【特集】二つの入試で負担を減らし、高学力の生徒を集める…暁星

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 暁星中学・高等学校(東京都千代田区)は今年度から、これまでの4科入試に加え、新たに国語・算数の2科入試を導入した。受験生の負担を減らす一方、基礎的な学習ができている受験者を幅広く集める狙いだ。今年入学した生徒の様子を取材するとともに、2科入試導入の背景や、同校の学習指導について担当教員に話を聞いた。

学力の高い受験者が増えた印象

(左から)川奈部教諭、森田教諭、吉永教諭、高橋教諭
(左から)川奈部教諭、森田教諭、吉永教諭、高橋教諭

 同校は今年度、これまで2月3日に行ってきた4科試験を1日前倒しして2月2日の午前に、2科入試を2月3日午後に実施した。4科入試は191人、2科入試は200人が受験し、それぞれ44人、13人が入学した。この二つの試験について、広報企画部長の高橋秀彰教諭、中1学年主任の森田智史教諭、国語科の吉永昌弘教諭、数学科の川奈部智久教諭に聞いた(以下、敬称略)。

 ――今年度から2科入試を導入したのはどうしてですか。

 高橋 4科入試を行っているのは高偏差値の学校が多いのですが、試験科目が多いと生徒の負担も大きいので、試験の負担を軽くしながら、幅広く生徒を集めたいと考えました。実際にやってみると、2科の申し込みが予想以上に多く驚きました。

 ――2科と4科では試験問題にどんな違いがありますか。

 吉永 4科の国語の試験は物語文の読解と作文ですが、2科の方は作文がありません。本校の試験は記述が多いのが特徴ですが、これまで保護者の方から「うちの子は作文が苦手ですが、大丈夫でしょうか」という声が多かったんです。男子生徒は作文に対して苦手意識を持っているケースが比較的多いので、2科では難易度を落とさずに作文を出題しないことにしました。

 川奈部 算数に関しては、2科と4科ともあまり差を付けないように問題を作成しました。どちらも答案用紙に答えだけでなく式や考え方を記述する欄があり、どういうアプローチで答えにたどり着いたか、解答に至る考え方や道筋も採点の対象としています。

 ――2科と4科で入学者に違いは見られましたか。

 森田 それほど大きな違いは感じられませんでした。また、2科入試の生徒に関して、理科、社会の学習レベルは大丈夫かという懸念がありましたが、実際は学力にそれほど差はないと思います。

 高橋 全体的に学力の高い受験者が増えた印象があります。国語、算数に自信がある子は、基礎的な学習をしっかりしている場合が多いんです。日程を前倒ししたことと、特に2科入試は受験教科が少ないこともあり、受験疲れしていなかった。結果的に受験生の負担を軽減できたことはよかったと思います。

得意教科を生かせる入試方法を選択

パソコンを使った授業に取り組む生徒たち
パソコンを使った授業に取り組む生徒たち

 それぞれの入試方法で入学した中1生2人に話を聞いた。2科試験で入学した坪谷一希(つぼやかずき)君は、暁星小学校に通っている友人から、設備が充実していることや、フランス語が学べることを聞き、暁星に興味を持ったという。2科試験を選んだ理由は、「国語と算数の計算問題が得意だったから」と話す。試験問題の内容や難易度については、「記述の問題が多かったけれど、過去問にたくさん取り組んでいたので解くことができました」と胸を張った。

 4科入試を受けた加納照大(かのうしょうた)君は、小学生の時からやっているサッカーを続けたいと考え、塾の先生に勧められた暁星を志望した。4科試験を選択したのは、「算数が少し苦手。いちばん得意な社会がある4科入試の方が合格に近づけると思ったから」と話す。

 2人はともに、「これからは語学の勉強に力を入れたい」という。坪谷君は、「入学後に受けた試験で英語の点数があまりよくなかったので、英語とフランス語の勉強を頑張って、高1になったら語学研修に参加したい。卒業までに、何かの科目で1位になるのが目標です」と話した。

