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【特集】鍛えた「数学力」を武器に未来を開け…巣鴨

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 巣鴨中学校・高等学校(東京都豊島区)は、数学力を鍛え上げることで高い大学合格実績を上げている。中3になると数学の成績上位者を集めた「数学クラス」が編成され、生徒たちは学期ごとの入れ替え戦で、大いに順位を競うという。また、昨年度からは「算数1科目入試」も導入され、ますます数学を軸とした教育が充実する見込みだ。中学1年生の数学の授業を取材し、担当教諭に話を聞いた。

基礎の徹底が数学的センスを育てる

「基礎を徹底することで数学的なセンスを磨く」と話す爲貝先生
「基礎を徹底することで数学的なセンスを磨く」と話す爲貝先生

 巣鴨中学校の数学の授業を取材するために10月10日、同校を訪れた。この日、1年D組で行われた授業の内容は「連立方程式の導入」。中学数学を学ぶうえで、要となる単元だ。

 「連立方程式とは、二つ以上の連なった方程式のことです。これから2元1次方程式を勉強していきますが、ポイントは二つの未知数と二つの式があることです」。授業の冒頭で数学科の爲貝基文教諭は連立方程式の概念を説明した。さらに教科書の例題を使って「代入法」と「加減法」の二つの解き方を丁寧に解説し、生徒各自に教科書の例題を解かせた。ピンと張り詰めた空気の中で、問題と計算をノートに書き記す音だけが聞こえる。

 「はい、それじゃ黒板を見て」。爲貝教諭の声が掛かった。「君たちが中学受験の時に懸命に解いた旅人算やつるかめ算などの難問も、実はこの連立方程式を立てて解を求めると、実に簡単に解くことができます」などと、生徒の興味を引きつけながら解法を説明していく。

2元1次方程式の解法について授業する爲貝先生(奥)
2元1次方程式の解法について授業する爲貝先生(奥)

 例題が足りない時は、教科書に準拠した問題集「教科書ワーク」を使って補強しながら、さらに教科書を読み進めていく。集中力も途切れがちな6時限目の授業だが、どの生徒も姿勢よく机に向かっている。中学に入って半年が過ぎ、すっかり学習姿勢が身に付いているようだ。

 同校は、教育関係者の間で「数学の巣鴨」と呼ばれるほど、数学教育に力を入れていることで知られる。しかし、取材した授業からは集中力を感じたが、特別な内容ではないように思えた。爲貝教諭に、このほかに特別な授業をしているのかどうか尋ねると「それが特別なメソッドはないのですよ」とあっさりした答えが返ってきた。

 「あるとすれば基礎を徹底して反復すること。奇をてらうことなく、教科書でしっかりと学びを深めます。大切なのは、数式をただ記憶するのではなく、なぜ、そのような数式ができたのか、その成り立ちをしっかりと理解すること。それが数学的なセンスを磨くことにつながります」

 同校が基礎を重視する理由の一つは、国公立大学の数学入試問題が、応用よりも基礎を重視した傾向にあるからだという。たとえば、東京大学の2次試験で「πが3.05よりも大きいことを証明せよ」という問題が出されたことがあるという。

 「これは数式を丸暗記しても解けないでしょう。基礎となる公式の中から、どれを『解く道具』として選べるかにかかっています。正しく選ぶことができたら、実は難しくない。だからこそ、基礎を徹底させます」

成績上位者を選抜した「数学クラス」

 同校が数学教育に力を入れるようになったのは、前校長の堀内政三氏が「数学は精神的な成熟を待たずとも伸ばせる」と考え、提唱してきたからだという。その狙いが当たっていたことは大学合格実績を見ると納得させられる。

 今春も、東大21人、早慶88人、特に医学部医学科は国公私立合わせて164人(いずれも既卒者を含む)と、輝かしい実績を上げている。数学力が狭き門を突破する大きな武器となっていることは間違いないだろう。

 基礎の徹底以外にも、同校の生徒の数学力を支えるもう一つの仕組みがある。それが「数学クラス」の存在だ。中学3年次と高校1年次に、1学年5クラスのうち数学の成績上位者を選抜して1クラスを編成する。学期ごとの定期テストの結果で入れ替え戦があり、この数学クラスに選ばれることを目標にする生徒たちも多い。

 このクラスでも特別なカリキュラムを組んでいるわけではないが、実力のある生徒たちが互いに競い合い、高め合うことによって、めきめき数学の力を付けていくという。このほか、基礎力の先へ進みたい中学1年生に応えて、月に2回ほど、土曜の放課後に数学の勉強会を開き、モチベーションを高めているという。

 「生徒には、答案は芸術品だと教えています。採点者の立場に立って美しく、読みやすく。そのためにはきちんとロジックで説明していくようにと。数学的な思考を鍛えるコツは、生徒にやらせてみて、その瞬間ごとに教師が気付いたことを伝えること。そうすれば、どんどん伸びていきます」と爲貝教諭は語る。

 同校は国内で高い大学合格実績を上げているだけでなく、近年、海外の名門大学にも進学者を出している。同校出身者で、高校2年の夏に渡英してクライストカレッジ、さらにオックスフォード大学に進んだ生徒は、「巣鴨の数学クラスで上位半分ぐらいの成績であれば、イギリスではトップクラスの数学力に相当する」と証言する。実際、カレッジの担当教員に「数学の成績は申し分ない」と太鼓判を押され、オックスフォード大学への進学が決まったそうだ。

国際教育部長の岡田先生
国際教育部長の岡田先生

 数学力があれば、海外大への進学も有利になる。巣鴨の国際教育部長を務める岡田英雅教諭は、「志のある生徒には、海外の名門大学で学ぶ選択肢もあることを伝えたい」と話す。そのためにサマースクールやターム留学などへの参加を推奨している。

 イギリスのパブリックスクールにターム留学した高2の森朔良君と、丸山克紀君も、巣鴨で数学力を鍛えたことが役に立ったという。

 「毎日、寮での宿題の時間が2時間あって勉強は大変でしたが、数学は日本のほうが進んでいるように感じました。美術や英語は苦労しましたが、数学は英語で授業を受けても理解できましたから」と、森君は振り返る。

 丸山君は「英語はあるていど話せますが、実は数学が苦手で。ターム留学前には『数学は武器になるから、しっかり勉強しておくように』と言われ、数学をみっちり復習してから出かけました。おかげでイギリスでの3か月を充実させることができました」と話す。

 岡田教諭も、海外に生徒を出すとき、留学先のパブリックスクールから「巣鴨の生徒なら引き受ける」と信頼の言葉を返されると、「数学の巣鴨」を実感し、誇りを感じるという。

算数1科目入試の狙いとは

 数学力の養成に力を注ぐ同校は、入試でも昨年度から「算数1科目入試」を始めた。

 入試広報部の大山聡部長は「算数だけできる子を求めているわけではありませんが、実際に算数入試で入学してきた生徒をみると、他の科目もバランスがよく、優秀です」と語る。「算数入試の問題には、長文の思考力を試すものもあり、ただ計算が速いとか、算数だけが得意という子は、正解できないように考えられています。国語的な読解力とクリエイティブな発想力を問うているのです」

 同校は今後も算数入試を続ける方針だという。この入試を突破した生徒たちが、さらに進化させていく「数学の巣鴨」を見てみたい。

 (文:田村幸子 写真:中学受験サポート)

 巣鴨中学校・高等学校について、さらに詳しく知りたい方はこちら

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949133 0 巣鴨中学校・高等学校 2019/12/17 05:21:00 2020/11/20 11:27:34 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/12/20191213-OYT8I50007-T.jpg?type=thumbnail

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