【特集】独自の英語教育でグローバルリーダー育成へ…都市大等々力

スクラップは会員限定です

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 東京都市大学等々力中学校・高等学校(東京都世田谷区)は、「グローバルリーダーの育成」を目標に、特化したコース設定や独自の授業方法で生徒の英語力を養成している。加えて全生徒の1割に達するという帰国生の存在を生かし、多様な国々の生活経験を紹介する「帰国生プレゼン」を行って生徒たちを大いに刺激しているという。同校の英語国際教育の特徴について取材した。

グローバルリーダー育成に特化したコース

英語国際教育について語る、国際教育室長の池田教諭(右)と英語科の廣田教諭
英語国際教育について語る、国際教育室長の池田教諭(右)と英語科の廣田教諭

 同校は2010年の校名変更・共学化を機に「ノブレス・オブリージュとグローバルリーダーの育成」を教育目標に掲げた。このうち「グローバルリーダーの育成」という点で、英語力・国際感覚を養成するためのロードマップを作成している。

 このロードマップによると、中1・中2の第1ステージでは、最難関国公立大を目指す「S特選コース」と、難関国公立・難関私立大を目指す「特選コース」の2コースに分かれるが、中3・高1の第2ステージに移る際、「特選コース」の生徒は同コース以外に、英語力と国際感覚の養成に重点を置いた「特選GL(Global Leaders)コース」を選択できるようになっている。「S特選コース」の生徒も希望があれば選択可能だ。高2・高3の第3ステージでも、大学進学に重点を置いた指導の一方、英国オックスフォード語学研修旅行など国際教育は続けられる。

 「特選GLコース」を選択するには、中学2年修了時までに実用英語技能検定3級を取得することと、他教科でも一定以上の基準を満たすことが条件となっている。このコースを選択する生徒には、「日本でもう一度、しっかり英語を学び直したい」という帰国生や、同校で学び始めて英語力を付け、「さらにその力を伸ばしたい」という一般生が多いという。

 「特選GLコース」のプログラムの特徴は、オーストラリア、またはカナダへの約1年間の留学プログラムが用意されていることだ。帰国後は学年を落とすことなく高2に復帰できる。ただ、希望者は留学前に英検準2級以上を取得することが求められており、しかも、長期留学となるだけに、単なる英会話力を超えた心構えが必要となる。

 その心構えを準備するのが、校内で行われる「エンパワーメントプログラム」だ。このプログラムでは生徒5、6人に海外留学生が1人付いて、1日6時間5日間にわたって英語のみでディスカッションを重ね、最終日には英語でプレゼンテーションを行う。

 このプログラムについて、国際教育室長の池田伸教諭は、「『エンパワー(empоwer)』という言葉には、『内在する力を開花させる』という意味があり、英語力だけでなく、このプログラムを通して『ポジティブに考えること』を身に付けることになります」と話す。「『将来自分は、こう生きるんだ』と考える力は、海外留学のみならず、人生においても必要なことです。このプログラムで自信を付け、物事をポジティブに捉えるようになってほしい」

 小学4年生のとき、アメリカの大学への進学を決意したという村松希春さん(高2)は、高1でオーストラリア留学を経験した。留学先ではチアリーディングと英語の勉強をしたいと考え、両方ができる学校を自ら探したという。留学中は楽しい思い出の一方、苦労したことも多かったそうだ。

 「初めは分からないことだらけで、言われたことをこなしているだけでした。でも、このままではオーストラリアに来た意味がなく、将来の夢もかなわないと思い、ホストファミリーやクラスメートに積極的に話しかけるようにしました。すると、自然と心が通い合い、自分の意見を認めてくれる人が増えたことで、自信が持てるようになりました」

 カナダへ留学した山内麻鈴さん(高2)は、英語が好きで中学2年の終わりに留学を決意した。留学を終えた今、自分が変化したことを感じているという。「留学前は身の回りのことを人任せにしがちでしたが、今は自分で行動するよう心がけるようになりました。また、自分を支えてくれる人たちへの感謝の気持ちが深まり、その思いを言葉で表現できるようになりました」

 同校は、こうした長期留学プログラムのほか、「S特選コース」「特選コース」の生徒が参加できる海外研修や短期留学を多数用意している。また、中学生を対象に、夏季休暇中、校内で1日6時間4日間をオールイングリッシュで過ごす「イングリッシュサマーコース」を実施するなど、全生徒を対象に英語力や国際力を培う機会を設けている。

