本物に触れ、感性を磨く「感動の教育」…履正社

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 履正社学園豊中中学校・履正社高等学校(大阪府豊中市)は年に1回、中学生を対象に、伝統芸能や演劇、舞台などの鑑賞によって心を生き生きさせる「感動の教育」を続けている。22回目となる今年は、「より新しい和太鼓」を目指す「倭太鼓飛龍(わだいこひりゅう)」の演奏会が行われ、300人余りの生徒たちが、舞台と客席が一体となる興奮の時間を体験した。演奏会の様子や生徒たちの声をリポートする。

本物に触れ、感性を磨くプログラム

 履正社学園豊中中学校は「感動の教育」と題し、年に1回、伝統芸能や舞台、講演を通して本物に触れ、感性を磨くプログラムを続けている。

 1998年に、当時の日本スケート連盟スケート部監督・杉尾憲一氏と長野五輪のショートトラック金メダリストの西谷岳文氏による講演を聴いたのに始まり、宝塚歌劇団の「邪馬台国の風」や劇団わらび座による「風の又三郎」の舞台、狂言・落語、映画、中国雑技団の舞台まで、さまざまな鑑賞を毎年、学校行事として行ってきた。プログラムは、中学の3年間で多彩な分野を体験できるよう工夫しているという。

 今年は、履正社高校が昨年開いた芸術鑑賞会で、和太鼓の演奏が感動的だったということから、中学でも和太鼓を取り上げようと、「倭太鼓飛龍」による演奏会が企画された。

響き渡る力強いリズムを全身で受け止める

「感動の教育」の演奏に先立ってあいさつをする小森重喜校長
「感動の教育」の演奏に先立ってあいさつをする小森重喜校長

 演奏会は10月2日、豊中市立文化芸術センターの約500席を備える「アクア文化ホール」(中ホール)を貸し切り、同校だけの独自企画として開催された。

 午前10時20分になると、開会のあいさつのため登壇した小森重喜校長が、約300人の中学生たちと保護者に「金管楽器に代表される西洋の楽曲、音楽でなく、今日は『和』を楽しみましょう」と呼びかけた。さらに、「和太鼓の演奏を聴いたことがありますか」と生徒たちに尋ねると、手を挙げる姿は少なく、ほとんどの生徒が初めての経験と分かった。

 演奏時間は120分間。鬼の面を被った7人の演者が、全身を使ってバチを扱い、舞うように勇ましく太鼓をたたく。この日披露された7曲は、一部、笛でメロディーを奏でるものもあったが、ほとんどが力強い太鼓の音と掛け声だけで構成されており、生徒たちは会場全体に響き渡る力強いリズムを全身で受け止めていた。

軽妙なやり取りを楽しみながら、一緒に太鼓を演奏する生徒
軽妙なやり取りを楽しみながら、一緒に太鼓を演奏する生徒
ステージ上で、太鼓をたたく体験をする生徒たち
ステージ上で、太鼓をたたく体験をする生徒たち

 数人の生徒と先生1人が舞台に上がって、グループのメンバーと一緒に演奏を体験する一幕もあった。7年前から「感動の教育」の企画運営を担当している福家武晃教諭は、演奏者らに、可能な限り、生徒が参加できるワークショップ型の演出を盛り込んでくれるよう依頼しているという。鑑賞だけでなく、交流も楽しみ、笑顔と笑い声があふれる会にしたいという思いからだ。この日も、鬼の面を被った演者が、パントマイムで生徒や先生に、自分のまねをするよう促し、簡単な曲を一緒に即興演奏。軽妙なやり取りに会場は笑いでいっぱいになった。

 また、演奏の合間にはグループの主催者である飛鳥峯英(あすかみねひで)氏によるトークも行われた。太鼓は日本最古の伝統楽器と言われていること、楽器の中でも音の大きさが特徴であること、江戸時代には城から城下の人々へ、あるいは寺から広く周囲の人々に知らせたいことがあるとき、太鼓の音で伝えたことなど、さまざまな太鼓の知識が披露された。

 さらにステージに並んでいる長胴太鼓(ながどうだいこ)桶胴太鼓(おけどうだいこ)を示し、桶胴太鼓は長胴太鼓と異なり、側面に張られたひもでチューニングができるので、他の楽器と音合わせをして一緒に演奏できることなどを、中学生にも分かりやすい言葉で説明した。

 生徒たちは、この後、自分の体験やトークの説明などを基に「感動の教育」の感想文を書いて提出する。国語科の教員が選考し、優秀作品は終業式で表彰されるという。

勉強に励む生徒たちのリフレッシュにも

「感動の教育」の企画運営を担当する福家武晃教諭
「感動の教育」の企画運営を担当する福家武晃教諭

 演奏会の後に感想を聞くと、村田晴君(中1)は、「太鼓をたたく姿にも、大きく響く音にも勇壮さを感じました」と話した。「和太鼓はテレビ番組で見たことがありますが、間近で見ると迫力があり、圧倒されました」

 米谷若菜さん(中3)は「音圧がすごく、座って聴いているはずなのに、体が浮いている気がするよう」と和太鼓の力強さにすっかり感動した様子。

 酒井武敏君(中2)は、和太鼓の大きく響く音で「地面が揺れた」と話し、「オーケストラは耳に入ってきますが、打楽器は体に染み渡ってくるようでした」と違いを表現した。

 酒井君は昨年の「感動の教育」で鑑賞した中国雑技団の公演にも触れ、「たくさんの並はずれた技の数々を見せてもらい、驚きました。今年の和太鼓演奏も自分ではなかなか見に行けないものですが、さいわい学校行事で経験することができ、多くの発見がありました」と話した。

 福家教諭は「感動の教育」について、本物に触れて感性を磨くだけでなく、「勉強に励む生徒たちのリフレッシュになれば」と語る。普段はできない体験によって、勉強に集中する日々からひととき解き放たれ、リラックスしてほしいと考えている。「準備は大変ですが、授業中とは違うキラキラとした目の生徒たちを見ると企画して良かったとうれしくなります」と満足そうに話した。

 (文・写真:水崎真智子)

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943377 0 履正社学園豊中中学校・履正社高等学校 2019/12/11 05:21:00 2019/12/11 17:04:03 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/12/20191210-OYT8I50029-T.jpg?type=thumbnail

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