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【特集】思考を組み上げる「型」をつくる「ドミニコ学」…聖ドミニコ

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 聖ドミニコ学園中学高等学校(東京都世田谷区)は、昨年度から「総合的な学習の時間」で独自の授業「ドミニコ学」を行っている。中1から高2まで、学年ごとに設定した探求テーマについて情報収集・分析・発表を行う中で、思考を整理する力を鍛えるという。10月7日、中1と中3のドミニコ学の授業を取材した。

情報を整理し、考えを練って形にするプロセスを学ぶ

ドミニコ学を発案し進めてきた石川一郎カリキュラムマネージャー
ドミニコ学を発案し進めてきた石川一郎カリキュラムマネージャー

 「何かを思いついて行動に移す時は、プロセスがとても大事です。今の子供たちは、インターネットなどで情報を集めることや、いろいろなツールを利用したアウトプットはとても得意ですが、その間にある、考えを練りこんで組み上げる力が弱い。それは、当校の教育の中でも欠けている部分でもありました」。カリキュラムマネージャーを務める石川一郎教諭はこう話す。3年前に同校に赴任した石川教諭が、このような問題意識から発案し、進めてきたのがドミニコ学だ。

 毎週水曜日の7時間目に行われている「ドミニコ学」では、さまざまなワークシートを用いながら、一定のテーマに沿って収集した情報を分析、整理、編集、表現する。そのプロセスを、グループワークで実践するのが特徴だ。

 「例えば、取材して情報を集めても、それをそのまま発表できるわけではありません。情報を整理し、考えを練って形にするという編集の作業が必要になります。その『型』を学び、どんな状況にも対応できる思考力・判断力・表現力をトレーニングするのが、ドミニコ学の狙いです」

シンキングツールを用い、情報や考えを整理

「自己紹介と他己紹介」をテーマとした中1のドミニコ学
「自己紹介と他己紹介」をテーマとした中1のドミニコ学
慣れた手付きでタブレットを操作する生徒
慣れた手付きでタブレットを操作する生徒

 同校は昨年度から2コース制を採用しているが、中1のドミニコ学ではコースの別なく、「インターナショナルコース」の17人と「アカデミックコース」の39人を一緒にして、まず4人ずつのグループに分ける。次いで「自己紹介と他己紹介」をテーマに、グループ内で互いにインタビューして情報を集め、最後に情報の内容をどのように整理したかを発表する。情報収集と情報整理の基本を身に付けることが目的だ。

 情報の整理には1人1台配布されているタブレットが使われる。前回までの授業では、手書きノートアプリ「MetaMoji ClassRoom」を使い、集めた情報を各自が整理。さらに、それらの情報を、イメージマップやマトリックスなどの「シンキングツール」で編集し、図にまとめながら考えを整理してきた。

 6回目となるこの日は、次回からの発表に向けて、メンバーそれぞれの作業結果をグループ内でまとめ、ポスターを作成する作業を行った。各自のタブレットには、「部活」「好きな動物」「好きな食べ物」「今ハマっていること」「行きたい場所」といったトピックを並べた図が共有されていて、それぞれが収集・整理してきた情報を書き込むことで一つにまとめていった。

 ポスターデザインと原稿を全員で話し合いながら進めていくグループもあれば、それぞれ分担を決めて分業しているグループもあり、作業の進め方はまちまちだったが、慣れた手付きでタブレットを操作している姿が印象的だった。

コロナ禍をテーマにした雑誌づくりに挑戦

「雑誌づくり」で、意見やアイデアを分類してワークシートに貼り付けていく中3生
「雑誌づくり」で、意見やアイデアを分類してワークシートに貼り付けていく中3生

 中3では、学年全体の57人を6人ほどのグループに編成し、コロナ禍で見たことや感じたことをまとめた雑誌づくりに挑戦していた。

 これまでの授業では、まず読売新聞社メディア局の社員を講師として、新聞や雑誌についての基礎知識や、取材アポの取り方、記事を書く心得などを学んだ。さらに、「社会」「生活」「医療」という三つの大きなジャンルを決めてグループを振り分け、グループごとに記事にしたいテーマを決めていった。

 「社会」のジャンルでは給付金やマスクについて、「生活」のジャンルでは「おうち時間の過ごし方」「オンライン○○(ショッピング・授業など)」、「医療」のジャンルでは「ワクチンの開発」「病気と都市伝説」など、テーマはさまざまだ。

