探究する理科「カブトムシは羽化して小さくなる?」…青山学院

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 青山学院中等部(東京都渋谷区)は、自然に対する深い理解と関心を育てることを目標に、実験・観察を重視した理科の授業を行っている。2017年4月から使用開始した新校舎には自然観察が可能な「庭」が4か所設けられており、さらに多彩な理科教育が可能になっている。中等部の選択授業の中から、カブトムシをテーマとした中学3年生の理科を取材した。

目の前の昆虫を計測し、成長結果を確かめる

カブトムシの体長の測り方を説明する
カブトムシの体長の測り方を説明する

 「今日はまず、成虫となったカブトムシの体長と重さを測り、前回測った幼虫の体長と重さと比べてみてください」。青山学院中等部の理科教室で、教育研究主任で理科担当の鈴木知明先生が生徒たちに指示を出した。

 生徒一人一人の前には、カブトムシが入った昆虫飼育用ケースが置かれている。恐る恐るつまんでみる生徒や、慣れた手つきでひょいとつかみ上げる生徒など、最初の反応はさまざまだ。

 実際に生徒たちが測ってみると、体長は3~4センチ短くなり、重さも15グラムほど減っていることが分かった。カブトムシは、幼虫からサナギ、成虫へと変化する。幼虫のときはサナギになるための栄養を蓄えているので、成虫よりも重く、サイズも大きいということだ。「へえ、すごく軽くなっているんだ」と、生徒たちはあらためて成虫を興味深げに見つめた。

 「幼虫がサナギになり、脱皮して小さく軽い成虫となる。生き物は成長すると大きくなり、重くなるものと思いがちですが、こういう形の成長もあるということを覚えておいてください。小さく軽くなることで活動しやすくなり、行動半径が広がると考えられます」。鈴木先生はそう生徒たちに説明した。

2時間の選択授業で実験・観察にじっくり取り組む

最も人気のあるエサを調べる生徒たち
最も人気のあるエサを調べる生徒たち

 同校では中等部から選択授業があり、「中国語」「俳句」「暗号入門」といったテーマの授業を自分の興味・関心に合わせて選ぶことができる。この理科の授業もその選択授業の一つであり、10人の生徒が参加し、じっくり時間をかけた実験・観察に取り組んでいる。

 「実験や観察の様子をiPadで撮影し、授業の内容や自分の考察をやはりiPadに記録し、『コースパワー』という学習支援システムを利用して、その結果をデータで提出してもらいます。ペーパーテストは行わず、普段の実験や観察に積極的に取り組んでいるかどうかと、提出物から判断して成績を出します」と、鈴木先生は話す。

 選択授業は2時間連続した授業となっているため、1回の授業でさまざまな活動に取り組むことができる。取材に訪れた6月26日も、カブトムシの成長の様子を記録した後、「どんなエサが最も人気があるか」を観察した。

 メロン、キュウリ、キャベツ、メープルシロップなど生徒が自宅から持ち寄ったカブトムシのエサを並べ、カブトムシに選ばせる。最も多くのカブトムシが群がったのはメロンだった。「カブトムシは嗅覚でエサを見つけるので、独特の香りがするものに寄っていきます。糖度が高いものも、いいエサになります」。鈴木先生が説明を加えると、生徒たちは納得した様子だった

 さらにカブトムシの粘土模型を作って、頭部、胸部、腹部、脚という体の構造を確認するなど、幅広い取り組みを行った。

校内の庭で「青山のカブトムシ」が育つ

「東の庭」でカブトムシのサナギの穴を見つける
「東の庭」でカブトムシのサナギの穴を見つける

 2017年4月に使用を開始した青山学院中等部の新校舎は、教科ごとにフロアが分かれ、理科教室がある6階では、東西南北四つの方角に1か所ずつ、実験・観察用の「庭」が設けられている。南の庭には水辺の環境を整えたビオトープ、西の庭には作物を育てる畑、北の庭にはシダ植物が植えてある。カブトムシなどの昆虫が集まり、キノコが育つ「雑木林」をテーマとしているのが東の庭だ。

 今回の授業で、生徒たちは東の庭を訪れ、カブトムシがサナギから成虫に羽化した後に残る小さな穴を見つけたり、庭の中を飛び回っている成虫を捕まえたりした。集めたカブトムシを前もって放しておいたわけではない。おがくずを積み、カブトムシの好む木の枝を置くといった工夫をしておくことで、自然に集まってきたものだそうだ。「うちのは皆、羽が赤いね」。生徒たちは、庭に集まったカブトムシを自分たちのものとして身近に感じているようだった。

理科授業の意義について語る鈴木先生
理科授業の意義について語る鈴木先生

 鈴木先生によると、これまでにもイカやエビを解剖・観察して軟体類と甲殻類の違いを観察したり、ブタの目を解剖して視覚の仕組みを調べたり、実験、観察に重きを置いた理科授業を重ねてきたという。

 「本物の生物に触れて、『なぜこうなっているんだろう』と探究する気持ちを強く持ってもらいたいと思います。また、思うような結果が出なくても、挑戦し、やり遂げる過程に意義があるのだということを、理科の授業を通して理解してほしい。その経験は社会に出てからもきっと生きてくると考えています」

 (文・写真:足立恵子)

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776658 0 青山学院中等部・高等部 2019/09/06 05:21:00 2019/09/06 05:21:00 https://www.yomiuri.co.jp/media/2019/09/20190903-OYT8I50003-T.jpg?type=thumbnail

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