【特集】「ラウンドシステム」で英語を豊かに語れる人に…神奈川学園

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 神奈川学園中学・高等学校(横浜市)は2020年度から、中学の英語の授業に「ラウンドシステム」を取り入れ、英語4技能を育てている。「ラウンドシステム」を経験することで、生徒には失敗を恐れずに英語で話す姿勢が生まれており、約半数が英語力向上を実感するようになったという。「ラウンドシステム」の授業内容や英語授業全体の展望などを、生徒の声を交えて紹介する。

失敗を恐れずに英語で話す姿勢が生まれた

「ラウンドシステム」の授業で使用している教科書
「ラウンドシステム」の授業で使用している教科書

 同校の中学の英語授業は週6、7時間で、「ラウンドシステム」を取り入れた授業が3時間、文法を体系的に学ぶ授業が2、3時間、さらにネイティブの教員による英会話の授業が1時間という構成だ。

 同校が中学の授業で実施している「ラウンドシステム」は、1年間かけて1冊の教科書をさまざまな視点で4、5回繰り返して学ぶ方法だ。第1ラウンドでは、テキストに関する絵を見ながら読み上げられる英語を聞いて「英語耳」を育てる。第2ラウンドでは、耳で聞いた音を元に英単語を並び変えるなどして音と文字を一致させる。第3、第4ラウンドでは、穴あきになっているテキストを自分で埋めながら音読をするなど、意味のまとまりを理解しながら英語を読む。最後の第5ラウンドでは、1年間で学んだ英語を総動員し、教科書のイラストを見ながら自分の言葉で内容を伝える「リテリング」を行う。

 この授業で使う教科書は、会話が多く盛り込まれたストーリー性のあるテキストがベースになっている。授業は基本的に英語のみで行うが、登場人物が中学3年間を通して成長していくため、生徒はテレビドラマを見るようにストーリーの展開を楽しみつつ、興味を持って授業に取り組めるという。

絵を見てストーリーの展開を楽しみながら授業に取り組む
絵を見てストーリーの展開を楽しみながら授業に取り組む

 国際部長で英語科の吉原和夏子教諭は、「豊かに語れる人になってほしいとの思いからラウンドシステムを導入しました」と語る。ラウンドシステムを導入して約1年半が経過した現在、生徒の変化に手応えを感じているという。「最初は英語を聞いても内容が理解できず、戸惑っていた生徒が、ラウンドを重ねるごとに『あ、分かる』と感じている様子が伝わってきますし、英語の質問にもパッと答えられるようになってきました。その一方で、言いたいことが英語で表現できないもどかしさを感じる様子も見られ、それが『単語をもっと知りたい』などのモチベーションにつながっています」と言う。

 同じく英語科の松本璃穂教諭も、「従来の授業は『読む時間』『話す時間』など各技能を使う時間が分かれていましたが、ラウンドシステムは『聞きながら話す』など4技能すべてを織り交ぜて授業を進めるため、話している内容を理解しつつ、失敗を恐れずに英語で話す姿勢が見られるようになりました」と話す。

ラウンドシステムで生徒の大多数が英語力向上を実感

4技能を織り交ぜた授業で英語力を高める生徒たち
4技能を織り交ぜた授業で英語力を高める生徒たち

 昨年度末、同校は「ラウンドシステム」を取り入れた授業について生徒にアンケートを取った。その結果、大多数の生徒が、「聞く力」「話して表現する力」「読む力」「聞いて表現する力」が「付いた実感がある/少しある」と答えた。「あまりない」と答えた生徒も少数いるが、「まったくない」と答えた生徒はいなかったという。

 この結果について吉原教諭は、「生徒は完璧を求めがちで、『話して表現する力が付く』イコール『単語や文法を間違えず 流暢(りゅうちょう) に話せる』と考えているため、なかなか『力が付いた』とは思えないようです。しかし、私たち教員からすると、『中学1年生が自分の言葉でこれだけ話せれば十分』と思うほど英語力が付いていると感じます」と語る。

