【特集】企業とのタイアップ講座が学びの幅を広げる…武蔵野大

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 武蔵野大学中学校・高等学校(東京都西東京市)は2019年度、「ハイグレードコース」と「本科」の高1生を対象に、リベラルアーツを学ぶ特別講座「LAM(Liberal Arts Musashino)」を開講した。教員だけでは指導困難な七つの講座を専門企業とのタイアップで実現。生徒の興味を掘り起こし、主体的な学びにつなげているという。講座の実際と生徒たちの姿をリポートする。

「ワクワクする学校」を実現するために

LAMを導入した背景について話す入試広報部の小幡武憲教諭
LAMを導入した背景について話す入試広報部の小幡武憲教諭

 同校は2018年度、従来のカリキュラムを発展させて高校に「ハイグレード」「PBLインターナショナル」「本科」の3コース制を導入した。「ハイグレード」は文理を問わない本格的な学習とグローバル感覚を軸とし、「PBLインターナショナル」は、PBL(課題解決型学習)の手法による主体的かつ協働的な学習を特徴とし、「本科」は幅広い学習で基礎力を養成しながら、芸術系・体育系も含めた幅広い進路に対応している。

 19年度から始まった「LAM」は、「ハイグレード」と「本科」のコース生を対象とする特別講座だ。内容は「WEBデザイン」「ロボット工学」「哲学対話」「絵画・自己表現」「能楽」「社会課題探求」「音楽プロジェクト」の7講座から成り、いずれも専門企業とタイアップして作り上げたもので、毎週土曜日の3、4時間目に開催している。

 生徒は前期と後期にそれぞれ1講座ずつ選んで受講する。前期の初めに、各企業から講座についてのプレゼンテーションがあり、生徒は受けたい講座の第1、第2希望を決めて、その理由とともに申請。教員がそれを基に各講座へ振り分ける。

 「本校のテーマは、『ワクワクする学校』。通常の教員だけではできない多彩な学びを、学校生活の中に取り込んでいきたいという思いがありました。そこで、いろんな分野を探りながらサポート企業を探し、七つのテーマを決めていきました」。入試広報部の小幡武憲教諭は、LAMを導入した背景についてこう話す。

講座を通して新しい興味や多様性を見つける

自分の好きなテーマでホームページを作る「WEBデザイン」の講座
自分の好きなテーマでホームページを作る「WEBデザイン」の講座

 前期の講座全10回のうち9回目となる昨年9月7日の授業を取材した。

 「WEBデザイン」の講座では、自分のホームページを制作中だった。指導するのは、中高生向けのIT・プログラミング教育サービスを提供している企業「ライフイズテック」(東京都港区)。前半はパソコン上で専用アプリを使い、ゲーム感覚でプログラミングについて学習。後半は、用意されたサイトの背景色やデザインを自分の好きなように書き換えてオリジナルのホームページを作成していく。初心者用のキットではなく、実際にWEBデザイナーが仕事で用いるのと同じHTMLやCSSを使用しているところがポイントだ。

 生徒たちが作っているホームページの内容は、好きなアーティストやキャラクター、部活動の紹介などさまざまだが、自分の好きなテーマを取り上げているだけに、どの生徒も夢中だ。小幡教諭は、「来年度から、小学校でプログラミング教育が必修になります。単にプログラミングを学ぶだけでなく、プログラミングをどう使うか、どう生かすかを学ぶことも、この講座の目的の一つです」と話す。

 好きなミュージシャンを紹介するホームページを作っていた生徒は、「これからの時代、ホームページを自分で作れたらいいかなと思い、受講しました。好きな曲を聴きながら、好きなことを追求できるのが楽しい。WEBサイトの仕組みを学んだことで、理系にも興味を持てるようになりました」と話した。

