【特集】一瞬を分かち合って一生の思い出になる文化祭…大妻嵐山

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 大妻嵐山中学校・高等学校(埼玉県嵐山町)は昨年10月28日、文化祭「大妻祭」を開催した。大妻祭実行委員を中心に、「密」を回避し、飲食を制限するなどの感染予防を徹底して対面による開催を実現させただけでなく、初のプロジェクションマッピングを試みるなどして大いに気分を盛り上げたという。伝統行事を後輩につないだ実行委員たちや生徒指導部の教諭らの話を聞いた。

オオムラサキのプロジェクションマッピング

体育館の正面にプロジェクションマッピングで投影されたオオムラサキ
体育館の正面にプロジェクションマッピングで投影されたオオムラサキ

 昨年度の大妻祭のテーマは、「Dream on…一瞬をシェアしよう、一生をシェアしよう」だった。大妻祭実行委員会のトップメンバーたちが、「コロナ禍でも夢のように楽しい文化祭にしよう。一瞬、一瞬をみんなで分かち合い、すべてが一生の思い出になる一日を過ごそう」との意味を込めたという。

 オープニングは準備日に充てた10月27日に行われた。生徒たちが集まると、会場の体育館正面にいきなり、地元嵐山町に生息する (こく)(ちょう) オオムラサキの飛ぶ姿が大きく投影された。そのオオムラサキは正門から舞い込むと、校内を通り過ぎ、今まさに自分たちが集まっている体育館へとやってきてとまった。これは、実行委員たちが情報の先生の協力を得ながら動画アプリなどを使って制作した、大妻祭初のプロジェクションマッピングだ。人数制限のため、体育館に入れなかった生徒たちも、教室のモニターでライブ配信を視聴した。

 2020年度の大妻祭はコロナ禍のため、事前に収録した映像などを小講堂から各教室へ配信するオンライン形式を取らざるを得なかった。昨年は通常通り、9月に2日間かけて開催する予定だったが、8月に延期が決まり、最終的に10月28日の1日のみとなり、外部の来場者への開放を取りやめて実施することになった。さまざまな制約に沈みがちな生徒の気持ちを払拭したのがこの演出だった。大妻祭実行委員長を務めた前田百合子さん(高2)は、「これで生徒たちの文化祭気分が一気に高まりました」と振り返る。プロジェクションマッピングはフィナーレでも映写され、再びムードを盛り上げたそうだ。

「生徒の特長ともいえる素直さ、一生懸命さを再認識しました」と話す津坂先生
「生徒の特長ともいえる素直さ、一生懸命さを再認識しました」と話す津坂先生

 大妻祭当日は、各教室で展示や模擬店が催され、体育館ではコーラス部、ギター部、ダンス部が部活動の成果を発表し、高1の一つのクラスが劇を披露した。コロナの影響で思うような練習ができなかった吹奏楽部も、オープニングの演奏を務めた。当初企画していたグラウンドでのイベントを中止するなど、プログラムの変更はあったものの、大妻祭は順調に運営が行われたという。

 生徒指導部の大妻祭実行委員会担当の津坂美和子先生は、「今年度の大妻祭も対面で開催できるか不透明でしたが、実行委員から強い要望がありました。学校としても、生徒の主体性や協調性を養う行事を大事にしており、今回は実現させてあげたいと思いました。そのためには、感染症対策を徹底することが不可欠です。生徒たちに『どうしたら安全に開催できるか』を考えさせ、何度もやり取りをしました」と話す。

 実行委員長の前田さんは、コロナ禍を試練と受け止め、より気持ちが奮い立ったそうだ。「大妻祭の準備を進める時に最も苦労したのが、前年の引き継ぎ資料がなく、一から決めなければいけなかったことです。この先、大妻祭を後輩につないでいくためにも、2年間のブランクを作りたくなかったし、何より文化祭は学校の楽しい思い出作りのイベントだと思っているので、絶対に成功させたかったのです」

 そのために一番注意を払ったのは感染対策だった。実行委員会は、オープニングやフィナーレ、芸能の発表会場となる体育館を測定して、椅子の配置や入場人数を決め、昼食の会場も確保し、生徒の利用時間を分けるなど、「密」を回避する対策を考えたという。また、各企画で飲食を中止し、一定の時間ごとに換気や消毒をすることも実施要項に盛り込み、開催にこぎつけた。

