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【特集】文化祭を通して実現する個性認め合う学び…学習院

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 学習院中等科(東京都豊島区)は10月31日と11月1日の両日、高等科と合同の文化祭「鳳櫻祭(ほうおうさい)」を開催した。今年は新型コロナウイルス感染防止のためオンライン開催または文化祭中止という学校も多いなか、生徒の意思を尊重し、万全の感染対策を講じてキャンパスでの開催を実現したという。初日に同校を訪ねて文化祭の様子を取材した。

万全の感染対策を整え、学内で文化祭開催

鳳櫻祭の成果について話す武市科長
鳳櫻祭の成果について話す武市科長

 「本校の文化祭『鳳櫻祭』は、中高の有志が文化祭実行委員を務め、生徒主体で運営します。今年は新型コロナウイルス感染を考慮し、オンラインで開催するという案もありましたが、実行委員らは『自分たちは学内で実行する』と決意しました」と、武市憲幸中等科・高等科科長は話す。

 もちろん、万全な感染対策を整えるために教師と生徒で話し合いを重ねての開催だ。検温、消毒などの対策はもちろん、来場者にも一定の制限を設けた。例年の「鳳櫻祭」は、生徒の保護者や初等科の児童、学習院女子中・高等科の生徒、受験希望者と保護者らが集まってにぎわうが、今年は、生徒以外は「生徒同居の家族1人及び事前登録をした人のみ」「受験希望者とその保護者は事前に申し込み」という条件で来場者を絞った。生徒たち自身も午前と午後で来校を分けるなどして、密になる可能性を極力避けたという。

 一方、来場できない人にも配慮し、「鳳櫻祭2020」の特設サイト(https://hououfes2020.net/)には、展示の模様を紹介する画像や動画をアップした。このホームページを含め、鳳櫻祭のポスターやパンフレット、実行委員らが着るおそろいのトレーナーなど、すべて生徒たちがデザインし、作り上げたものだという。

テーマ「結」を目に見える形で表現

縁起をかついだ「叶結び」
縁起をかついだ「叶結び」

 「鳳櫻祭」初日の10月31日に同校を訪ねると、校門では検温とアルコール消毒が行われ、キャンパス内では全員がマスク着用だった。各教室にも消毒用のアルコールが置かれ、机の間を空ける、窓を開けておくなど、さまざまな対策が実施されていた。

 今年の文化祭のテーマは「結」だ。読み方は決まっておらず、「むすび」「ゆう」「ゆい」など、見る人の感性に任せるという。「鳳櫻祭2020」の特設サイトには、「人は一人では生きられない弱い生き物。だが集まり、助け合うことができる。人は団結することでどんな困難も乗り越えられる」と、文化祭のコンセプトが示されている。開催そのものが危ぶまれるなか、生徒たちが一致団結して開催を実現するまでの思いが込められているようだ。

 校舎の階段に、文化祭のテーマを表すように実行委員たちが飾りつけたインスタレーションがあった。1階から5階まで各階を「結ぶ」ようにひもが渡されており、ところどころに「(かのう)結び」という結び目を入れてある。この結び目は表から見ると「口」の形、裏から見ると「十」の形に見えることから、「口+十=叶」という縁起かつぎになっている。さらに、階段の壁には中3生が手形で作ったアート作品が飾られ、家族や友人など自分の大切な人に向けて「いつもありがとう」といったメッセージが添えられていた。

鳳櫻祭実行委員が作り上げた「鳳櫻」の切り絵
鳳櫻祭実行委員が作り上げた「鳳櫻」の切り絵

 廊下には、同じく実行委員会が作り上げた巨大な「鳳櫻」の切り絵の展示もあった。幻の鳥「鳳凰(ほうおう)」と学習院のシンボルである「桜」を組み合わせたオリジナルのデザインだ。階段のひも結びとともに、「今年の鳳櫻祭を、何か特別なものにしたい」という実行委員たちの思いが込められた力作だ。