 「絵画・自己表現」の講座では、「あなたがつくる未来」をテーマに、パステル画を描いていた。

「絵画・自己表現」の講座でパステル画に取り組む生徒たち
「絵画・自己表現」の講座でパステル画に取り組む生徒たち

 授業を担当するのは、アートプログラムを提供する企業「ホワイトシップ」(同)の長谷部貴美代表だ。同社では、アートを通じてリーダーシップ開発やコミュニケーションデザインなどの研修サービスを提供する、独自の「EGAKU」プログラムを展開している。

 授業ではこの「EGAKU」プログラムに沿って、毎回、「大切にしているもの」「(よろこ)び」といったさまざまなテーマで「創作」「リフレクション」「共有」「ディスカッション」を繰り返す。同社のアートギャラリーに赴き、アートに囲まれた空間で表現やクリエーションについて学ぶ授業もあった。

 この講座の目的について長谷部代表は、「表現することを繰り返しながら、自己認知や感性に働きかけていきます。さらに、多様性を認める心や、新しいものや答えを見つけ出す力を醸成していきます」と説明する。

 受講生の一人は、もともと美術は得意ではなかったが、同社のプレゼンテーションを見て興味を持ったという。「自分の思いを紙の上に落とし込むことで、自分を見つめ、振り返ることができます。描くことを通して、自分が持っているいろんな多様性を見つけたい」と話した。

意欲的に取り組み、主体性を発揮する生徒たち

レゴブロックでロボットを製作する「ロボット工学」の講座
レゴブロックでロボットを製作する「ロボット工学」の講座
「能楽」の講座で「羽衣」の歌を稽古する生徒たち
「能楽」の講座で「羽衣」の歌を稽古する生徒たち

 「ロボット工学」の講座では、レゴブロックを使ってレスキューロボットを組み立て、「救援物資を運ぶ」「障害物を()ける」などのプログラミングを行っていた。試走コースを外れたり、障害物にぶつかったりして思いどおりに走らないロボットに四苦八苦しながら、グループで活発に議論を交わしていた。

 「能楽」の講座は武道場で行われていた。稽古は発声練習から始まり、能の演目「羽衣」の歌を全員で暗唱できるよう練習を重ねたという。「実際に国立能楽堂で能を鑑賞したり、能楽師に指導を受けたりするなど、本物の伝統芸能に触れることもこの講座の魅力です」と山形(かおり)教諭は話す。

 「社会課題探求」の講座では、食品ロスについてより理解を深めるための旅行ツアーをグループごとに企画し、発表した。「哲学対話」の講座では、「なぜ人は動物やものにあたるのか」「アイドルの握手会は必要なのか」といった、普段あまり深く考えることのない疑問を掘り起こし、意見交換し、考えを深めていった。「音楽プロジェクト」の講座では、間伐材で中南米の楽器「カホン」を製作し、環境問題や社会問題について考えた。

 この日、「PBLインターナショナル」コースでは「Culture & Thought」という授業が行われていた。グループごとに異なるボードゲームにチャレンジし、そのルールややり方を他のグループに英語で分かりやすく説明するという内容だ。この授業の目的について、ダグラス・ポール・パーキンス教諭は、「最終的には、来年の海外留学に向け、日本の伝統文化をより分かりやすく現地の人に伝えるための表現や論理的思考を身に付けます」と説明した。

 LAM導入の効果について小幡教諭は、「どの講座も意欲的に取り組んでいる生徒が多く、他の教科でもこうした主体性が発揮されているようです。また、深く考える習慣が身に付き、鋭い質問をする生徒が増えましたね」と話す。「自分と向き合い、自分を深掘りすることは、大学や就職で自分のポートフォリオを作成する際も役に立つと思います。自分の強みを理解し、自己アピールできる力につなげていってほしいですね」

同校は18年度に中学を共学化し、20年度からは高校も共学化する。これに合わせて、LAMの講座もますます数やバリエーションを広げていく予定だ。

 (文:石井りえ 写真:中学受験サポート)

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1005121 0 武蔵野大学中学校・高等学校 2020/01/20 05:21:00 2020/11/19 10:14:06 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/01/20200117-OYT8I50002-T.jpg?type=thumbnail

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