一人一人が役割をこなす中で新たな一面を知る

「新たな人間関係を築いたり、仲間との絆を深めたりできるのが文化祭の良さ」と話す松原先生
「新たな人間関係を築いたり、仲間との絆を深めたりできるのが文化祭の良さ」と話す松原先生

 同校は、5月の体育祭と9月の大妻祭を2大行事と位置付け、どちらも高2を中心に生徒主導で企画・運営を行っている。なかでも大妻祭は、前年度の3学期に、実行委員会の委員長や副委員長を始め、展示、模擬店、芸能、オープニング、フィナーレ、放送などを担当するトップメンバーを選定し、半年以上かけて準備を進める大がかりなイベントだ。

 例年、中学生は学年単位でテーマに沿った展示発表を行っている。ここ数年、中1は国蝶オオムラサキ、中2は英語、中3は修学旅行や校外学習をテーマとしている。高校は展示、模擬店、芸能の3部門から、各クラスでやりたい企画に取り組む。展示は学習的なものから、縁日、お化け屋敷といったアトラクションまで幅広く、正門や階段の装飾もクラス企画として実施している。

 実行委員会はオープニングとフィナーレを手掛ける。今回のプロジェクションマッピングのように趣向を凝らした演出やイベントを行うのも大妻祭の伝統だという。華道や書道、茶道、サイエンス、吹奏楽、コーラス、ギターなどの文化系のクラブやダンス部も、展示や模擬店、発表、ワークショップを行う。

 入試広報部の松原慎二先生は、大妻祭について、「いろいろな生徒が、いろいろな局面で活躍をする行事」と説明する。「本校は少人数の学校であるため、文化祭を作り上げるには、一人一人が役割をこなさなくてはなりません。その時に、『あの子はこんなアイデアを持っているんだ』『こういうのが得意なんだ』と、同じクラスでも、生徒同士で知らない一面を発見することがよくあります。新たな人間関係を築いたり、仲間との絆を深めたりできるのが、文化祭の良さですね」

重要な任務に就くことで、責任感が育つ

昨年の大妻祭のテーマをデザインした名物の階段装飾
昨年の大妻祭のテーマをデザインした名物の階段装飾

 前田さんは大妻祭実行委員長を務めてみて、「これまではみんなの意見を聞き入れるのが良いリーダーだと思っていましたが、それだけでは全体をまとめることができず、自ら判断することの大切さを学びました」と、自身を振り返る。「お客さんを呼べなかったのは残念でしたが、中学1、2年生がアンケートに、『大妻祭がこんなに盛り上がるとは知らなかった』『思い出に残る一日だった』などと好意的な感想を述べていて、先輩として良い仕事ができたかなと思っています」

 中3の実行委員の伊藤杏さんは、「先輩たちの活躍と、終わった後に感激している姿を見て、来年も再来年も実行委員をやりたいと思いました」と話す。「大変だったのは、学年展示の装飾の仕方で意見が割れて、調整に入ったことです。以前は、割と自分の意見を通すタイプでしたが、今回の経験で、人の意見もきちんと聞くようになりました」

 津坂先生は実行委員たちの働きを見て、「本校の生徒の特長ともいえる素直さ、一生懸命さを再認識しました。また、重要な役割を任されることで、責任感のある行動をするようになったと感じました」と言う。

 同校は、校内での携帯電話の使用を禁止しているが、今回、実行委員会と生徒会が共同で、大妻祭当日の使用を認めてくれるよう申し出をしたそうだ。昼の放送などで「みんなでルールやマナーを守って、携帯を使えるようにしよう」と全校生徒に意識の変革を呼びかけた結果、学校の許可が下り、当日生徒たちはマナーを守りながら、写真映えのするスポットで、スマホを使って撮影会などを楽しむことができたそうだ。

 前田さんは「コロナ禍でも、生徒が笑顔になれる大妻祭を作ることができて良かった」と話す。その思いは新しい伝統となって後輩たちに伝わったことだろう。

 (文:北野知美 写真:中学受験サポート 一部写真提供:大妻嵐山中学校・高等学校)

 大妻嵐山中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方は こちら

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