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【特集】自学自習とモチベーション作りで希望の進路を開く…狭山ヶ丘

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 狭山ヶ丘高等学校・狭山ヶ丘高等学校付属中学校(埼玉県入間市)は、中1から自学自習の習慣を固め、モチベーションを高める工夫により、学校の勉強だけで大学受験に対応する学力を身に付けさせている。今春も、東京大学を始めとする国公立大学・大学校に46人、早慶上理に43人の合格者を出した。希望の進路を実現させる手厚いサポート体制について進路指導部長の市成敏明教諭らに聞いた。

朝ゼミや放課後の自習で学習習慣を確立

「生徒の希望をかなえるために教員は一丸でサポートします」と話す市成教諭
「生徒の希望をかなえるために教員は一丸でサポートします」と話す市成教諭

 同校では中1から高3までの全学年で午前7時20分から50分間、「朝ゼミ」と呼ぶ1限前の授業がある。「生活習慣を見直して、早起きの習慣を付けてもらおうという狙いもあります」と進路指導部長の市成教諭は説明する。

 中1、中2は週に3回、曜日を決めて英語、数学、国語を学ぶ。強制参加ではないが、自然と全員が参加しているという。「早起きの習慣が定着すると、朝ゼミがない日でも、7時20分から教室で自習したり、家で勉強してから登校したり、朝に勉強する習慣が付きます」

 中3も、同様に週4回、英語、数学、国語を学ぶが、このうち2回は、放課後の午後4時から1時間ほど実施する「放課後ゼミ」に振り当てられる。

 高校では、朝ゼミと放課後ゼミに分けて、高1は週7コマ、高2は週16コマ、高3は週11コマが設定されており、自分の希望進路に合わせて選択することができる。

 「早起きする習慣は大きな力になります。今春、東京大学に現役で合格した生徒も、その習慣が定着していたので、高3の時も、毎朝家で勉強してから登校していました」と市成教諭は話す。

 放課後ゼミの講義時間は60~120分ほど。さらに、その後、高校生は夜9時まで、中学生は7時まで、自習室で勉強できる。自習を終えた生徒のために夜7時と9時にスクールバスが運行されている。

 朝と放課後のゼミによって自学自習の習慣が確立されるため、学校の勉強だけで、十分に受験に対応できる力が付くという。塾や予備校に通う生徒は少なく、ほとんどの生徒が学校の勉強だけで大学受験するそうだ。

総合的な学習の時間で、段階的にモチベーションを高める

 自学自習の習慣をさらに確実なものにするうえで、「総合的な学習の時間」は大きな役割を果たしている。学年を追って目標の進路を明確にしていく中で、生徒のモチベーションを大きく引き上げているという。

 中1では「自分を知る」をテーマに、自己分析の機会を作り、考える(すべ)を身に付ける。中2では「社会を知る」をテーマにワークショップを行い、思考力や発想力の向上を目指す。

 その集大成として中3で行うのが、論文作成だ。生徒一人一人が、自分の深めたいテーマを探し、大学生や研究者が読むような論文に多く触れるという。論文はグーグル社の提供する論文検索サービス「Google Scholar(グーグル・スカラー)」や、学術情報データベース「CiNii(サイニィ)」を活用する。さまざまな論文にあたりながら自分の考えを深め、自分の言葉で4000字以上の論文を作成する。

 「大学生が読むような論文に触れることで、学ぶ楽しさや、自分の興味関心を知ることができます。大学の学問を知るきっかけにもなります。中3の早い時期から大学を意識することが、学ぶ動機付けになるのです」と市成教諭は説明する。

 中3でバクテリアの研究を行い、発表した生徒は、高2で理系を選択して、北海道大学の総合入試理系に合格。現在、農学部森林科学科で学んでいるという。

「総合的な学習の時間」を活用した自学自習について説明する是佐教諭
「総合的な学習の時間」を活用した自学自習について説明する是佐教諭

 また、中1の時から自己について考えを深めていた生徒は、哲学に関心を持ち、第1志望の大学の哲学科に合格を果たしたという。この生徒の担任だった募集部長の是佐斉教諭は、こう振り返る。「三つも部活を掛け持ちしている、元気で活発な生徒でした。部活をやりながら勉強も頑張り、特に部活を引退してからは、急激に学力が伸びていきました。中学生の時からディスカッションやグループ討論などを行って、自分を見つめることができたから、モチベーションを高く持てたのでしょう。見違えるように成長し、合格した時には『学校のおかげ』と話してくれました」

