共学化から10年目、自学自習が意欲を育てる…都市大等々力

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 東京都市大学等々力中学校・高等学校(東京都世田谷区)は、共学化から今年で10年目を迎える。自学自習できる生徒を育てるため、時間・課題管理用にオリジナルの「TQノート」を導入したり、朝のアテインメントテストやアクティブラーニング型の授業を行ったりして次々と時代のニーズに応える教育改革を続けてきた。受験シーズン直前の1月23日、改革をリードしてきた原田豊校長に教育の特色を聞いた。

「ノブレス・オブリージュ」を教育理念に

学校の理念を語る原田豊校長
学校の理念を語る原田豊校長

 「社会に貢献する人材を育成したいという創立者・五島慶太先生の精神を受け継ぎ、都市大等々力として再出発する際に、noblesse oblige(ノブレス・オブリージュ)という理念を掲げました。地位の高い人間は社会に対する義務と責任を負うという、ヨーロッパを起源とする思想ですが、恵まれた環境の中で生きる現代の若者にも、その才能を人のために生かす道を見つけてほしいと考えています」と、原田豊校長は教育理念について説明する。

 同校は、東急グループの創設者・五島慶太が1939年に創立した東横女子商業学校を前身とし、長い教育の歴史を持つ。原田校長は東京都市大学等々力中学校・高等学校と改称した2009年に赴任し、翌年の共学化を推進、12年からは校長に就任し、創立者の精神を受け継ぎながら、さまざまな改革を推し進めてきた。

TQノートは生徒の生活スケジュールを管理するため1人1冊配布される
TQノートは生徒の生活スケジュールを管理するため1人1冊配布される

 都市大等々力として新たにスタートした際、生徒が自学自習する力を高めようと原田校長がまず導入したのが「TQノート」だ。「TQノート」の「T」はTime、「Q」はQuestの頭文字。生徒の時間(Time)を生かしきろうという探求の旅(Quest)を教員たちも一緒になって支援していこうという意味が込められており、生徒全員に配布される。

 「自学自習の習慣を定着させるには、時間管理の能力が欠かせません。起床・就寝時間や部活・勉強の時間をスケジュール表に書き、毎日の目標学習時間数と実際の学習時間数を記録していきます。担任教師は1週間の授業のスケジュールを生徒に渡すと同時に、ノートを見てコメントを書き込みます。保護者が確認してコメントを記載する欄もあります」 

 生徒たちはこのノートを活用しながら、平日2時間、土日3時間という難関大学への合格に最低限必要な1日の学習時間を確保する。

 「目標を達成するには、成果を目に見える形で記録していく必要があります。担任教師がきちんと読んで励ましのコメントをくれることも、生徒にとっては非常に重要です。教師が本気で取り組んでくれているということが分かると、子供のやる気が変わってくるのです」

朝のアテインメントテストで学習意欲が高まる

 自学自習の姿勢を身に付けていくという目標がはっきり表れているのは、毎朝実施している15分間の「アテインメント(到達度)テスト」だ。「朝、授業内容の理解度を測るためのテストを行います。日中に専任スタッフが採点して放課後までに答案を返し、一定の点数に達しない生徒には補習を行います」

 当初は市販のテスト教材を使用していたが、それでは生徒のモチベーションが上がらないことが分かったため、今は授業の内容をしっかり反映させたものを、教師が手作りしているという。補習は専用の個別指導室で行い、教師や大学生チューターがしっかりサポートしている。

 「授業で学んだことが理解できていれば、テストで高得点が取れる。学力が付き、成績も上がっていく。アテインメントテストを続けると、生徒にもそのことが分かってくるのです」

夜8、9時まで利用できる自習室
夜8、9時まで利用できる自習室

 個別指導室に隣接する自習室には、間仕切りのある個室タイプの学習席が用意され、中1~高2は夜8時、高3は9時まで使用できる。学習意欲のある生徒たちが集まり、1日平均120人が利用しているそうだ。「自習室の空間では、気持ちを切り替えて勉強に専念することができます。疲れて家に帰ってからノートを開くのではなく、家ではのんびり家族団らんを楽しんでほしい。そんな願いから校内に設けた、勉強のためだけの部屋です」

 同校ではすでに全てのホームルーム教室に電子黒板を設置している。2019年度からは、全生徒にiPadを配布する予定だ。ICT(情報通信技術)の導入によって生徒たちは自分で調べる、まとめるという作業を、より容易に行うことができるようになるという。

アクティブラーニングで主体的な学習サイクルに親しむ

中学1・2年の理科の授業ではすべて実験が行われる
中学1・2年の理科の授業ではすべて実験が行われる

 自学自習の教育は、「新しい学力」を育てる「アクティブラーニング」の考えに沿うものだ。授業でも、考え、体験し、問題解決方法を見つけ出すような学びを重視している。例えば中学1・2年の理科の授業にはすべて実験があり、年間100に及ぶテーマを扱う。「予習して仮説を立て、実験して観察を行い、その結果をリポートにまとめます。思考力が柔軟な中学1・2年のうちに、こういう主体的な学習サイクルに親しむことが大切なのです」

 また、ディベートやプレゼンテーションを行うワークショップも定期的に開催している。「学園祭の準備に非協力的な人にどう対応していくか」といった身近なテーマについて話し合いつつ、難関大学入試や2020年からの大学入試改革で求められる思考力・表現力を育てている。

 グローバル化への対応も図っており、外交官、作家、弁護士らを招いて世界の諸問題について語ってもらう講座を開催し、将来グローバルリーダーとして活躍するための意識を育てている。また、高1次に1年間海外留学するGL(グローバルリーダーズ)留学プログラムも用意している。

 「共学化の前年、中学女子部には20人しかいませんでした。文字通りゼロからの出発という思いで、理想のものを妥協せずに作り上げることに専念してきました。教師たちも、新しい挑戦に参画しているという高い意識を持って臨んでいます。その気持ちが生徒に伝わり、進学実績にも表れてきていると言えるでしょう」

 2018年度は、176人の現役生のうち43人が国公立大学に合格し、前年度の32人を超えて過去最高となった。早稲田・慶応・上智・東京理科大にも、現役生94人(国公立との併願含む)が合格し、前年度の63人と比べて、大きな伸びを見せている。

 今年の中学入学試験では、計200人の募集定員に対し、延べ3495人の出願があった。今後も注目されていく学校であることは間違いないだろう。

 (文・写真:足立恵子 一部写真提供:東京都市大学等々力中学校・高等学校)

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486410 0 東京都市大学等々力中学校・高等学校 2019/03/15 05:21:00 2019/04/12 10:17:56 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/03/20190312-OYT8I50031-T.jpg?type=thumbnail

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