第2外国語を学んで真の国際人を目指す…同志社国際

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 同志社国際中学校・高等学校(京都府京田辺市)は創立以来40年間、英語に加えて「第2外国語」の授業を行っている。ドイツ語、スペイン語、フランス語、中国語、韓国・朝鮮語の中から一つを選び、習熟度別の少人数クラスで学ぶ。生徒の3分の2以上が帰国生という多様な言語・文化環境を生かし、真にグローバルな人材を育てることが狙いだ。「第2外国語」の授業風景や生徒たちの声を紹介する。

英語だけでなく、多様な言語や文化に触れる

ゲーム形式で楽しく学ぶスペイン語の授業
ゲーム形式で楽しく学ぶスペイン語の授業

 同志社国際は、全校生徒の3分の2以上を海外からの帰国生が占める。帰国生たちは平均4~5年の海外生活経験があり、滞在国は欧米を中心に中国、韓国などのアジア諸国も含めて45か国に上るという。

 多様な滞在国で多様な言語に接しながら成長した子供たちに対応するため、同校の帰国生入試は非常に弾力的だ。教科試験は日本語で行うが、中学校では作文、高校生では小論文の試験を、日本語以外のどの言語でも受験できる体制を取っている。英語やドイツ語、中国語などメジャーな言語には同校の教員が対応し、それ以外の言語は学外の専門家に依頼して答案を英語か日本語に翻訳してもらい、内容を精査するという。

 入学後、英語の授業は習熟度別に中学は6段階、高校は4段階に分けたクラス編成で行われる。また、第2外国語は、中学では、学習経験がある生徒と英語の習熟度が高い生徒だけが選択履修することができる。高校では誰でも第2外国語の選択履修が可能だ。

 同校アドミッションズセンター主任の春日清彦教諭は、第2外国語を学ぶ意義についてこう説明する。「英語以外の言語地域で幼少期を過ごした生徒たちは、帰国した途端にその言語で話す機会がなくなってしまいます。せっかく習得した語学力はもちろんですが、その国独特の考え方や感覚を維持することは本人にとって自信につながります。他の生徒にとっても多様な言語や文化に触れることは良い刺激になります。グローバル化時代の現代では英語でのコミュニケーションがベースとなりますが、世界には多様な言語や文化、価値観があります。それを認め合い、自分の意見を伝えつつ相手を受け入れることができる人が、真の意味でのグローバル人材として求められていると思います」

外国語習得に対して見せる高いモチベーション

 第2外国語のクラスは、初心者と学習経験者の2段階で、それぞれ数人から30人程度の少人数クラスに編成される。ネイティブの外国人講師や学外から招かれた専門家が担当し、週1回2コマ(1コマ45分)の授業が行われる。

 2月18日、同校を訪れ、現高1生の第2外国語の授業を見てきた。現高1生は270人のうち6割以上の165人が第2外国語を選択している。最も多いのは中国語で44人、次いでスペイン語40人、フランス語36人、韓国・朝鮮語26人、ドイツ語19人の順になっている。

 この日の授業は1、2時限目で、選択した165人が言語・習熟度別に10クラスに分かれて授業に臨んだ。一方、第2外国語を選択しない生徒には英語の選択授業(アクティブラーニングなど)がある。

ロールプレイング形式でドイツ語会話を学ぶ生徒たち
ロールプレイング形式でドイツ語会話を学ぶ生徒たち

 最初に見に行ったのはドイツ語の上級クラスだ。受講者は11人でうち7人が帰国生だという。国内のドイツ語教育文化機関で教鞭(きょうべん)をとる橋本由樹乃講師が担当し、外国人向けのドイツ語学習教材を使って文法を解説する。

 この日の学習テーマは形容詞の比較級の作り方だ。橋本講師による解説の後、生徒たちは2人1組になってロールプレイング形式でドイツ語会話に挑戦する。習ったばかりの比較級を使いながら、「父親と母親のどちらが楽観的か」「タピオカミルクティーとスポーツ飲料はどちらが健康的か」など身近なさまざまのテーマを論じ、最後は2人で交わした会話を整理して文章化し、クラス全員の前で発表する。

 橋本講師の解説中、生徒たちは静かにノートを取っていたが、ロールプレイングが始まると生き生きとした表情に変わり、ドイツ語を駆使して互いの意見を活発に交換していた。「外国語習得に対してモチベーションの高い子が多いですね」と橋本講師はクラスの印象を話す。「それぞれの生徒が、自分の考えをドイツ語で表現することに臆することなく取り組んでいます」

リラックスした雰囲気で授業を進めるコラール講師
リラックスした雰囲気で授業を進めるコラール講師

 続いて見に行ったのはスペイン語の上級クラスだ。ちょうど文法の解説が終わったところで、生徒たちはスペイン人のアラセリ・コラール講師を囲んで輪になり、和気あいあいとした雰囲気で、動詞を命令形に活用するゲームを始めた。コラール講師はほぼスペイン語で授業を進めていたが、少し複雑な文法事項を説明する時は、生徒が分かりやすいように英語も交える。時に日本語が交じることもあったが、生徒たちは慣れたものだ。コラール講師はユーモアたっぷりに授業を盛り上げ、教室全体にラテン的な開放感が漂っていた。

海外経験を客観視し、アイデンティティーを確立する

 1時限目の後の休憩時間に、生徒たちに授業の感想などを聞いた。

 ドイツ語を選択している浮田佳穂さんは小学生時代に3年半、ドイツのシュツットガルトに住んでいた。現地ではインターナショナルスクールに通っていて、英語とドイツ語が堪能だ。「日本に帰国したら生活の中でドイツ語を使う場面がほとんどなく、このままだとどんどんドイツ語力が低下していくと思い、焦りました。ですので、中学に入学した時から迷わずドイツ語を選択しました。自分の強みは3か国語をある程度使いこなすことができることだと思います。大学進学後もドイツ語の勉強を続けていくつもりです」と話した。

 同じクラスで学ぶ川井みちるさんも帰国生だが、ドイツに滞在した経験はない。3~5歳まで米国で暮らしていたという。「中学校に入学した時に友人たちが私の知らない外国語を話している姿を見て『かっこいいなあ』と憧れの気持ちが強くなり、私も英語以外の外国語や文化に触れてみたいと思いました。母が昔住んでいたドイツに親近感を持っていたこともあって、ドイツ語を選択しました。今は北欧にも興味があります」と異文化への好奇心を高めていた。

 春日教諭によると、同校の卒業生の9割近くは系列の同志社大学に進学する。国際系学部の人気が高く、提携している海外の大学に留学する学生も多いという。「本校で行っている第2外国語教育の真の目的は、高度な語学力を習得することではありません。帰国生が自分たちの海外経験を客観視できる目を養い、集団に入って相対化した時に『自分は何者であるか』について深く考え、アイデンティティーを確立することが大切なのです。同時に自分の世界観がいつも正しいとは限らないことにも気付かなくてはなりません。他者を理解し、多様性を受け入れる。そのような国際人を育てることが本来の目的なのです」

 しっかりしたアイデンティティーを持ちながら、自分とは異なる文化や価値観を受容し、対話できる。そんな人物こそが新しい時代の国際人なのかもしれない。

 (文・写真:櫨本恭子)

 同志社国際中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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1106515 0 同志社国際中学校・高等学校 2020/03/16 05:21:00 2020/03/16 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/03/20200313-OYT8I50011-T.jpg?type=thumbnail

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