国語センスを磨いて偏差値を底上げ…日本学園

メモ入力
-最大400文字まで

完了しました

 日本学園中学校・高等学校(東京都世田谷区)は、早朝と放課後を利用し、約50科目の「モジュール講習」を開講している。その中でも、共通テスト「現代文対策講座」は小説の読解に特化したユニークな講座で、国語力だけでなく、他の教科も成績の底上げにも大きな効果があると、生徒たちに人気だ。この講座を担当する谷口哲郎教諭と、受講生2人に話を聞いた。

モジュール講習の中でも人気の「現代文対策講座」

「モジュール講習」について説明する谷口哲郎教諭
「モジュール講習」について説明する谷口哲郎教諭

 日本学園中学校・高等学校は2015年度から、早朝7時30分から始業までの50分間及び放課後を利用して「モジュール講習」を開いている。科学もあれば世界史、英検対策など50ほどの講座からなっていて、生徒は、自分の関心や理解力に応じて「モジュール(構成要素)」のように、さまざまな講座を組み合わせて受講できる。

 「以前は『発展講習』と呼んでいましたが、2015年から『モジュール講習』という名前を付けて学校全体で取り組んできました。この講習は強制ではなく、空いた時間を上手に使って自分で必要な科目を選び、スケジュールを自在に組むことに意味があります」と、講座を担当する谷口哲郎教諭は説明する。

 谷口教諭が担当しているのは、共通テスト「現代文対策講座」だ。数あるモジュール講習の中でも人気で、毎回、意欲的な生徒が50人ほど集まってくる。「週に1回のペースで中学1年から高校3年までの生徒たちが共に学びます。教材に使うのは、センター試験の過去問題や模試に出題された現代文を参考にして作った本番と同じ形式のテスト問題です」

 実力の違う中高生が一つの教室で講座を受ける理由について、谷口教諭はこう話す。「男子生徒にはロールモデルが重要です。中学生はすらすらと読解問題を解く高校生にあこがれて、自分もやがてああなりたいと願い、高校生は中学生に負けてられないと緊張感が生まれる。それこそがこの学年横断の醍醐(だいご)味なのです」

主に小説を題材として国語のセンスを磨く

 谷口教諭は、過去に出題された現代文から小説を中心に吟味して問題を作り、次週までに解いてくるようにとテスト用紙を生徒たちに配る。生徒たちは1週間がかりで問題に取り組み、次回の講座に答案を持ち寄る。

 「いきなり答え合わせをするのではなく、その前に受講者全員で輪読するのが私の講座のやり方です。みんなで声に出して読むことで、また新たな発見がある。そこが狙いです。それから私が課題の解説をします。それで50分弱。また、次週分の課題になるテスト用紙を配って終了です」

 この講座の最大の特徴は、小説を中心に題材を選んでいる点だ。谷口教諭によると、一つの理由は「語彙(ごい)が足りない中学生でも読みやすく、講座についてこられるように」ということだが、語彙の問題というだけなら易しい評論文やエッセーでもいいはず。特に小説を選ぶのには、もう一つ理由がある。

 「評論文は鍛えれば読めるようになりますが、小説や詩などの文学的文章は数をこなして慣れることと同時にセンスを育てることが大切なのです。センスとは気付ける力のことです。小説はどんな作品にも、構造があります。登場人物がいて、状況が変化する。場面が変わる。それに伴って心情も変われば行動も変わる。立ち止まって、それをつかまえられるかどうかがセンスなのです。そこがうまくできれば、どんな出題でも自信を持って解けるようになるのです」

国語力と連動して成績全般がアップする

生徒たちに人気の「現代文対策講座」
生徒たちに人気の「現代文対策講座」

 取材に訪れた6月19日早朝、谷口教諭の「講座」で取り上げた課題文は、岡本かの子の小説「快走」だった。

 「主人公がただ走るだけの物語なのですが、これがなかなか面白い。小説が書かれた第2次世界大戦直前の時代背景をきちんと理解すると、読み方がぐっと深くなります」と谷口教諭は話す。

