース」の授業「グローバルイシュースタディ」、中高・学年の別を超えた有志が集まり、校内外で先進的なSTEAM学習に取り組む「S―TEAM(エスチーム)」など、授業はもちろん、生徒が自分の興味関心に合わせて自主的に取り組めるプログラムも多い。

 これらのプログラムの多くは、特別課外プログラムだったり、有志あるいはコース内に限定したりして行われてきたが、新カリキュラムでは、さまざまな探究型学習の機会をより多くの生徒に開放したり、教科横断的な授業の中で取り上げたりしていくことが検討されている。

社会に貢献できる「地球市民」になってほしい

大学生と一緒に学ぶフランス語授業
大学生と一緒に学ぶフランス語授業

 これらのさまざまな探究型学習に取り組んできた中で「生徒たちの視野が格段に広がった」と、野崎校長は自信を見せる。「FPTや留学を体験した生徒たちの変化は、学校全体にいい変化をもたらしています。友達や先輩、帰国生たちの発言や活動を見て、他の生徒たちも変わっていきます。昨年度からは『Beyond School(学校を超えて)』をスローガンに、さまざまな校外プログラムへの参加を奨励していますが、これも生徒と教員の中から生まれた合言葉です。こうした校内の機運や雰囲気が、グローバル教育そのものだと思います」

 生徒たちの変化は、進路選びにも見られる。同校には「アドバンストコース」と「グローバルリーダーズコース」の2コースがあり、双方向にコース替えが可能だが、中3になるとアドバンストコースのうち1クラス分の生徒が、よりグローバルな学びを重視する「グローバルリーダーズコース」へ移籍するという。また近年、国際系の大学や、海外大学への進学も増えている。こうした変化は、SGHアソシエイト校として多彩な探究型学習を始めてから顕著だと、野崎校長は強調する。

 「今年は東大とロンドン大を併願した生徒もいました。海外で医者になりたい、海外で起業したい、国連で働きたいなど、日本と世界の懸け橋になりたいという生徒が増えています。いろいろな経験を通して視野が広がり、日本の強みを知り、海外に目を向けるようになっているからでしょう」

 「人は一人で生きているわけではありません。探究型学習を通して身に付けたコミュニケーション力やコラボレーション力をベースに、社会に貢献できる『地球市民』になってほしい」と野崎校長は生徒に期待する。「そのために、常に研究校として新しいことに取り組み続け、生徒や教員、学校全体の活性化につなげていきたいですね」

 (文:石井りえ 写真:中学受験サポート 一部写真提供:大妻中野中学校・高等学校)

 大妻中野中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方は こちら

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