未来のイノベーターを育てる学校改革スタート…山手学院

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 山手学院中学校・高等学校(横浜市)は今年度、神奈川県の教育界で学校改革に手腕を振るってきた時乗(ときのり)洋昭(ひろあき)氏を新校長に迎えた。時乗校長は、社会のイノベーターを養成することを目標に、早くも入試改革やコース制の導入に乗り出している。新しい時代に対応した教育のあり方、学校改革の方針などを時乗校長に聞いた。

イノベーションを起こすことは自由を獲得すること

イノベーターを育てることを目標に掲げる時乗校長
イノベーターを育てることを目標に掲げる時乗校長

 山手学院は「世界を舞台に活躍でき、世界に信頼される人間」を育成することを建学の理念としている。また、その理念を実現するために「国際交流教育」「教科教育・進路指導」「誠人教育」の三つの柱を教育方針とし、それらの中心に「自由」を位置付けている。その「自由」は、自ら誇りを持つとともに、他者の誇りと自由を尊重する姿勢の上に成り立つものだという。

 「着任して、教育方針の中心に『自由』があると知り、とても共感しました。私が教師生活を通して目標としてきたのはイノベーターを育てることです。イノベーションを起こすことは、自由を獲得していくことでもあります。そうした伝統や校風を大事に継承しつつ、改革を進めていきます」と時乗洋昭校長は語る。

 時乗校長は、神奈川県立秦野高校や同県立湘南高校の校長を歴任し、退職後は県教育委員会で学力向上進学重点校指定などの学校改革に取り組んできた。また、通信制の県立横浜修悠館高校や、フレキシブルスクールの県立厚木清南高等学校の設立に参画するなど、新しい学校づくりについても豊富な経験を持っている。

 「デジタル化、グローバル化が進み、未来を予測することが難しい社会を生き抜くには、イノベーションを起こす力が必要です。そして、6年間かけてじっくりと人を育てる中高一貫の私学はそのために絶好の環境と言えます。この山手学院の教育に、私はこれまでの経験を集大成したいと思っています」

生徒たちのマインドセットを変えたい

マサチューセッツ工科大学での研修に参加する生徒たち
マサチューセッツ工科大学での研修に参加する生徒たち

 目標を実現するために時乗校長は学校改革に着手した。その一つは2020年度の入試から新たに特待選抜を行うことだ。中3~高1次に、アントレプレナー(起業家)を養成する教育プログラムを導入する予定であり、そうした素質を持つ生徒を集めるのが目的だ。プログラムの中には、マサチューセッツ工科大学(MIT)での2週間の海外研修も含まれていることから、生徒の経済的な負担を軽くするために、特待生は施設設備費と授業料を全額免除するという。

 すでに移行期間として今年7月、神奈川県内の他の学校と合同でMIT研修を行い、6人の生徒が参加。生徒たちは大いに刺激を受けたという。

 もう一つの改革がある。「STEAM(Science、Technology、Engineering、Art、Mathematics)教育」を中心に置いたコースと一般コースの2コースを設けることだ。一般生も特待生も、中3に進級する際にどちらかのコースを選択することになる。

 「改革の狙いを一言で言うと、生徒たちのマインドセットを変えたいということです。これまでのような国内の有名大学に進学して、大手企業に就職するというロールモデルだけではなく、たくさんの選択肢を持てるような学びを提供し、自分で道を切り開いていくような生徒を育てたいと思っています。もちろん中高では基礎的教養を身に付けることも重要ですから、コース選択までの2年間でベーシックな基礎学力をしっかりと身に付け、最後までやり抜く力を養います。そこから、将来の目標を見いだす力も育てたいと考えています」

ICTの整備で一人一人に最適化した学習環境

中学3年生が全員参加する「オーストラリア・ホームステイ」
中学3年生が全員参加する「オーストラリア・ホームステイ」

 こうした新しい教育を効率的に進めるために、同校は積極的にICT(情報通信技術)を活用していく方向だ。

 「STEAM教育を進めるには、ICT環境の充実が不可欠です。Wi―Fiをすべての教室、実習室で使えるように整備し、中1から高2まで全生徒にタブレット端末を購入してもらいます。現在、タブレットで提供するコンテンツを教員が作成しており、来年4月から運用を開始する予定です」

 時乗校長は、生徒の学力や理解度は一人一人異なるため、ICTを活用して個々の生徒に最適化した学習環境を提供しようと考えている。

 「生徒一人一人が、今、何をどこまで理解し、何が理解できていないかを把握するためにICTは有用です。外部のアプリなども積極的に活用しながら、生徒自身が自分に合ったコンテンツを選んで、どんどん学習できる環境を作ります」

 こうした学習環境には、自ら能動的に学ぶ姿勢を身に付けさせる効果がある。それはイノベーターを養成するために欠かせない要素だ。

 「学び方を学ぶことが必要です。新しい学習指導要領の中で言われている探究学習や、本校が取り組むSTEAM教育は、いずれも主体性を持って学ぶ力を育てるものです。自身を客観的にとらえ、どのように学べば良いかを身に付ければ、どんなに世の中が変化しても対応する知識と力を得ることができます」

 「優秀な生徒の特徴は、能力が高いだけでなく、勉強の仕方も知っていることです」と時乗校長は話す。「より自分に適した学び方を見つけるためにも、ICT環境の下での個別最適化した学習は役立つでしょう。自分の知識を補うために、学ぶ方法を考え、自分からアプローチすれば、世界が広がります。学び方を知ると、人生はとても豊かなものになるのです」

50年前から続いている北米研修
50年前から続いている北米研修

 語学力の養成もイノベーターを育成するうえで欠かせない。「イノベーターとしては最新の技術情報をリアルタイムで得る必要があり、翻訳を待っていては周回遅れになってしまいます。ホットな情報を入手し、かつ発信するために英語はこれまで以上に重要になります」

 同校には既に、50年前から続く北米ホームステイや、シンガポールやオーストラリアでの研修など多くの国際交流プログラムがある。今後は時乗校長のリードで、これらのプログラムをブラッシュアップしていくという。

 最後に、時乗校長から同校の受験を考える子供たちへのメッセージを聞いた。

 「中学高校時代にさまざまなことに挑戦し、失敗もたくさん経験して、そこから主体的に学び取っていく、チャレンジ精神を持った生徒を歓迎します」

 (文:山口俊成 写真:中学受験サポート 一部写真提供:山手学院中学校・高等学校)

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801456 0 山手学院中学校・高等学校 2019/09/20 05:21:00 2019/09/20 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/09/20190918-OYT8I50020-T.jpg?type=thumbnail

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