ICT機器の活用が教育シーンを加速する…都市大等々力

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 東京都市大学等々力中学校・高等学校(東京都世田谷区)は今年度、中高6学年を通しての生徒1人1台のiPad配布を完了した。ICTの活用は既に4年前から始まっており、授業はもちろん部活動、学校行事などさまざまな教育シーンで生徒たちの学びを加速しているという。iPadやクラウドサービスの活用状況や生徒たちの声をリポートする。

ICT機器の活用で今までの学習も効率化

ICT機器導入の目的を説明する鹿又裕毅教諭
ICT機器導入の目的を説明する鹿又裕毅教諭

 東京都市大学等々力中学校・高等学校は2015年に、全教室に電子黒板を設置した。翌16年には授業・学習支援クラウドサービス「Classi」の導入、さらに17年には高1生(現・高3生)に1人1台のiPad配布と、矢継ぎ早にICTの活用を広げ、昨年4月に中高の全生徒へのiPadの配布が完了した。

 同校のICT(情報通信技術)教育推進委員会の委員としてiPadの導入などを進めてきた鹿又裕毅教諭は、「生徒が社会に出たとき、ICT機器を使わずに生活をするのは、ほぼ不可能です。社会に出て初めてICT機器を使うのではなく、学校の中で失敗をしながら、少しずつ活用の仕方を学んでいくことが必要だと考えました」と、ICT機器導入の必要性を語る。

 この授業・学習支援クラウドサービス「Classi」をプラットフォームとし、生徒一人一人がiPadでつながることによって、同校では教室を超えたさまざまな教育シーンで新しい動きが生まれているという。

 「Classi」は、ベネッセホールディングスとソフトバンクの合弁子会社が提供するクラウドサービスで、生活や学習の状況を記録するポートフォリオの作成や蓄積、教員・生徒・保護者間のコミュニケーション、個別学習やアクティブラーニングをサポートする機能を備えている。

 こうした機能は、これまでの同校の教育を効率化する効果を上げている。たとえば授業の理解度を測るため、同校が中高の6年間行っている毎朝15分の「アテインメント(到達度)テスト」では、Classiのコミュニケーション機能を活用して教員が正解を生徒のiPadに配信しており、一部iPadに解答を入力させて自動集計も行っている。そのほか学校や外部で受験した模試も、Classiに得点入力しており、それらの成績はデータとして生徒一人一人に合わせて管理、蓄積される。

 高3の武井智洋君は、「科目ごとの点数や平均点を即座に確認できるので、自分の成績がどのくらいに位置しているのか、すぐに分かります。また、過去のテストの点数もすぐに見られるため、テストの振り返りがしやすく、自分の弱点や勉強すべきところも明確になります」と話す。

 また、同校オリジナルの「TQ(Time Quest)ノート」も、ぐんと運用しやすくなった。

 「TQノート」は、生徒の時間管理能力を培い、自学自習の力を高めるため、全生徒が起床・就寝時間や勉強・部活の時間をスケジュール表に書き込み、毎日の目標学習時間数と実際の学習時間数を記入するものだ。これまでは、教員が紙に印刷した1週間の授業スケジュールを基に、生徒が手書きでTQノートに記入していたが、現在はPDF化したスケジュールを教員がClassiでiPadに配信している。

 高3の中澤莉子さんは、「iPadなら提出物の締め切りや時間割の変更もすぐに確認できますし、課題の締め切りを過ぎると『締め切り超過』という文字が出てくるので、やるべきことが把握でき、時間管理もしやすいです。また、連絡事項が紙ベースだった時は保管する紙が多く、必要なものを探すのが大変でしたが、iPadのおかげで、かなり情報を整理しやすくなりました」という。

使い方次第で多様な学習スタイルが可能に

「ロイロノート・スクール」を使うと板書を分かりやすく編集できる
「ロイロノート・スクール」を使うと板書を分かりやすく編集できる

 Classi以外にも同校は、タブレット向けの授業支援アプリ「ロイロノート・スクール」を導入し、授業の振り返りや提出物の配布・回収などに利用している。

 武井君は、「授業中、先生はスライドを電子黒板に映すと同時に、ロイロノートで配信します。iPadなら、自分のペースでスライドを見たり、拡大したり、止めたりできるので、内容がすごく頭に入ります」と笑顔で話す。「また、板書は先生が書いた通り、そのまま書き写すことになりますが、ロイロノートは自分で分かりやすいように内容を編集して、まとめ直せるので理解しやすいですね」

 また、iPadを使えば、通常の板書を撮影するという使い方もできる。授業中は、時折撮影しながら教員の話をメモすることに集中し、後で「撮影した板書=文字情報」と「メモした教員の話=音声情報」を合わせて復習し、理解を深めることも可能だ。

 ICT機器は、美術や体育、音楽の授業でも活用されている。美術の授業では、iPadで制作の過程をさまざまなアングルから撮影し、記録できるうえ、課題のテーマや参考資料を検索し、簡単に保存できる。体育の授業では、ダンスの振り付けを教員が動画で撮影して配信することができる。また、生徒たちは側転や跳び箱を練習する自分の姿をiPadで撮影し、自分の目で確認してフォームを直すこともできる。さらに、音楽の授業では、合唱の課題曲や自分たちの歌声をiPadに録音し、クラスで共有することにより練習しやすくなるという。

 このように授業でICT機器を使用する様子は、年に1度、保護者や他校の教員を招いて行われる「等々力ICTフェア」で公開される。授業を見学した保護者からは、「家ではiPadを使う姿を見てなかったが、学校で使っている様子が見られて安心した」という声も聞かれるという。

部活動や学校行事でも、ICT機器が活躍

書道の作品の撮影など、部活動でもiPadは活用されている
書道の作品の撮影など、部活動でもiPadは活用されている

 さらに、部活動や学校行事でもICTは活用されている。中澤さんは和太鼓部に所属していて「以前は紙で配布していたスケジュールや演奏時のフォーメーションをClassiで配信したり、アンケート機能を使って演奏したい曲を募ったりしています。学年やクラスを横断するやりとりや、先生への相談は、iPadがあると便利ですね。私は書道部にも所属していますが、作品を撮影して先生に送り、確認していただくほか、自分の作品を撮影して保存することで、見比べて練習に生かすことも簡単にできるようになりました」

 文化祭では、学年を横断する実行委員同士のやりとりにClassiが使用されるほか、飲食のブースを出店する際、仕入れの計算や、調理場と販売店の連絡、シフトの連携などもiPadの使用でスムーズになった。

 教員と生徒とのコミュニケーションにも変化が生まれている。「生徒とのコミュニケーションのバリエーションが増えました。生徒と面と向かって話すことはもちろん大切ですが、ICT機器の導入により、日頃からClassiのメッセージ機能を使ってやりとりをする中で、コミュニケーションが密になったと思います」と鹿又教諭は話す。

 ICT機器の活用はすでに大きな効果を生んでいるが、鹿又先生は、今後もさらに活用を発展させていく必要があると考える。「大学入試改革が進むと、講義型授業に加え、アクティブラーニングが重要となります。iPadをより効果的に活用することで、アクティブラーニングの時間を作り出していきたいと考えています」

 ICTはアイデア次第で活用が無限に広がる。教員、生徒一体で取り組みながら、さまざまな学びのシーンを切り開いていってほしい

 (文:籔智子 写真:中学受験サポート 一部写真提供:東京都市大学等々力中学校・高等学校)

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988163 0 東京都市大学等々力中学校・高等学校 2020/01/08 05:23:00 2020/01/08 05:23:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/01/20200107-OYT8I50015-T.jpg?type=thumbnail

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