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【特集】「ネイチャーイン」を通して「個の存在」を高める…橘学苑

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 橘学苑中学校・高等学校(横浜市)は、農作業や自然体験を軸とした体験学習プログラム「ネイチャーイン」を通して「個の存在」を育む教育を展開している。豊かな自然の中で感性を育て、自分らしさを見つける中で、生徒は自立した姿勢が身に付き、大学進学やさらに将来の目標に対する意識も明確になってくるという。今年度から校長を兼任する外西俊一郎学苑長に「ネイチャーイン」の意義や目的を聞いた。

自分で疑問を見つけ、探究する実践の場

「ネイチャーイン」について話す外西学苑長
「ネイチャーイン」について話す外西学苑長

 橘学苑には、校舎の裏手に「アグリラボ」と呼ぶ学苑農場がある。全学年の中学生が、そこでえんどう豆やジャガイモ、ミニトマトなどを栽培し、「創造の時間」(総合的な学習の時間)などに、草取りや水やりなどの農作業を体験する。

 「このアグリラボは、建学当時に創立者の土光登美先生が校内で畑を耕されていたことに始まります。当時は戦争中でしたから、食糧難の時代だったのでしょう。そこから学ぶこと、食を尊ぶことを現代風に解釈したのが、このラボなのです」と外西校長は説明する。

 この「アグリラボ」での活動や、長野県飯島町にある学苑運営の宿泊体験施設「アグリネーチャーいいじま」での一連の合宿体験など、農作業や自然体験を軸とした体験学習プログラムを同校は「ネイチャーイン」と呼んでいる。

 今年は、新型コロナウイルスの感染を懸念して、実施されなかったが、例年は中学の入学式翌日から「アグリネーチャーいいじま」に移動し、2泊3日のネイチャーイン合宿で学校生活がスタートする。

 「ここで校歌を練習し、建学の精神を学び、クラスメートとの交流を深めるとともに、自然豊かな環境のもとで、感性を育みます」と外西校長は話す。「また、自然の営みに触れることで、気付きを得たり、疑問が芽生えたりする。『ネイチャーイン』は、それらを掘り下げて探究してもらうきっかけ作りとなるものです。都会育ちの子供たちの感性を高め、育むには、自然に抱かれることが大切だと考えました。空はなぜ青いのか、葉っぱはどうして緑なのか。それまで当たり前だと思っていたことを、あらためて問いかける。その連続が学びにつながると思います」

 かつて、高校で生物を中心に科学を教えてきた外西校長は、子供たちの教育についてこう考える。「机上の暗記をさせればテストのスコアは伸びると思います。でも、そういう知識は身に付かない。本当に身に付くのは、自分で疑問を見つけ、探究したことです。それを実践できるのが、当校の『ネイチャーイン』を中心に据えた総合的学習であり、それはキャリア教育でもあり、ひいてはグローバルマインドを育てるのにも、大いに役に立つと思います」

田植えから収穫、販売を通してキャリア教育も

「アグリネーチャーいいじま」で田植え作業を行う中学1年生
「アグリネーチャーいいじま」で田植え作業を行う中学1年生

 入学直後の「ネイチャーイン合宿」が済むと、再び「アグリネーチャーいいじま」で、5月下旬に実施される2泊3日の「田植え合宿」が中学1年生を待っている。

 ほとんどの生徒たちは都会育ちで、水田に足を入れるのは初体験。「それでも、最初はひるんでいた生徒たちも『さあ、始めるよ』と声をかけると、作業に集中していきます」と何度か合宿を引率した中川岳人副校長は話す。

 「田んぼにくると、クラスのみんながそれぞれ手分けして、力を合わせてくれます。たとえば、(うね)の列が均等になるようにテープを張る係、列が進むと途中では引き返せないので、苗を投げてやる係など、『わたし、やります』、『おれがやる』と、積極的に手を挙げる。自然と協働ができ上がるのが、この田植え学習の醍醐(だいご)味だと思います」

学苑農場「アグリラボ」で収穫された野菜
学苑農場「アグリラボ」で収穫された野菜

 2泊3日の合宿期間中に、生徒たちは見違えるほどに成長するという。「お米を自分たちで作るので、食べ物への感謝の気持ちが芽生えて、食べ残しが減ります。また、お世話をしてくれる『アグリネーチャーいいじま』のスタッフの人たちにも、自然とあいさつや気遣いができるようになります」

 田植え合宿で植えた苗が、たわわに実った稲穂をつける9月には、2泊3日の「稲刈り合宿」が行われる。刈り取った稲を乾燥機で乾かし、脱穀すると毎年約800キロの新米がとれるという。もちろん、一連の米作りは作業を体験するだけでなく、稲の生育を写真で記録し、観察や考察をリポートにまとめて発表する。

 「収穫された米は、生徒たちが文化祭に出品、販売します。中央アルプスの伏流水が流れる田んぼで育つ米は、なかなかおいしいと評判で、人気が高いんですよ」と外西校長は話す。また、アグリラボでとれた野菜も、教員の知人の料理店で買い取ってもらっている。こうして農産物を育てて販売する経済活動の経験は、実践的なキャリア教育になっているという。

グローバル社会にも通用する自分らしさを見つける

国際コースの高校2年生は1年間のニュージーランド留学を行う
国際コースの高校2年生は1年間のニュージーランド留学を行う

 「ネイチャーイン活動で培われた感性は、そのまま個性として大きく育てたい。うちの学校で大切にしたいのは、『I』。つまり、私という『個の存在』です。生徒それぞれが『なぜ』という疑問をもち、そこから自分らしさを見つけてくれたら、それはそのままグローバルな社会にも通用し、人工知能が人間を凌駕(りょうが)すると言われる時代にも、立ち向かえると思います」

 「個の存在」という意味で、同校で目を引くのは高校にある四つのコースのうち、「国際コース」の存在だ。ほかに、「デザイン美術コース」「特進クラス」「総合進学クラス」があり、「デザイン美術コース」も美大系の有名校や国立大に合格者を出しているユニークなコースだが、「国際コース」は高校2年次に生徒全員が1年間のニュージーランド留学を行っているという点で特異なコースだ。外西校長は、「将来の目標が明確で意識の高い生徒が集まっています」と話す。

 実際、「国際コース」に進んだ時から本格的に英語を学び始め、留学して語学力を磨き、帰国後にはTOEIC900点台後半を取り、実用英語技能検定1級にも合格して、早稲田大学に進学した生徒がいるそうだ。

 なお、ニュージーランド留学の期間は日本で学習したのと同じように評価されるため、留年扱いにはならない。「グローバルな感覚と語学力が身に付き、世界を視野に未来が開けるので、経済的な余裕があれば、ぜひおすすめしたいと思います」と外西校長は話す。

 外西校長がこれから取り組もうとしている課題は、現在7割ほどの進学率をさらに上げることだという。「中学校からの内進生は、ネイチャーインで自立の姿勢が育っているせいか、進学のためのクラス編成にも、『特進クラス』や『国際コース』を選ぶ生徒が目立ちます。それだけ、将来のビジョンが明確だということなのでしょう。これからもネイチャーインなどの活動を通して『個の意識』を高め、明確な目標を持って大学入試などの壁を突破してほしいと思っています」

 (文:田村幸子 写真提供:橘学苑中学校・高等学校)

 橘学苑中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1462931 0 橘学苑中学校・高等学校 2020/09/09 05:21:00 2020/10/21 16:47:44 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/09/20200908-OYT8I50048-T.jpg?type=thumbnail

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