 学年ごとの展示としては、中3生による鎌倉のリポートが廊下に掲示されていた。今年は修学旅行が中止となったため、9月30日に鎌倉へ1日遠足に出かけた。リポートは授業で学んだ鎌倉を自分の足で歩き、その歴史を五感で体験してきた記録となっている。

 中2生は「イチ推しの漢字をデザインする」という企画に全員参加し、「快」「輪」といった漢字を色とりどりに描いて廊下や階段を飾った。中1生は上野公園で行った校外学習の経験を生かし、旧寛永寺五重塔などをモザイク画で表現して教室内に展示していた。

「手品の部屋」では有志の生徒が練習を重ねて手品を披露していた
「手品の部屋」では有志の生徒が練習を重ねて手品を披露していた

 また、14の文化部・同好会が、この日のために工夫を凝らした展示を用意した。約100人の部員が盛んな活動を行っている「地学部」は、(すず)でアンモナイトの化石の複製を作る、竜巻が発生する様子を掃除機で再現するといったブースを設け、係の生徒たちが来場者に丁寧な説明を行っていた。

 八つの有志グループによる、数々のユニークな展示や発表も目を引いた。「手品の部屋」では、この日のために練習を重ねてきた生徒たちが、トランプを使って器用にマジックを披露していた。また、大人数の集まりがちな発表活動は、密を避ける工夫として動画を活用していた。落語の愛好者たちは「目白桜亭」と名付けた教室で自分たちが演じる落語の動画を上映し、「GKS」(GAKUSHUINを縮めたもの)というグループは、自分たちのバンド演奏を外部のスタジオで収録し、大教室でミュージックビデオとして流していた。

 このほか「入試個別説明コーナー」も設けられ、教師、在校生の保護者、そして生徒たち自身が、受験希望者たちの質問に丁寧に回答していた。

生徒の個性や能力を伸ばす文化祭

 鳳櫻祭実行委員長の文田(ふみた)岳彦(たけひこ)君(中3)は、「校舎の中に例年よりも多くの装飾をして、生徒全員で盛り上がれるようにしたいと思いました。実行委員の中でさまざまな友情を『結ぶ』ことができて、大きな手応えを感じています」と話す。

 設備委員長の岩田(いわた)教圓(きょうえん)君(中3)は、階段のひも結びと「鳳櫻」の切り絵を担当した。「鳳櫻は制作期間が約1か月で、当日の朝に完成したものです。1人の感染者を出すこともなく終えることができて、ほっとしています。3年間で最も記憶に残る文化祭になりました」。装飾委員長の(つじ)悠太(ゆうた)君(中3)は、手形アートなどを担当した。「3年生全員が参加し、思い出に残るいい作品になりました。鳳櫻祭実行委員を務めるのは3年目になりますが、どういう形式で開催するかといった話し合いを通じて、今年は自分自身が成長することができたと感じています」

 生徒たちの活動を見守っていた武市科長は、「さまざまな制約がある中で生徒たちは自分たちの思いを実現させてくれました。本当に頼もしい生徒たちです」と、顔をほころばせた。「本校の教育は、一人一人の個性を大切にし、生徒がそれを互いに認め合うところにあります。普段はおとなしく見える生徒がバンド演奏などで力を発揮し、それを見た他の生徒が刺激を受け、さらに自分の力を伸ばすことに励むといった相乗効果です」

 同校も3月からの休校が明け、対面授業が再開できたのは6月だった。その間、さまざまな試行錯誤があったが、「やはり、『学校に来たい』という生徒たちの気持ちを大切にしたい」と武市科長は話す。「学校教育は授業だけで行われるものではありません。今回『鳳櫻祭』を学内開催できたことによって、生徒の個性や能力を伸ばす文化祭の意義を、あらためて確認することができたと感じています」

 (文:足立恵子 写真:中学受験サポート)

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1722883 0 学習院中等科 2020/12/25 05:01:00 2020/12/25 05:01:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2020/12/20201223-OYT8I50032-T.jpg?type=thumbnail

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