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【特集】映画制作で学ぶ「考える力」と「思いやり」…聖徳学園

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 聖徳学園中学・高等学校(東京都武蔵野市)は、中1のICTの授業で映画制作を行い、毎年3月に開催する「聖徳映画祭」で作品を発表している。昨年は、コロナ禍のためにオンライン開催となった文化祭に向けて映画を制作し、さらに、その知識を活用して映画祭に向けての制作を行う中で、生徒たちはSDGs(持続可能な開発目標)や社会貢献の大切さに気付くようになったという。映画制作を指導した担当教師と生徒に授業の様子を聞いた。

文化祭で世界の子供たちテーマに映画発表

石田先生が美術を教えたモザンビークの中学生たち
石田先生が美術を教えたモザンビークの中学生たち
文化祭で披露した世界の子供たちの現状を描いた映画
文化祭で披露した世界の子供たちの現状を描いた映画

 聖徳学園中学・高等学校は、毎年9月に文化祭「太子祭」を実施しているが、昨年は新型コロナウイルス感染の影響により、10月にオンラインで開催することとなった。美術科の石田恒平先生が昨年度担任を務めた1年3組でも、出し物をどうするか話し合いが行われた。「中学1年生にとって、自分たちで企画を立てて文化祭で発表を行うのは初めての経験で、何からどう始めればいいか分からない様子でした。そこできっかけ作りとして、私がアフリカのモザンビークで教師をした時の経験を話し、現地で撮った写真や動画などを見せたのです」

 石田先生は2017年秋から約2年間、青年海外協力隊隊員として、モザンビークの学校で中学生たちに美術を教えていた。「1クラスの生徒数が140人でしたから机の数が足らず、床に座って授業を受けているような状況でした。教科書の配布も間に合わず、クラスで教科書を持っている生徒が1人だけということもありました」

 石田先生からそんな状況を聞き、生徒たちは「SDGs」や「グローバル」に関心を持つようになったという。普段から「ICT」の授業でiPadを活用した映画制作などを学んでいることもあり、1年3組は文化祭に向け、世界の子供たちの現状を紹介する映画を制作することにした。

 作品では日本、アフガニスタン、モザンビーク、メキシコなどの子供たちの日常を生徒たちが演じ、紛争が続くアフガニスタンでは子供が戦争に駆り出される様子なども描かれた。「さまざまな国の事情を理解することが大切であると考え、私が用意した資料を基にクラスで話し合いを行うなど、事前学習にはかなりの時間をかけました。同じくらいの年の子供たちが『今』という時間をどう生きているかを知って、仲間と共に十分に学べる環境のあることがいかに大切であるか、理解してもらえたと感じています」

コロナ下に絵を持ち寄ってアニメ制作

文化祭と映画祭の成果について話す美術科の石田先生
文化祭と映画祭の成果について話す美術科の石田先生

 ICTの授業では、「STEAM教育」(Science:科学、Technology:技術、Engineering:工学、Arts:芸術、Mathematics:数学)の一環として、美術・音楽・情報の3教科合同の映画制作が行われている。1年間の授業の成果は、毎年3月に開催される「聖徳映画祭」で披露される。

 文化祭のあと、1年3組の生徒たちは映画祭に向けての制作に取りかかった。映画祭のテーマは「SDGs」であり、文化祭の映画制作のために行った事前学習が生きてくる。4、5人のグループごとに「電気の大切さ」「海や陸の豊かさ」などのテーマを決め、さっそく企画作りをスタートさせた。

 しかし、本格的に制作に取り掛かる3学期を迎えた1月7日、首都圏の1都3県に緊急事態宣言が出され、冬休み明けから2月12日まで、授業はオンラインのみとなった。映画は、粘土で作った人形を少しずつ動かしながらコマ撮りをする「クレイアニメーション」の手法で撮影する予定だったが、集まって作業することができなくなったため、急きょ各自が自宅で絵を描き、それらをつなぎ合わせたアニメーション作品を作ることになった。

 「でも、それがかえってよかったのかもしれません。想定外の状況の中でそれぞれが工夫して取り組み、絵を持ち寄ってアニメ―ションにするという新しいスキルを身に付ける機会ともなりました」と、石田先生は振り返る。

「動画を発信して人の役に立ちたい」

 昨年の映画祭で優秀賞を受賞したグループで、編集作業を担当した谷口 侑子(ゆうこ) さん(現・中2)は、「文化祭の準備で途上国の子供たちについて調べた時には、電気や水がない、食料も十分ではないという現状に衝撃を受けました。そこで映画祭では、『電気の大切さ』をテーマに制作することにしました」と話す。

映画祭で発表した谷口さんのグループの映画
映画祭で発表した谷口さんのグループの映画

 1本の作品は約3分で、映画祭では、内容に関するプレゼンテーションを行ったあと、作品を上映する。谷口さんたちが作ったアニメ映画「世界滅亡」は、人類が資源を使い果たしてついにこの世から電気がなくなり、世界を動物たちが支配するという様子がユーモラスに描かれていた。「見ている人に、『ちゃんと節約していれば、こんなことにならなかったのに』と思ってもらえたら、と考えました」と、谷口さんは制作意図を話す。

 「世界滅亡」は、同校教師らが務める審査員たちの好評価を得た。「『世界滅亡』には強烈な印象がありましたね。人間と動物の立場が逆になることで、現在、いかに人間中心の世の中であるかということがよく伝わってきました」と、審査員を務めた石田先生は評価のポイントを説明する。

 谷口さんは、中学入学前には動画制作の経験はなかったが、授業や文化祭、映画祭での経験を経て、1人1台持っているiPadを活用して映像を編集するスキルを身に付け、今では友人と趣味で動画を作ることもあるという。

 「自分が持っている知識を、映像という形で多くの人に広めることができることが分かってうれしかったですね。外国の事情やSDGsについて調べた経験から、動画を発信して人の役に立つ仕事ができるようになれば、と思うようになりました」

 「生徒たちは映画制作を通して、仲間と一つのことを成し遂げるのはもちろんのこと、見る人にどう受け止めてもらえるかと、人の気持ちを考える心が育ちました」と石田先生は話す。「また、SDGsや世界の事情について学ぶことで社会貢献を意識し、私たちの学校が大切にしている『考える力』と『他者への思いやり』が身に付いたように思います」

 同校は学校全体でSDGsへの意識を高めており、今年度の映画祭のテーマも「SDGs」としている。石田先生は、「一連の活動を通して、生徒たちの間に環境への配慮が浸透してきています」と言う。「昨年の文化祭では、資材が余ったら他のクラスに回してゴミを減らそうと自分たちで工夫していました。普段、教室を出る時に電気やエアコンを消すのも習慣になっています」。この4月に入学した生徒たちも、2学期から授業で本格的に映画制作の準備に取り組む。今年度の映画祭には、どんな力作が出てくるのか楽しみだ。

 (文:足立恵子 写真:中学受験サポート 一部写真提供:聖徳学園中学・高等学校)

 聖徳学園中学・高等学校について、さらに詳しく知りたい方は こちら

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2205616 0 聖徳学園中学・高等学校 2021/07/20 05:01:00 2021/07/20 05:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2021/07/20210714-OYT8I50013-T.jpg?type=thumbnail

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