オリジナル授業「言語活動」で論理的思考を鍛える…武蔵野大

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 武蔵野大学中学校・高等学校(東京都西東京市)は、英語と国語の授業をミックスさせた「言語活動」の授業を週に1回行っている。生徒たちは動画を見ながら要約したり、「コーネルメソッド」と呼ばれるノートの取り方を学んだりして、さまざまな知的スキルを身に付け、論理的思考力をアップさせているという。中学2年の教室からこの授業をリポートする。

コーネルメソッドの3分割ノートが思考のひな型

「言語活動」の授業を受ける中学2年生
「言語活動」の授業を受ける中学2年生

 取材に訪れた7月7日、中学2年の教室では30人の生徒たちがiPadとキーボード、ノートと筆記用具を用意して、「言語活動」の授業が始まるのを待っていた。教室にやってきた英語科担当の野澤清秀教諭は教壇に立つと、「今日の課題を送ります」と声をかけ、生徒たちのiPadに最初の課題「英語を公用語にすべきか? ~世界と日本の関係を考える~」を送信した。

 次に野澤教諭は「さあ、ウォーミングアップしよう。クイズを出すよ」と、英語についての知識や情報をクイズ形式で出題していった。

 「英語を公用語としている国はいくつあるでしょう」。「A:38」「B:58」「C:78」と答えは3択となっていて、ゲーム感覚で生徒は答える。「正解はBの58。58か国でした」。さらに、「アメリカ英語では『Soccer』だが、イギリス英語では何と言う」など、数問のクイズが出題された。

 「ウォームアップしたところで、ここからが本題」と、野澤教諭は、先ほどの課題に関連した5分弱の動画を流した。生徒たちは視聴しながらメモを取り、自分の意見をまとめていく。

 途中から国語科教諭の小幡武憲教諭が教壇に立った。「ノートは線を引いて3分割してね。今日はきれいな文章にしなくてもいいから、どんどん自分の考えをメモしていきなさい」と声をかける。

ノートを3分割して書き込む「コーネルメソッド」
ノートを3分割して書き込む「コーネルメソッド」

 この3分割したノートの取り方が、コーネルメソッドの特徴だ。下から2インチ(約5センチ)のところに横線を引く。次に左から2.5インチ(約6.5センチ)のところで横線にぶつかるまで縦線を引く。残りの右上部分はメモのスペースだ。左上スペースには、メモの中から、キーワードを抜き書きし、最後に下のスペースに要約を書き込む。

 このコーネルメソッドは、40年ほど前にアメリカのコーネル大学で開発されたシステムだ。「the best note-taking system」と呼ばれ、大学や研究室などでも活用されている。「このコーネルメソッドは論理的な思考を自分でまとめるひな型を身に付けてもらう狙いがあります。慣れたら、自分のまとめやすいやり方にアレンジしてもOKです」と小幡教諭は話す。

 次の課題は「英語を公用語にすべきか? 両方の立場で理由を考えよう!」。さらに「Do you agree or disagree? Why?」と、日本語と英語でiPadに問いが送られる。「まずは自分が英語公用化に賛成か、反対か。それを書きなさい」と小幡教諭が生徒を促す。

 ここからは自分の意見を書いていく時間だ。メモして、キーワードを抜き出し、要約したノートが書けたら、「隣の席の人とノートを共有して」と声がかかる。「意見を共有することで不安を消し、自分の意見を発表する抵抗感をなくさせることが狙い」だという。

 さらに「英語を公用語にすべきか? クラスで共有してみよう」「share」と次の指示が送られる。

 小幡教諭が「自分の意見を発表してくれる人はいますか」と声をかけると、生徒たち数人が挙手して、「英語が公用化されたら、日本の文化が損なわれる」という主旨の反対意見や、「英語が公用化されることで、もっとたくさんの人と理解し合えるのではないか」という賛成意見がそれぞれ発表された。