 加納君は、「単語テストで毎回満点を取れるよう、空いている時間を利用して英単語を覚えています。サッカーも勉強も、どちらも中途半端にならないように文武両道を目指して頑張りたいです」と力強く言い切った。

考えさせることに重点を置いた授業

 ――授業では、どのような学習指導を行っていますか。

 吉永 国語の授業では、書かせる機会がとても多いです。文系理系問わず、物の見方を広げ、考えをまとめたり、伝えたりする力を習得するために国語はとても重要です。高3の理系選択でも、週3時間の国語が必修なのは本校ならではだと思います。

 森田 中1、中2の授業では、考えさせることに重点を置いています。算数が得意な生徒は計算が得意という子は多いのですが、問題をどういう道筋で解いていくか考える力がないと、難しい問題には対応できません。発想力のある子は伸び代があると思っています。入試で考える道筋を採点の対象にしているのも、こうした理由からです。

 ――理系、特に医学系の進学実績が高いですが、どのような指導をしていますか。

 川奈部 家族に医師がいる生徒が多いこともありますが、そうした生徒に刺激を受けて医師を目指す生徒も少なくありません。医師として働くには、人としての総合力が不可欠なので、本校では宗教教育や小論文の授業などを通して、教養を深めることを大切にしています。本校の卒業生は、医師国家試験の1次試験に通れば2次試験に合格する率が高いんです。文系の勉強や宗教教育を大切にする本校の指導と、高いコミュニケーション力を持つ生徒の資質が、合格率の高さに結びついているのではないでしょうか。

 生徒2人の話で印象的だったのは、生徒たちがどちらの入試方法で受けたか、お互いまったく知らないことだ。また、学年の半数以上を占める内部進学生についても「内部の子たちはとても優しくて、すぐに仲良くなりました」と口をそろえた。

 ――入試方法や、内部・外部進学という要素は、生徒たちの関係性に大きく影響しないようですね。

 森田 例年、中1はオリエンテーションなどで生徒間のコミュニケーションを深めることからスタートするのですが、今年はそれができず、不安はありました。しかし、生徒たちはすぐに仲良くなり、こちらが心配しなくても彼ら自身でしっかり関係を作っていくのだなと感心しました。

 本校ではキリスト教の教えを教育理念としているので、内部進学の生徒たちは他者を受け入れるということを折に触れて学んでいます。そのため、外部の生徒たちに対して寛容なのだと思います。また、外部の生徒は塾などに通っている子が多いので、友達作りにたけているのかもしれませんね。

 ――これから、生徒たちをどのように伸ばしていきたいと考えていますか。

毎日の学習習慣を記録するエトワール手帳
毎日の学習習慣を記録するエトワール手帳

 森田 進路選択の時に、「国語が苦手だから理系」といった消去法ではなく、自分の「これがやりたい」という意志で選んでほしいと思っています。その時にどんな道でも選べるよう、最低限必要な基礎力を身に付け、視野を広げられるよう指導しています。

 それには、まず学習習慣を付けることが大切です。そこで中1生は、生徒全員が持っている「エトワール手帳」に毎日の学習時間を必ず記録し、週に1度、担任がチェックします。これを積み重ねることで、学習習慣を付けるとともに、達成感にもつながると考えています。

 吉永 知識よりも、思考を深めることを重視しています。そのために伸び代を意識した遊びのある授業で、余裕を持って学習に取り組んでもらえるようにしています。個性を伸ばしながら、表現力や思考力を養っていくのが本校の教育の基本です。思考力が大学受験でも最後の頑張りを支え、その先伸びていく土台となる力であると思っています。幅広い分野で活躍している先輩たちのように、個々の伸び代をさらに伸ばし、さまざまな業界で中心的な存在として活躍してほしいですね。

 (文・石井りえ 一部写真提供:暁星中学・高等学校)

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1635340 0 暁星中学・高等学校 2020/11/20 07:00:00 2020/11/20 07:00:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/11/20201118-OYT8I50017-T.jpg?type=thumbnail

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