 この日の授業では、記事にしたい具体的なテーマについて、どのように情報を集めるか意見を出し合った。その意見やアイデアを付せんに書き込み、「新聞・雑誌・ネットで調べられること」と「取材しないと分からないこと」に分けて、ワークシートに貼り付けていく。

 「病気と都市伝説」を取り上げたグループでは、ワークシート上に、「温暖化と伝染病の関連」「未来の伝染病を描いた映画は予言なのか」といった言葉や、「アマビエ」「ヨゲンノトリ」など最近話題となった妖怪の名前が並んでいた。コロナ禍で話題になった伝承やうわさ、過去の伝染病と伝説の関連などについて情報を収集し、記事化するという。次回以降の授業では、具体的に記事の執筆と雑誌の編集作業に入っていく予定だ。

「読む人の記憶に残る記事に」

 生徒にとって雑誌づくりは初めての試みだという。どういう雑誌をつくりたいのか、三つのジャンルのリーダーとして、雑誌の編集長的な役割を務める生徒たちに話を聞いた。

 「社会」のリーダーを担当する小森文子さんは、「取り上げる内容がテーマから外れていないか、面白いと思ってもらえる内容か、などに気を配っています」と話す。「政治や経済といった堅いイメージが強いので、近くのお店の休業や赤字が増えたなど、身近なことにつなげて考えてもらうようにみんなに声がけしました」

 「医療」のリーダーを務める吉岡彩音さんは、自ら都市伝説のテーマを提案した。「分かりやすい例として挙げたのですが、それをみんなが広げてくれました。一方で、ワクチンなどを取り上げたグループもあり、面白い記事と真面目な記事のバランスがとれたと思います」

 小森さんと吉岡さんはともに、「読んだ人の記憶に残る記事を書きたい」「みんなが関心を持てる雑誌にしたい」と話した。

 「生活」のリーダーを務める高田莉那さんは、「みんなに興味を持ってもらえるような記事にするには、たくさんの情報を手に入れるための取材がとても重要だと分かりました」とし、「でも、コロナが終息したとき、こういうことがあったねと思い出せるものをつくりたい」と話した。

自分のミッションを実現するスキルを身に付ける

取り組みの中で「生徒たちの変化を実感する」と話す国語科の西亀教諭(左)と英語科の江口教諭
取り組みの中で「生徒たちの変化を実感する」と話す国語科の西亀教諭(左)と英語科の江口教諭

 こうした取り組みの中で、国語科の西亀咲江教諭は、生徒たちの変化を実感しているという。「グループワークの中では、安心して自分を出し、言いたいことが言えるなど、以前よりも前向きになっているようですね。いつもと違う体験ができているのかなと思います」

 英語科の江口由美子教諭も、「発表するとき、以前よりも姿勢正しく、堂々と話せるようになりました。自分でも気付かないうちに『相手にちゃんと伝わるように話したい』という意識が芽生えているからではないでしょうか」と手応えを話す。「みんなで話し合う中で、自分の意見をきちんと言えること、自分と違う考えを聞いて受け入れること、アイデアを膨らませることなど、ドミニコ学で身に付けたことは、将来、問題を解決する力や考える力として生かされていくと考えています」

 ドミニコ学によって、教員も変わってきたと石川教諭は見る。「一番成長しているのは、ドミニコ学を試行錯誤して進めている教員自身かもしれません。生徒に教えることで、先生も自分たちの思考スキルを意識することができているようです」。西亀教諭も「先生のドミニコ学でもありますね。通常の授業と違い、教科をまたいで他の先生と一緒に活動することで、一人ではできない新しい発見や学びがあります」と話す。

 石川教諭はドミニコ学にかける思いをこう語った。「本校はミッションスクールなので、生徒たちは何らかのミッション(使命)を持って世の中に羽ばたいていってほしい。ドミニコ学を通して、その思いを実現するための方法を身に付けてほしいと思っています」

 (文:石井りえ 写真:中学受験サポート)

 聖ドミニコ学園中学高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1672254 0 聖ドミニコ学園中学高等学校 2020/12/08 05:01:00 2020/12/08 05:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/12/20201203-OYT8I50022-T.jpg?type=thumbnail

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