 「この『言語活動』の時間には、相手の意見を否定しないこと。『でも~』から始まる意見はやめようと、教えています」と小幡教諭は話す。「相手の意見をしっかりと飲みこんだうえで、建設的な意見をどうやって出したらいいかということを、中1の頃からやっています。それが徹底されることで『ここではけなされない。安心して自分の意見が言える』という心理的安全性がつくられるのです」

 授業の最後には、「家族や周囲の人に意見を聞いてみよう」という宿題と、今日の授業について、「新しく学んだこと」「感じたこと」「これからにどう生かせるか」を振り返りとして書きこむようにという指示が生徒のiPadに送信された。生徒たちは今日取ったノートを各自iPadのカメラで撮影すると、授業支援アプリのロイロノートを通じて提出していた。

 「ここでの注意点は書く手を止めないこと。ひたすら考えたことをノートに書き続けることで、アウトプットする力が鍛えられます」と小幡教諭は解説した。

英語×国語で論理的思考のスキルを身に付ける

「言語活動」の授業の狙いについて話す小幡教諭
「言語活動」の授業の狙いについて話す小幡教諭

 「言語活動」の授業が始まったのは、今の中2が入学してきた2019年度からだ。野澤教諭によると、英語の授業として位置付けられているという。「『言語活動』の目的は、論理的な思考をするためのアカデミックスキルを身に付けることにあります。そのためには、英語をベースにするのが分かりやすいのですが、最初はなじみのある日本語で文章を組み立てて、英語も同時に学ぶというスタイルを取り入れています」

 中学1年次には「自分のことを知る」というテーマで、自分の価値観をさまざまなテーマで考えさせて、それを言語化できるように指導してきた。

 「入学したばかりの中学1年生はまだ小学生の延長みたいなものなので、系統だって物事を考えるのは難しい。だからこの時期に、3分割するコーネルメソッドで、論理的思考ができるようになる型を作ってやります」と小幡教諭は話す。

 「言語活動」の授業では、ノートの取り方以外にも、「他者の意見を否定しない」というルールでのブレーンストーミングや、「思考を活性化させる」マインドマップなどの手法で、下準備をしてきた。4、5月の登校自粛中も、オンラインで「言語活動」の授業を進めてきた。「そのおかげで、生徒たちは、自分の意見を書くこと、相手に伝えることに抵抗感が薄まってきたようです」

 中学2年次のテーマは、相手を理解すること。さらに3年次には相手の範囲を広げて社会を知ることへとつなげていくという。

言語活動の成果がPBLでも発揮される

「言語活動で身に付けたスキルが、他の科目でも生かされている」と話す野澤教諭
「言語活動で身に付けたスキルが、他の科目でも生かされている」と話す野澤教諭

 同校はPBL(課題解決型学習)も積極的に取り入れている。「何かのプロジェクトを動かす時に、『言語活動』で身に付けたスキルを使って、意見を交換したり、理解を深めたりするなど、課題を進めていけると思います。英語と国語以外の科目でも、論理的な思考や表現スキルは生かされていて、教員間でも『あの子たちはすごいね』と評価は上々です」と野澤教諭は目を細める。

 将来的には「言語活動」で身に付けたディベート力を生かし、キャンパス内の大学生と討論したり、地域の企業に働きかけたりすることも、視野に入れているという。

 「本校の校風は、失敗してもそこから学びを深められるところ」と小幡教諭は話す。「言語活動」で鍛えた論理的思考力や表現力を外の世界に向けてのびのびと発揮すれば、多くのことを学ぶ機会が開けるだろう。

 (文:田村幸子 写真:中学受験サポート 一部写真提供:武蔵野大学中学校・高等学校)

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1467171 0 武蔵野大学中学校・高等学校 2020/09/11 05:21:00 2020/09/11 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/09/20200910-OYT8I50010-T.jpg?type=thumbnail

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