世界の中の自分を知って自信が生まれる留学プログラム…日本学園

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 日本学園中学校・高等学校(東京都世田谷区)は、2016年度から独自の留学プログラム「にちがくグローカルプログラム(NGP)」を実施している。事前に日本文化を学んだうえで、オーストラリアで3か月間のターム留学を経験し、世界の中での日本や自らを見つめ直す内容だ。このプログラムを作ってきた英語科の勝田宏毅教諭に目的や成果を聞くとともに、参加者の声を紹介する。

自分を見つめ直し、チャレンジ精神を養う

 日本学園は「個の力を高め、自主・創造の実践力を高める」ことを信条の一つに掲げている。現状に満足せず、常に新しいことに挑戦して、ゆくゆくは日本を背負って世界で活躍する「大日本人」になってほしいという願いが込められているという。

 その信条に基づき、2016年度にグローバル教育の一環として始まったのが「にちがくグローカルプログラム」だ。高校1年次の1月から3か月間、オーストラリア・アデレードにターム留学をするオリジナルプログラムで、参加者はホームステイをしながら高校に通い、現地の生徒と一緒に授業を受ける。

 このプログラムは希望者対象だが、英検準2級取得のほか、学内成績や出席などの基準がある。これらをクリアしたうえで、2016年度は4人、17年度は2人、18年度は9人、19年度は6人が参加した。

勝田宏毅教諭(左)と卒業生の近藤大洋君
勝田宏毅教諭(左)と卒業生の近藤大洋君

 中心となってこのプログラムを作った勝田教諭は、「私自身、大学院修了後に1年間、イギリスに留学しました。自分でも留学を通して成長できたと感じる一方、もっと若い頃に留学していたら、さらに花開くものがあったのでは、という思いもありました。この経験から、高校生の時に留学すれば、たとえ3か月でも大人の1年以上の価値があると考え、このプログラムを計画しました」と話す。

 このプログラムの大きな特徴は、留学前に事前学習で日本の文化について学んだうえで、留学中、現地でオーストラリアの文化について学ぶことだ。「グローバル(Global)」と「ローカル(Local)」を組み合わせたプログラム名「グローカル(Glocal)」が示すように、異文化の中で日本や自己のアイデンティティーを見つめ直し、グローバルとローカル、両方の視点や感覚を持てるようにすることが大きな狙いだ。

 事前学習で日本文化を学ぶ必要性について勝田教諭は、「私も留学中、『日本では新年に何をするの』など、よく日本について質問されましたが答えられず、現地で日本文化の本を読んだこともありました。そのとき『僕は日本人なんだ』と強く感じ、自分のアイデンティティーについて考えるようになりました」と言う。

 事前学習ではオンライン英会話に加え、キリスト教の宗教観などについて社会科の教員による講義も行われる。さらに、日本で生活するネイティブの英語教員に、「日本で感じたこと」などを話してもらう。生徒たちは事前学習で得た知識を携えて、日本とオーストラリアの文化を意識しつつ現地で過ごす。

 勝田教諭によると、プログラムには「グローバルとローカル、両方の視点や感覚を持ち、多様性を感じて自分を見つめること」のほかに二つの狙いがあるという。「受動型から発信型へ」、さらに「チャレンジ精神を養う」ことだ。「現地で生徒は新しい家族や学校に入り、自ら折衝にあたることもあります。それらを一つずつ乗り越えていくことが、とても重要です。一から十まですべて学校が用意するのではなく、生徒が自ら考えて選択し、自ら楽しめる機会をつくりたいと思います」

自ら進んでコミュニケーションすることで交友が広がる

オーストラリア語学研修で、現地の高校生の野球チームに参加した近藤君(前列右から2人目)
オーストラリア語学研修で、現地の高校生の野球チームに参加した近藤君(前列右から2人目)
オーストラリア語学研修では音楽の授業でバンド活動も行った
オーストラリア語学研修では音楽の授業でバンド活動も行った