音読やオリジナルテキストで英語運用能力を伸ばす

オリジナルテキストについて説明する廣田教諭
オリジナルテキストについて説明する廣田教諭

 日常の英語の授業の中でも、同校はさまざまなプログラムを用意しているが、特にユニークなのが「音読トレーニング」だ。週100回、年間3500回の音読を目標に、シャドーイング、オーバーラッピングなど多様な手法で音読することで、高度な英語運用能力を育成していく。生徒からは、「音読は英文読解や速読の練習になるだけでなく、リスニング力を上げることにもつながる」という声が上がっているという。来年度からは、自宅など教室外でも音読トレーニングができ、その成果が可視化できるよう、音読アプリの導入を予定している。

 英文法の学習でも、3年ほど前から同校ならではの工夫を凝らしたオリジナルのテキストを作成し、生徒自身に「気付かせる」指導をしている。

 英語科の廣田悠人教諭は、「英語は、まず苦手にさせないことが大切です。そこでサッカーの指導法である『ガイデッド・ディスカバリー』を応用し、生徒が自ら発見できるように導くテキスト作りと授業を心がけています」と話す。「テキストを使って演習問題を繰り返すことで生徒自身が法則に気付き、納得してうなずける。一つ一つ()に落ちてから次に進むことで、自然と文法が身に付いていきます」。オリジナルテキストを使い始めてから英語が苦手という生徒が減り、偏差値も上がってきたという。「テキストは何度も改良し、今後もさらにアップデートしていく予定です」

 今年度から「システム(ゼータ)」という、AIを活用した記憶定着アプリも導入した。生徒が英語検定の目標取得級を登録すると、AIが自動的に学習計画を作成し、生徒の解答をAIが分析しつつ、一人一人に合ったステップを設定していくという。

 「最近はアクティブラーニングが注目されていますが、その本質は、生徒の心がアクティブになり、生徒自ら能動的に行動する状況を作り出すことだと思います。授業では生徒が能動的に考え、発見できるよう導きつつ、アプリやAIの力を活用して、限られた時間の中で効率的に学習できる環境を整えています」

帰国生と一般生が刺激し合って視野を広げる

パワーポイントを使い、自身の住んでいた国について発表を行う「帰国生プレゼン」
パワーポイントを使い、自身の住んでいた国について発表を行う「帰国生プレゼン」

 同校では2014年度に帰国生入試を導入して以来、年々帰国生の入学が増え、今年度は全生徒の約1割を帰国生が占めるようになったという。帰国生と一般生は日々の学校生活の中で、互いに刺激を与え合っているが、さまざまな国で暮らした帰国生の多様な経験に着目し、昨年度始めた取り組みが「帰国生プレゼン」だ。

 中学1年の帰国生が、同級生全員の前で、自分が住んでいた国についてプレゼンテーションを行うプログラムで、1人2分程度で、「パワーポイント」を使って発表する。

 このプログラムについて池田教諭は、「同級生の口から海外の話を聞くことで、書物などで知っていた各国のイメージが覆され、視野が広がって、多くの生徒が海外や留学に興味を持つようになります。プレゼンをした帰国生も『自分の住んだ国を見直すいい機会を与えられてよかった』と話しています。これまで2回行い、予想以上に良い効果を得られたと実感しています」と話す。

 今年度、同校からはアメリカのリベラルアーツ・カレッジの名門スワースモアカレッジと、カナダのトップクラスの総合大学ブリティッシュコロンビア大学に1人ずつ進学者が出ている。独自の英語教育、国際感覚の養成に加え、こうした先輩たちの姿が刺激となることで、海外に進路を求める生徒が続き、活躍の場を広げる人材となることだろう。

 (文:籔智子 写真:中学受験サポート)

 東京都市大学等々力中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

スクラップは会員限定です

使い方
「教育・受験・就活」の最新記事一覧
1870245 0 東京都市大学等々力中学校・高等学校 2021/03/01 05:01:00 2021/03/01 05:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/02/20210226-OYT8I50024-T.jpg?type=thumbnail

会員校一覧

東日本 共学校ページTOP

── 女子校ページTOP

西日本ページTOP

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)