 中学1年の清水一花さんは、「ラウンドシステムの授業では、まだ習っていない文法も話したり聞いたりすることで覚えられる点がいいなと思います。言葉は使えてこそ楽しいと思うので、私は勉強も兼ねて、その日にあったことなどを書いて毎朝提出する『ダイアリー』を英語で書いています」と話す。

 中学2年の水野美紅さんは、「中学から本格的に英語で『書く・聞く・話す』ことを学び始めたので、初めは思うようにいきませんでしたが、分からないことがあっても先生が丁寧に教えてくださるので、学んだことをすぐに定着させることができました。ラウンドシステムの授業は日常的な会話が多くて理解しやすく、覚えやすいです。生きていく上で持つさまざまな人とのつながりを『狭い』から『広い』へと変えてくれるのが、英語ではないかと感じています」と話す。

一層の英語力を養う文法、英会話、語学研修

「ラウンドシステム」について説明する松本教諭(左)と吉原教諭
「ラウンドシステム」について説明する松本教諭(左)と吉原教諭

 ラウンドシステムは大きな成果を上げつつあるようだが、もちろん同校の英語の授業はこれに尽きるものではない。「ラウンドシステムの授業は大まかな内容を理解し、文法の間違いを気にせず英語で表現することを重視しています。しかし、語学を一から学ぶ上で文法を学習しないと、『何となく聞けて、話せる』という状態になってしまいます。ですから、文法を学ぶ授業ではオリジナルのプリントや副教材を使い、冠詞の使い方など細かい英語のルールを身に付けていきます」と、吉原教諭は話す。「ラウンドシステムの授業で出てきた表現も、文法を学ぶ授業での中で、『あの時の言葉は、これだったんだ』と生徒の中で結び付くことで、しっかり身に付いていきます」

 英会話の授業も欠かせない意義がある。ネイティブの教員が担当するこの授業は、1クラスを三つに分けて13、14人の少人数で行い、毎学期インタビューテストも実施する。「これによって生徒は、『ネイティブと1対1で英語を話せた』『会話が続いた』といった達成感や自信が付きます」

 こうした授業に加え、同校では例年、国内外の語学研修を行い、世界に目を向け、広い視点を養う機会を設けている。中1生は「東京グローバルゲートウェイ」(東京都江東区)で校外学習を行う。中2生は2泊3日の「Global Village for Students」研修に参加し、外国人留学生を講師に英語を使った活動や交流を行う。中3生は6、7日間のオーストラリアあるいはニュージーランド研修があり、1人1家庭でホームステイをしつつ現地校で学ぶ。

 昨年はコロナ禍によって海外研修は中止となったが、生徒のモチベーションを保つため、オーストラリアの姉妹校オーミストンカレッジで日本語を学ぶ生徒とオンラインで交流を行った。日本のアニメの話で盛り上がったほか、オンライン授業で生徒が自宅にいる機会を活用し、家の中の和室や仏壇を英語で紹介するなど有意義な時間を過ごしたという。

 また、国内の宿泊研修も来年度に延期されているが、松本教諭は「ラウンドシステムを経験している生徒が初めて参加する宿泊研修なので、プログラム内容を練り直しています」と言う。「これまでの研修は、生徒が英語を話せるようになることが大きな目的でしたが、ラウンドシステムの授業を受けている生徒は、すでにためらいなく英語を話せるようになっています。そのため、もう一歩踏み込んだ内容にするつもりです」

 同校は英検の指導も積極的に行っており、ここ数年、2級以上の合格者が増えているという。昨年は英検の受検も自粛が求められたが、今後、ラウンドシステムを経験した生徒たちの受検が始まる。彼女たちがどんな実績を見せてくれるのかが楽しみだ。

 (文:籔智子 写真:中学受験サポート 一部写真提供:神奈川学園中学・高等学校)

 神奈川学園中学・高等学校について、さらに詳しく知りたい方は こちら

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