12回目の全国優勝「ちはやふる」モデルの強豪部…暁星

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 暁星中学・高等学校(東京都千代田区)の競技かるた部は、7月に大津市の近江神宮で開催された「かるたの甲子園」こと「第41回全国高等学校小倉百人一首かるた選手権大会」で、3年ぶり12回目の優勝を果たした。同部は人気漫画「ちはやふる」で、主人公たちのライバル校のモデルとなったことでも知られる。大会の1か月前、猛練習に打ち込んでいた部員たちの姿を紹介する。

畳をたたく素振りの音が響く部室

団体戦の練習をする部員たち
団体戦の練習をする部員たち
練習試合中の表情は真剣そのもの
練習試合中の表情は真剣そのもの

 競技かるた部の部室に入ると、部員たちが素振りで畳をたたく音が耳を打った。取材に訪れた6月22日、同部は7月19~21日に開催される全国大会に向けて猛練習の最中だった。部室内にはトロフィーが所狭しと並べられている。2016年に9年連続11回目の全国大会優勝を果たして以来2年間、王座を明け渡していただけに今大会に懸ける思いは強かった。

 この日、部員たちは2人1組で団体戦の練習をしていた。競技かるたでは百人一首が書かれた100枚の札のうち、50枚を選んで場に並べる。自陣と敵陣にそれぞれ25枚ずつ、取り札が並べられた後、札の位置を記憶する時間が15分与えられる。素振りが行われるのはこの時だ。素振りは実際に試合で札を取るための予行練習。並べられた札を前にして、精神を集中させるために素振りをする選手も多く、パン、パンと勢いのいい音が部室に響く。

 やがて読み手から「それでは始めます」の声がかかり、対戦者同士が礼をし合うと試合が始まった。互いの額がくっつき合うのでは思うほど真剣に、取り札の位置に視線を注ぎ合うなか、歌が読み上げられると一瞬の早業で両者の手が取り札に伸び、畳に札が散った……。ここから勝負がつくまでの約1時間、ぎりぎりの集中力と瞬発力が試される。

競技を通じて学年を超えた交流が可能に

「結果を出すとともに楽しいクラブであることが目標」と話す田口教諭
「結果を出すとともに楽しいクラブであることが目標」と話す田口教諭

 競技かるた部は、現在46人の部員が在籍し、週4日、練習を行っている。今年は約10人の新入部員を迎えた。入部すると、夏休みまでに競技かるたのルールや基礎的な知識をしっかりと学び、その後は上級生の部員たちと一緒に練習に励む。現在、暁星の競技かるた部に最上位であるA級(4段以上)の選手は5人以上所属している。過去、全国大会を連覇した時のエース級の卒業生が、今も頻繁に練習に訪れては、後輩たちと手合わせしているとのことだ。今でも他校と比べて段違いに厚い選手層は、こうした上級生やOBとの日々の練習から培われてきたものだ。

 「ちはやふる」の映画を見て競技かるたに興味を持ったという中学2年生の新井翔也君は、「中1のとき部を見学に行き、雰囲気が気に入って入部を決めました。部活を通して他の学年の人と知り合いになれるのが楽しいです」と話す。

 競技かるた部顧問の田口貴志教諭は、「部内では、上下関係の厳しさもほとんどなく、学年の違う部員たち同士、フランクに話ができる環境です。これは競技かるた部に限らず、伝統的な暁星の生徒の特徴と言えます。ただ高校生になる頃には、だんだんと周りの状況にも目が行くようになり、礼儀が分かるようになる。こちらが特に言葉では教えていないような、他者への気配りなどが自然とできるようになった姿を見たとき、生徒の成長を感じます」と話す。

 田口教諭によると、競技かるたは明確なルールの下でどうすれば多くの札を取れるか、試行錯誤を繰り返す頭脳のスポーツだという。作戦の組み立てや状況把握、運動神経など、脳のさまざまな領域をフルに活用するため、中毒になってしまうような面白さがあるという。また、ときに経験する挫折を肥やしとして技を磨きながら、練習試合などで他校の生徒と交流したり、対戦相手と競技を通じて“会話”ができたり、生徒にとって精神的な意味でも大きな収穫があるそうだ。

国語だけでなく数学の学びにも役立つ百人一首

中3次に開催される「かるた大会」
中3次に開催される「かるた大会」

 同校は、自分の考えをまとめ、伝える能力を習得するということを目標に、文系、理系を問わず国語教育に力を入れている。百人一首も、古典に親しませるために中学の国語で教材としている。中学の3年間で100首すべてを暗記することを目標とし、定期テストでも少しずつ出題するなどして学習を進めていく。このため、中3時に開かれるクラス対抗のかるた大会では、競技かるた部の生徒以外でも上位の成績を収める生徒がいるそうだ。

 中学から百人一首を学ぶのは、暗記しておくことによって、古典文法や文学史の知識が知らず知らずに身に付くからだという。これが高校で「枕草子」や「蜻蛉日記」などの古典を学習する時に、大きなアドバンテージになるという。

 部員の新井君も「国語のテストで百人一首が出るので、同級生から頼りにされたりします」と胸を張る。先輩たちのように、全国大会で優勝できるような強い選手になることを目標に、家ではスマートフォンのアプリを使って競技かるたの練習をしているそうだ。

 暁星では、高校2年時に文理のコースに分かれて大学受験の準備に入る。「競技かるた部での研鑽(けんさん)は、もちろん古典の学びにも役立っていますが、一方で読み札と取り札との組み合わせを考えて作戦を立てることは、数式を解くのに似ています。だから競技かるた部には意外と理系を選択する生徒も多いんですよ」と田口教諭は語る。新井君も父親が整形外科医ということもあって、将来の夢は医師になることだ。

 同校はこれまで2月3日に入試を行っていたが、近年の私立中学の入試日の多様化に伴い、来年は2月2日午前、2月3日午後の2回に分けて入試を行うこととなった。特に新設の午後入試は、科目を国語と算数に絞り、全教科の学習の土台となる2教科の学習力を重視するタイプのものとなるそうだ。自由で温和な校風で知られる同校なら、自分の個性のままに、競技かるたを始めとするさまざまな活動に熱中できることだろう。

 (文:山本華子 写真:中学受験サポート)

 暁星中学・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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745541 0 暁星中学・高等学校 2019/08/26 05:21:00 2019/08/26 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/08/20190816-OYT8I50015-T.jpg?type=thumbnail

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