 市成教諭も、「中学全学年で調べ学習をし、クラスや文化祭でプレゼンを行います。こうした経験を豊富にさせるので、物おじしない生徒に育ち、総合型選抜の入試で行われるグループディスカッションや面接にも強さを発揮できるのです」と話す。

 さらに、大学を身近に感じられるようにする工夫として、東京大学や東京都立大学などのキャンパスツアーも中1から行っており、修学旅行では必ずその地域の大学を訪れる。昨年は京都大学を訪れた。このほか、卒業生による進路講演会も実施しており、さまざまな機会を設けて、生徒が大学についてイメージを持ちやすいように努めているという。

大学受験を乗り越えられるよう全力サポート

進路講演会で、大学生活について話す卒業生
進路講演会で、大学生活について話す卒業生

 段階を踏んで自学自習の習慣を身に付け、モチベーションを高めても、受験生には精神的な不安定やスランプが付き物だ。そこで、「私たち教員は、生徒の側に立ってフォローすることで、受験を乗り越えられるように全力でサポートしています」と市成教諭は話す。

 全学年で各学期1回、全員の生徒と面談をするほか、三者面談を年に1回、高3では年に2回実施している。「面談では、必ず一つは生徒の良い部分を褒めて、自信を持たせるようにしています。三者面談では、保護者と生徒の親子関係をよく把握して、生徒を伸ばすために、生徒を少しでも肯定してフォローするようにしています」

 思春期の難しい時期だけに、ときには親と子が全く口を利かなくて、面談の場にピリピリした雰囲気が漂うこともある。そんな時も、生徒の良い面を挙げてフォローすることで、生徒との信頼関係を築き、生徒の頑張りを引き出すという。

 ときには、数学の苦手な生徒にプリントを出して添削したり、英作文を個別に添削指導するなど、それぞれの生徒に合わせて個別指導したりすることもあるという。「受験のストレスに弱い生徒もいます。でも、寄り添って指導してあげると、それを乗り越え、強くなっていくのです」

 こうした手厚い指導によって、近年大学合格実績は好調だという。2020年度入試では、東京大学、東京工業大学、東北大学を始めとする国公立大学・大学校に46人、早慶上理に43人が合格している。

 「私立大学の定員厳格化で、全体的に私大合格者数が減少してきましたが、本校の早慶上理の合格者数は増加しています」と市成教諭は胸を張る。「今後は、東京大学の合格者を毎年複数人出すことを目標に指導していきます」

 今年はコロナ禍のため3か月間の休校期間を設けたが、5月からグーグル社の「G Suite(ジー・スイート)」を利用したオンライン授業を始めた。「オンデマンド方式のオンライン授業です。この時期を経験して、いかに対面授業の意味が大きいか、教員も生徒も実感しました。ただ、このオンデマンド配信を休校期間だけで終わりにするのではなく、さらに有機的に今後の学習につなげていくことを検討しています。すでにG Suiteで課題を配信して、ゼミで解説するなど、一部活用を始めています。これによる学習の効率化と、学力の向上にも期待しています」

 コロナ禍という試練を経て、同校の教育はますます発展していきそうだ。市成教諭は、「一番の目的は、生徒の希望をかなえてあげることです。そのために、私たち教員も一丸となってサポートしていきます」と語った。

 (文・写真:小山美香 一部写真提供:狭山ヶ丘高等学校・狭山ヶ丘高等学校付属中学校)

 狭山ヶ丘高等学校・狭山ヶ丘高等学校付属中学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1717395 0 狭山ヶ丘高等学校・狭山ヶ丘高等学校付属中学校 2020/12/22 05:01:00 2020/12/22 05:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/12/20201221-OYT8I50047-T.jpg?type=thumbnail

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