 プログラムでは最初の2週間、日本学園専用の語学研修を受講する。携帯電話や切符の買い方といった生活の基本などを教わったあと、1校あたり1、2人ずつに分かれて現地の学校へ通う。授業は自分で選択し、放課後や休日はおのおの自由に過ごす。

 同プログラムの第1期生、近藤大洋君(青山学院大学1年)は「受け身の自分を変えたい」との思いから参加を決めたという。出発前、ホストファミリーとのメールのやり取りで、「日本で野球をしているため、現地でもやりたい」と伝えたところ、現地の高校生の野球チームに参加できることになり、2か月ほど一緒にプレーした。「僕はピッチャーだったのですが、キャッチャーとサインを決める時などメンバーとのコミュニケーションはすべて英語です。授業や日常生活とは違う英語を学べましたし、現地の高校生と野球ができて楽しかったです」と笑顔を見せた。

 高2の加藤大将君は、中学3年次に全員が参加するオーストラリア語学研修で全く話せなかったため、「リベンジしたい」と参加を決意した。「前回は自分から話しかけることができなかったので、今回は自分からクラスメートに話しかけました。いざ話してみると、みんな優しく、徐々に交流の輪が広がりました。また、日本では音楽や映画など、はやったらそれ一色になりますが、オーストラリアにはいろいろな民族がいて、音楽や映画の趣味も人それぞれ。それを見て、僕もいろいろな観点で物事が見られるようになり、音楽や映画の趣味も変わりました」

 同じく高2の黒川遼宇君は、中学3年次のオーストラリア語学研修が楽しく、その帰途に「絶対に留学する」と決めたそうだ。「今回もクラスメートとうち解けることができ、放課後や休日に一緒に遊びに行けて、とても楽しかったです。友達と遊びながらコミュニケーションをとったことで、英語の勉強も楽しく思えました」と話した。

英語力だけでなく、主体性や積極性が身に付く

現地校に併設されたワイナリーを使用して行われた化学の授業
現地校に併設されたワイナリーを使用して行われた化学の授業

 プログラムを経験した生徒について、勝田教諭は「確実に英語力が付いています」と話す。帰国後の英検では、ほぼ全員が2級に合格。TOEICでも、留学前より平均200点ほどアップしたという。

 さらに、勝田教諭は「みんな自信を付けました」と言う。例えば、加藤君は自身が参加した翌年、事前学習する後輩のために、ネイティブの教員と英語でセッションするなどしてサポートした。「ネイティブの教員と堂々と話す姿はたくましく、『後輩のために、自分が伝えられることを伝えたい』というホスピタリティーの精神や積極性などが見られ、成長を感じました」と勝田教諭は話す。

 黒川君も自身の変化を実感しているそうだ。「日本では小学生の頃から、何時に起きて、学校に行って、習い事に行ってとスケジュールが決まっていました。でも、現地では自分でやりたいことを選択し、朝も自分で準備して、電車の時間を調べて乗らないと目的地にたどり着けないし、電車も日本のように時間通りに来ない。そんな環境に適応しながら、何かを与えられるのではなく、自分で考え、自ら動く力が身に付いたと思います」

 近藤君も「自分で決断し、物事を主体的に進められるようになった」と話す。近藤君は別の大学に現役合格していたが、本当に行きたかった青山学院大学を目指して1浪し、この春、見事に合格した。大学の授業でも留学の経験が生きている。「留学中、子供用のオリジナルストーリーを創作するという課題があり、現地の人にアドバイスをもらいながら時間をかけて創り上げました。この経験があるので、大学の英文リポートの課題もスムーズに進められます」

 プログラムの今後について、勝田教諭は「今年度はコロナ禍で例年通りの実施はできませんが、オンラインなどを活用してやれることを模索しています。将来的には、半年や1年の留学プログラムを設け、生徒が大きく成長できる機会をつくり続けていきたいです」と抱負を語った。

 (文:籔智子 写真:中学受験サポート 一部写真提供:日本学園中学校・高等学校)

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1530839 0 日本学園中学校・高等学校 2020/10/12 05:01:00 2020/10/12 05:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/10/20201008-OYT8I50020-T.jpg?type=thumbnail

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