 「快走」は2014年のセンター試験にも出題されている。中学1年の時から「現代文対策講座」を受講してきた高3の大岩雅典(おおいわまさのり)君は、4年前にも「講座」でこの課題に取り組んだことがあるという。「その時は1週間かけて辞書で分からない語句を調べ、必死で解きましたが理解するのが難しかった。それが今回は15分ほどで解けて、全問正解でした」と話す。

 講座のテスト用紙には、平均して30個ほどの語句を課題文から抜きだす設問があるそうだ。「年間30回の講座を5年受け続けたら、4500個ほどの語句を理解して、正しい解答ができる。それだけでも相当の語彙力と読解力が付いたはずです」

 大岩君は、「現代文の読解力が鍛えられたおかげで、成績が全体に大きく伸びました」と話す。「中学1、2年の時は、模試を受けても偏差値は50台後半。確か55から58でしたが、中3で60台に乗り、高校1年で70になりました。今は71から72をキープできています」と胸を張る。「まぎれもなく『講座』のおかげです」

 谷口教諭は国語力と成績全般の関係をこう説明する。「課題に取り組むことで自然と語彙力が付き、やや難しい問題でも対応できるし、抵抗感なく読めるようになるのです。そして国語を鍛えると、英語の長文を読んで訳す力も大きく伸びます。英語を直訳しても自然な文章にはなりませんが、そこに気付けるかどうかも国語力が鍵になります。大岩君以外の生徒たちも着実に模試や実力テストで偏差値を上げています」

 中学1年から受講して今春3年目となる中学3年の栗橋(くりはし)優輔(ゆうすけ)君も、「講座」の効果を実感している。「実は僕は国語が苦手でした。受講者募集のプリントをもらって『えっ、こんなの、誰が申し込むの』と思ったぐらいでしたが、谷口先生の講座を聴くうちにどんどん引き込まれていきました。講座に通い続けるうちに、少しずつ語彙力も付き、文章が書けるようになって、中2になった頃には会話力も付いて、相手にきちんと伝わる話し方が身に付いてきました。これからは文学をもっと楽しんで読みこなせるようになりたいです」

 「講座」にとって目下の課題は、来年からスタートする大学入学共通テストにどう対応するかだ。谷口教諭は、「共通テストのサンプルを見ると、生徒会規約や現代詩、詩人によるエッセー、写真など、実にさまざまな文体や表象を理解できる読解力が求められている」と見る。

 「たとえば、詩人の吉原幸子の詩は、中高生が読みこなすのは相当難しいと思います。それをどう教えていくかも、これから取り組んでいくところです」

 まだ眠たさの残る朝7時半だが、みんなで課題の小説を輪読すれば頭もすっきりさえてくる。この50分間の積み重ねが、彼らの希望する進路を開き、一生ものの国語センスを培ってくれることだろう。

 (文:田村幸子 写真:中学受験サポート 一部写真提供:日本学園中学校・高等学校)

 日本学園中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

無断転載禁止
847931 0 日本学園中学校・高等学校 2019/10/17 05:21:00 2019/10/17 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/10/20191016-OYT8I50055-T.jpg?type=thumbnail

会員校一覧

東日本 共学校ページTOP

── 女子校ページTOP

ピックアップ

読売新聞購読申し込み

アクセスランキング

 


東京オリンピックパラリンピックオフィシャル新聞パートナー

読売IDのご登録でもっと便利に

一般会員登録はこちら(無料)
ページTOP
読売新聞社の運営するサイト
ヨミダス歴史館
ヨミドクター
The Japan News
発言小町
OTEKOMACHI
ささっとー
元気ニッポン!
未来貢献プロジェクト
YOMIURI BRAND STUDIO
美術展ナビ
教育ネットワーク
活字・文化プロジェクト
よみうり報知写真館
読売新聞社からのお知らせ