日本を知り、自分を知ることに始まるグローバル教育…聖徳学園

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 聖徳学園中学校・高等学校(東京都武蔵野市)は、生徒が世界を舞台に活躍できるよう「国際性を育てるプログラム」を実践している。中3からの海外研修の準備として、国内研修で自国を知り、自分の目標を知ることにウェートを置いているのが特色だ。グローバル教育センター長の山名和樹氏と、英語科のネイサン・ソマーズ教諭に、単なる英語の学習に終わらない同校のグローバル教育について聞いた。

真の国際人になるために、まず日本を学ぶ

国際性を育てるプログラムについて語る山名氏
国際性を育てるプログラムについて語る山名氏

 「国際人になる前に、日本を知ることが大切だと思います。また、生徒同士の学び合いの中で自分を見つめ、自分の良さを探求してほしいです」。聖徳学園のグローバル教育センター長・山名和樹氏はこう語る。「国際性を育てるプログラム」と名付けられた同校のグローバル教育の特色は、「自国のことを知らずに他国のことは理解できない」という考えを重要視していることだ。

 同校は1982年に海外留学制度をスタートさせるなど、さまざまな海外研修を充実させてきた。中3でカナダ、ニュージーランドへの国際研修旅行、高1・2で中国、フィリピン、ベトナム、カンボジアへのアジア研修など、いずれも希望者を対象とする海外プログラムが用意されている。

 しかし、中学1、2年では、これらの海外研修に備えるため、まず「日本を知る」国内プログラムが実施される。中学1年では新潟県の農家に民泊する「スプリングキャンプ」で、田植えや山菜摘みなどを手伝いながら地方の風土に親しむ。中学2年では京都・奈良方面の関西研修旅行で伝統的な日本の文化を体験することになっている。

 「この国内プログラムがあるからこそ、中3以降の海外研修でより深く異文化を知ることが可能になる」と山名氏は語る。「外国人と話してみると、自分の国をよく知り、国を愛する人が多いことに気付くと思います。ですから、中学では世界に目を向けながら、日本と自分の良さを見いだしてほしいです」

事前学習も帰国後の発表もICTを活用

スプリングキャンプで農業を体験する中学1年生たち
スプリングキャンプで農業を体験する中学1年生たち

 これらの国内・海外の研修に参加する生徒たちは、事前学習として訪問先の文化、社会、歴史などをグループワークで調べる。

 「生徒全員にiPadを配布しており、事前学習に活用しています。教員も生徒の学習に役立つ動画を作成するなど、一緒に勉強していきます」と山名氏は話す。

 主体的に準備を進めてきた分、研修中に何か問題が起こっても、生徒たちは自分たち自身の力で解決しようと努める。その中で自主性が磨かれ、協調性が育まれるという。「自分を生かしながら、仲間と学ぶ楽しさを知ってほしいです。集団性と協調性の高さが日本人の強みであることにも気付くでしょう」と山名氏は語る。「国際研修を終えた生徒たちの顔つきは、行く前とは大きく変わります。たくましくなって帰ってきてくれるのがうれしいです」

 研修後は、経験したことをまとめてグループ発表を行う。なかにはiPadで動画を作成して活動を報告するグループもあるという。生徒の創造性を育てるSTEAM教育を推進している同校だけに、ICTの活用がグローバル教育の中でも生かされている。

 高校に進むと、海外研修以外にもグローバル教育の場は広がり、生徒の自主的な活動も深まる。「国際協力プロジェクト」では、高2生全員が1年間かけて、発展途上国の課題を発見し、解決策の提案を行う。「国際交流ボランティア」も活発だ。JICA(国際協力機構)や亜細亜大学などの団体・大学が主催する国際交流パーティーに参加したり、運営の手伝いをしたりする。

 「国際交流ボランティア」の一環でルワンダ共和国の幼稚園児のためのチャリティー活動を国内で行い、その後、国際研修旅行を通じて現地に赴くなど、生徒の活動は海を越えることもあり、「思わぬ行動力に驚かされることがあります」と山名氏は話す。

ネイティブの教員7人が国際研修の英会話を鍛える

「緊張せずに英語を話せる場を作っている」と話すソマーズ教諭
「緊張せずに英語を話せる場を作っている」と話すソマーズ教諭

 オーラルコミュニケーションの授業を担当しているネイサン・ソマーズ教諭は、中3の国際研修の事前学習となる英会話の指導にあたっている。「ホームステイ先での会話や飛行機内での乗務員とのやりとりなど、研修中の出来事を想定した会話をロールプレイング形式で学びます」と話す。

 同校には、通常の英語の授業はもちろん、生徒とネイティブの教員が英語で自由に話せる機会が多数設けられている。「職員室内に『イー・トークルーム』という、外国の雰囲気が感じられるスペースを設けており、生徒は友達と助け合いながら会話力を高めています。ネイティブの教員と昼食を取る『ランチタイム・イングリッシュ』も、生徒が緊張せずに英語を話せる場になっています」

 ネイティブの教員は現在7人在籍しており、国籍はイギリスやアメリカ、フィリピンとさまざまだ。生徒がアクティブに楽しく英語を話せるように、それぞれが出身国のゲームを授業に取り入れるなど、アイデアを生かした英語教育を行っている。

 「留学を希望する生徒は年々増えていますが、相談の内容が以前と比べて大きく変わってきています」と山名氏は話す。「例えばロシアで得意のクラシックバレエを学びたい、といったように、自分の学びたいことが先にあり、そのための留学をかなえたいというニーズが高まっています」

 同校はグローバル教育の中で「グローバル=英語」ではないことを、生徒が自覚するように指導している。英語が話せるようになりたいから留学するというのではなく、自分の目的を持ち、学びたいものを学ぶために留学するという意識が、生徒たちの中でも明確になってきているのだろう。

 今後、同校は海外の提携校を増やしていく予定だという。これから同校の門をたたこうとする受験生たちに対して山名氏はこう話す。「まず、自分の価値観と自尊心を持ってほしいです。英語はコミュニケーションのツールです。自分らしく生きるための手段として学んでほしいと思います。そして好きなことにたくさん挑戦してほしい」

 (文・写真:三井綾子)

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776967 0 聖徳学園中学・高等学校 2019/09/04 05:22:00 2019/09/04 05:22:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/09/20190903-OYT8I50010-T.jpg?type=thumbnail

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